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12話


周りのスライム達は俺が治療している間に倒しきったらしく、ソフィアさんが剣を鞘にしまってこちらへやってきた。


「陸さま、ご無事ですか?」


「あぁ、俺は大丈夫だよ。この人も今治したから大丈夫だと思う。」


女性は自分のことを言われたと察し、座り込んでいたところから立ち上がり俺達に頭を下げた。


「あ、ありがとう!助けてもらって!腕もこんな完璧に!」


そう言って完治した腕をぐっと出す。今度はそれを見たソフィアさんが驚く。


「なっ!あれほど裂傷していたのに?!これは陸さまの魔法のお陰なのですか?!」


「え?あ、うん。ヒーリングっていう回復魔法なんだけど……」


「これが回復魔法っ!これ程とは……」


ソフィアさんが不思議そうに女性の腕をペタペタと触れて確認する。女性も女性でソフィアさんと一緒に不思議そうに自身の腕を確認し合っていた。


「えっと、そんな不思議?いくら回復魔法がなくたって傷薬とか……えっと、ポーション?みたいなのあるんじゃないの?」


そう、回復魔法がないのは先日ソフィアさんから聞いたが回復アイテムは流石に存在するだろう。でなければモンスター達にやられる一方になってしまう。


「ポーションはあるにはありますが、ここまで急速には回復しません。先程の傷だと早くて半日、状態が悪いと丸一日かかることだってあります。」


「ええ?!」


即効性のない回復アイテムってなによ……それ塗り薬とかと変わんないじゃん。え、戦闘で負傷しても即治せないってやばくない?


「あの……まだ名前言ってなかったよね?私、クリス!クリス·クーネリウスっていうの!ほんとに助けてくれてありがとう!」


そう言って女性……クリスさんはもう一度頭を下げた。


「なに、同じ人間だ。困っているときはお互い様だろう?気にするな。それより、なんでこんなところに?スライム達が発生しているのはわかっていただろう?」


「えっと、私この先のウィル村に住んでるんだけどね。村の調合師のユリスお婆ちゃんが病気になっちゃって……それで、その病気に効く薬草を取りに来たんだけど……」


話を聞くと、クリスさんの祖母であり村の調合師のユリスさんが病に倒れてしまったという。いつもなら作り置きの薬があるようなのだが最近増してきたモンスター達のせいで作りおく材料が取りに行けず在庫を切らしていたらしい。そこで孫娘であるユリスさんが薬を作るのに必要な薬草を取りに行こうとしたところ、スライム達の攻撃にあってしまったのだという。


「薬草というのはもしかしてダンベラの草か?」


「うん、それです。ユーリ村の近くの森にあるって聞いて……」


「やはりか。しかし……」


ソフィアさんは困ったような表情をしながら続ける。


「ダンベラの草はユーリ村の森にもないだろう。いや、無くなってしまっただな」


「えぇ?!そんな!なんでっ?!」


「あれはウッドウルフが好んで食す。まぁ、通常なら食い尽くすほどではないんだがな……クリス殿も知ってると思うが、最近モンスターが増えてきている影響でな、ウッドウルフも増えて食いつぶしてしまったんだよ。」


あぁ、だから召喚されてすぐ遭遇したんだ……俺が運無かったわけじゃないんだね……


「そんな……それじゃあお婆ちゃんは……っ」


涙ぐむクリスさん。病気かぁ……治せるかな?


「あの、ソフィアさん。1回クリスさんのお婆さんに会いに行ってもいいですか?」


「え?陸さまがですか?それは構いませんが……どうしてです?」


そこでもしかしたら魔法で治せるかもしれないとソフィアさんに説明した。ヒーリングで治ればよし、だめならアンチドート。それでも駄目なら……どうしよう?女神に頼んでみる?


《あ、私そういうの無理ですよ?》

(いたのかよっ!)

《陸さんの心のどこかに私はいるんですよ……》

(なんか気持ち悪い。そんで、やっぱ無理なんだ?上からの命令?)

《気持ち悪いってなんですか失礼ですね!……上からのというより、決まりなんですよ私達の》

(決まり?)

《今度ちゃんと説明しますよ。とにかく、そういった女神が直接手を差し延べる行為は禁止なんです》

(うーん、まぁわかったよ……)


どうするか……いや、今はとにかく魔法を試してからだな。試して無理だったらまた考えよう。


「クリスさん、とりあえずウィル村まで案内お願いしていいですか?お婆さんをもしかしたら治せるかも。」


「ほんとに?!あ!もしかしてさっきの凄い魔法?!」


ヒーリングで凄いって言われちゃうのか……俺の知識とこの世界の違いが無ければだけどヒーリングって初期回復魔法な気がするんだけどな……


「まぁそんなところです。大丈夫ですか?」


「問題なんてないよ!ぜひっ!っていうか……」


モジモジとさせながらクリスさんが聞いてくる。


「えっと……男の人だよね?」


「え?あ、そうですけど……」


「すごい!うわぁ、こんな若い男の人初めて見た!」


キャッキャとしながら俺の手を取り跳ねるクリスさん。若い男が珍しいって、お父さんとかどうしてんだ?

すると、ジャキっと剣を抜く音と共にクリスさんの首筋にソフィアさんの剣が添えられた。


「……クリス殿、それ以上陸さまに触れるなら容赦しないぞ」


ソフィアさん、おっかない。



逆転した世界の中でと反して明るく書こうとしてたのにあんま明るく書けてない悲しみ

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