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10話


買い物を一通り終え一旦宿に帰ってきた。

ソフィアさんは両手に持っていた荷物をおろし「ふぅ」と一段落。一方で俺は手ぶらで「ふぅ」と言う声すら出ない。いや、荷物持とうとしたんだよ?したんだけど「陸さまにそのようなことをさせるようでは騎士の……いえ、女性の恥です!」とすごい剣幕に押されてしまったんだ。


「それにしても陸さま。やはり魔法がそれだけ使えると剣を構える必要がなくなるんですね!」


「あ、あはは……ソウデスネ……」


武器屋について早々ソフィアさんには攻撃ができないことを説明した。すると何を勘違いしたのか、攻撃できないではなく攻撃する必要がないと解釈してしまったのだ。


「さて!それでは私は荷造りをして明日に備えますので陸さまは先にお休みになってください!」


「えっ、流石に悪いですよそこまで……なにか手伝えませんか?」


「いえいえ!これしきのこと騎士である私には朝飯前です!ご心配なさらずに!」


なんだか至れり尽くせりで申し訳ない……。

ソフィアさんの作業を邪魔するわけにもいかず俺は大人しくベッドで横になるのだった。



夢を見ている。こっちに来る前の夢だ。

サークルで集まってワイワイして、そんな中で俺は姫に常に気を配っていた。喉が乾いてませんか?なにか食べたい物ありますか?時間まだ大丈夫?そんなことばかり。

夢で見ているおかげで第三者の目線から見えている。うん、これはやり過ぎ。姫もなんだか困った表情してるし、過去の俺何やってんだ!と吠えるも夢なので届かない。

ふと、そんな自分を見ていて思う。あ、ソフィアさんもこんな感じだ、と。ソフィアさんの俺に対する行動は俺が姫にとっていた行動と同じなんだと。

夢が覚めたらソフィアさんにはあんまり気遣いしないでいいですよってちゃんと伝えないとな。

そう思った所で目がパチりと覚める。朝日が先込み光の柱がかかっている。


「ふぁあ~……。よく寝た。」


寝ぼけ眼で周りを見渡す。ソフィアさんもちゃんと寝れたかな?

そう思い向かいのベッドに目を向ける。そこにはなにやら掛け布団にくるまってもぞもぞとしているものがあった。


(ソフィアさん面白い寝方するんだなぁ)


そんなことを思いながらぼーっと見ていると、なにやら水の滴る音がする。


(……ん?)


あれ?この部屋水道なんてないよね?水の音なんてどうして聞こえるんだ?

そう思い耳を澄ませると向かいのベッドから聞こえてくる。そこで俺の意識覚醒。


(……まじか、ソフィアさん。まじでか)


たしかによーく耳を澄ませると声を押し殺したような音も聞こえてくる。

これは気づいちゃだめなやつだ!そう思い俺はもう一度布団にくるまって目と耳を閉じた。




「陸さま、起きてください、陸さま。」


「……ぅん?あー……ソフィアさん、おはよう」


気がついたら眠っていたようで、ソフィアさんに起こされる。朝食の準備が出来ていますよと告げるソフィアさんの表情は心なしか昨日よりも艶々していて、気まずい。女性経験もなく女兄弟もいなかった俺にはそういう場面に遭遇するのは初めてで免疫もなく色々悶々とする。


(まぁ、そりゃ人間だもんね。欲求くらい貯まるよね、うん)


《ちなみにおかずは陸さんでしたよ?》


「ファッ?!」


「ど、どうなさいました陸さま?!」


「うぇっ?!あ!いえ、なんでもないですっ!」


突然の女神にまたも変な声が出る。


《いやぁ、結構激しかったですよ?ちなみに内容は陸さんが無理やり……》

(言わなくていい!考えさせんな!)

《うぶですねー陸さん。この先やっていけまけんよ?》


ちくしょう、楽しんでやがるこの女神……人の気も知らないで……。



朝食を食べ終わり、出発する準備をする。

王都に着くまでには幾つかの村を経由する必要があるらしく、馬車で行っても一週間ほどかかるそうだった。

宿を出るとそこにはソフィアさんが王都から来た時に使っていたという馬車と馬が準備されていた。


「さ、どうぞ中へ。馬車は私が走らせますので陸さまはゆっくりお待ちください。」


いや、ほんと使えねぇ俺……。

荷物を積み込み終えいざ出発といったところで馬車に駆け寄ってくる人影。


「あ、あの!どうか、一瞬でもいいのでお手を合わせてはいただけませんか?!」


宿の受付の娘だった。覗きをしたあとは受付にも顔を出さずにいたので気まずいのかなと思っていたがそうではなかったらしい。


「えっと、手を握ってってことですか?それくらいなら……」


「あ、ありがとうございます!!」


そういって俺が差し出した手を受付の娘は大事そうに両手で包む。チラっとソフィアさんへ視線を移すとなにやら噛み締めた表情をしていた。怖いよソフィアさん……


「ありがとうございます!これで希望を持って生きていけます!」


「あ、あはは……」


そんな大げさ?手を握ったくらいで希望が生まれちゃうとか俺アイドルかなにか?


「どうか、勇者様に女神の御加護を」


そう言って受付の娘は離れていった。女神の加護ねぇ……あの女神さまにそんな有り難さがあるのか疑問に思った。だって上司にひどい扱いうけてる女神だよ?平社員ならぬ平女神だよ?あ、魚みたいだな。

そんなしょーもないことを思っている傍ら《えっへん!》とどや顔決めている女神にほんの少しだけ可愛いなとか思ってしまう俺であった。

うーん、進むの遅いかなぁ

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