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5話


目の前に颯爽と現れた女性に俺はそんな素っ頓狂なことを言う。


「ジャンヌ・ダルクじゃんこれ……」


そんな訳ないのだが。頭の中のイメージがそれしか湧いてこなかった。

金色に輝く髪は木漏れ日に当てられ輝き、腰まですらっと真っ直ぐに伸びている。甲冑を着ている為スタイルはわからないが身長は170cm以上はあり、おそらく俺と同じかそれより高い。兜を被っていないため顔はそのまま。西洋のお姫様かと思うその造形はこの人が異世界の人だと直感的にわからせてくれるほどに美しい。


「貴方!大丈夫ですか?!ってその格好っ?!」


「へ?」


女性は俺に声をかけたかと思うとすぐに後ろを振り返る。恰好?恰好って……あぁ!俺!パンツしか履いてねぇ!!なんで?!え?!


《……下着だけって私はちゃんと伝えましたからね……》


女神のその言い訳を聞いて思い出す。そうだよこいつそれ追求される前に俺をこっちに送りやがったんだ……ちくしょう、やっぱり下着だけだったのかよ……


「は、早く何か着てくれっ!腕の治療ができないじゃないかっ!」


女性は後ろを向きつつもそう告げる。え、男の裸なのにそんな動揺する?パンツは履いてるんだよ?……はっ!もしかしてこの人ピュアな感じの人か!ポイント高い!


「そ、それが服を持ってないんですよ俺……あの、見ても大丈夫なんで治療を……ってあれ?」


治療してくれるならと腕を向けると、傷がない。いや、先程まで感じていた痛みも無くなっている。あれぇ?俺噛まれたよな?


《もう一つの能力ですね。デッドマンってやつですよ》


あぁ!あの死なないってやつか!ゆっくり回復していくって言われたけど、早いじゃん回復。それとも傷が浅かっただけ?


「そ、そんな!男性の半裸なんて見れません!」


「え、そんなに醜いっすか?」


「は、破廉恥です!」


ははーん?この人やはりピュアだ。もうピュアっピュアだ。日曜の朝のアニメに出ちゃえるくらいピュアっピュアだな。


「あー……えっと、ほんとになんにも持ってないんですよ。すいません、助けてもらっておいて図々しいんですが、何か羽織る物とかないですかね?」


「そ、そんな格好で森の中を?!え、えっと待ってくださいね、確かローブがあったはず……あった!あの!これ着てください!」


「お、ありがとうございます!」


後ろを向きながら手だけを突き出してローブを渡される。ほんとに男の裸でもダメなんだなぁ……


「よっと……はい、着れました。もう大丈夫です。」


「は、はい、それじゃあ振り返りますよ?」


恐る恐るといった感じに振り返る女性。そこまでか。そこまで直視できないのか。

ピュアというよりもっと別の何かなんじゃないかと疑ってしまう。


「えっと、助けていただいてありがとうございます。」


「いえ、私も森の巡回中だった故。それに、騎士として男性を守るのは当然ですから!」


うん?なんか違和感。


「それより、なぜこんな森の中を一人で?それに、その、あんな格好で……」


「えっ?!あー、えっと、それはですね……」


どう説明すればいいか……転生しちゃいました☆テヘ!なんて説明で納得してもらえるのか?


《召喚されたらここにって説明すれば大丈夫ですよ!うなじのところに勇者の刻印があるのでそれを見せれば納得してもらえます!》


便利か勇者。なんという万能性。


「えっと、召喚されたらここに……ほら、ここに印が……」


そう言って俺は女性にうなじを見せる。うなじなんて見せたことないから恥ずかしい……。


「こ、この刻印は勇者様の……!それではあなた様はっ!!」


「えっと、勇者……みたいです?はい」


「し、し、」


「し?」


「失礼しましたぁぁああぁっ!」


うなじを見せたら美人に土下座かまされたでござる。





ブクマ10件ありがとうやで

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