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『なでなで』
「さむい……さむいよ……」
彼女は震えていた。
がたがたと、がくがくと、目には涙を溜め、何かをかき集めるように自らを抱いて。
「誰か……助けて、たすけて……」
彼女の頭に手を乗せる。
びくり、と身を竦ませる彼女。そして、恐る恐る顔を上げ……目が合う。
ゆっくりと、ゆっくりと、彼女の怯えが除けるように手を動かす。
「……あったかい……な……」
その絹糸のような髪を撫でるごとに、彼女の震えは治まってゆく。
「なでなで……きもちいいな……」
僕は撫で続ける。
彼女が安らいでくれるように。思いを、想いを込めて。