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『狐』

彼女は狐の面が好きだった。

それも、デフォルメされた可愛らしい狐ではなく、稲荷神社に祀られているようなある種の恐ろしさを湛えた狐である。

僕が「どうしてそんなものを被っているの?」と不思議そうな顔をしていると、彼女は笑いながらこう答える。


「私が神社で泣いていたときに、慰めてくれた子がいるの」


好きだった人にこっぴどく振られて、いろんなことに絶望して泣いていたとき、そっと隣に居てくれた――と。

それがなんだか面白くて、悲しさなんて吹き飛んで。おかげですっきりすることができたのだと。彼女はそう言った。


「これは、その記念」


彼女は面を被って、狐の真似事なんかをしている。

僕はその姿に目が釘付けになる。

彼女はそれが面白かったのか、けらけらと楽しそうに笑って、僕の頭を撫でる。


「ありがとうね」


僕は何だか照れくさくなって。

こーん。

と、一声鳴いた。


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