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『雪』
「お兄ちゃんは猫さんだね」
こたつでごろごろしている僕に、遊びから帰ってきた妹が言った。
満面の笑みだった。
「私は犬さんだけど、お兄ちゃんは猫さんだね」
もしかして僕の頭にネコ耳でも生えてきたのか……と思ったがそんなわけがない。
相変わらずの中途半端にパーマかけた様な癖っ毛しかなかった。
「お兄ちゃんも猫さんじゃなくって犬さんになろうよ」
人間、犬、猫は自分から変更できると言うことを初めて知った。
外は一面の銀世界。
「ゆーきや、こんこ♪」
妹は何か歌を口ずさむばかりで、僕の謎は増える一方だった。