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プロローグ

 六月十六日、午前九時十六分二〇秒。地上に突如、太陽が生まれた。正確に言えば違うのだが、それ以外に表現のしようがないほどの膨大な熱量が発生したのだ。

 場所は関東平野に位置する、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の計四カ所である。計測不能な巨大な熱量が引き起こす過剰な光量は、人工衛星が安全装置を作動させるほどであった。

 灼熱の光球は万象一切を跡形もなく消滅せしめた。

 急激に膨張した空気は瞬きの間に音速を超え、全ての物体を圧壊またはボロ雑巾の如く吹き飛ばした。

 爆心地近辺の建造物から人間を問わず、一切合切が尋常な衝撃波と途轍もない熱線によって蒸発した。

 そこから数キロ距離を置いた場所ですら人間も建物も、悲惨に爆発して焼失してしまった。

 周囲数キロは熱線が容赦なく呑み込み、さらに数十キロ先は暴力的な衝撃波が蹂躙した。

 この世の終わりを否応なく想像させる破壊が終焉を迎えた時、そこには何も、何一つ残っていなかった。

 破壊の爪痕は決して生々しくなどなく、むしろ清々しかった。何故ならそこには瓦礫や死体はなく、ただ茫漠な広大さを誇る更地が広がっていたのだから。

 被害状況は死者・行方不明者を合わせて推定、四〇万人から五〇万人であるとされる。


 この惨憺たる有様を生み出したあの太陽は、在りし日の核兵器を思い起こさせるものであった。確かにこれほどの惨状を刹那に作り出せるのはその戦略的兵器に他ならないだろう。

 しかし他にもう一つ、ある。この惨状を引き起こせる兵器と呼べるほど強大な武力を持つモノが――――。


 人は彼らを超能力者と呼ぶ。この日こそ、超能力者の苦難と差別と偏見と迫害の歴史の始まりである。


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