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『愛』

「愛……ってなんなのかな」


 そう、彼女はつぶやいた。

 正義とはなにか、奇跡とはなにか……そういった答えにくい質問を彼女は良くする。

 僕だって普通の学生だ、哲学者でもあるまいしそんなこと分かるわけない。


「この世は分かんない事だらけで訳分からないや」


 ただ、今回は答えられる気がする。

 難しそうな顔をして考え込む姿、納得できる考察を聞いた時の笑み、

 その動き、一挙一動に僕は目を奪われる。

 その美しい煌めきを見ていたくて、この可愛らしい輝きを見つめていたくて。


 だから、今回はきちんと答えられる。



 これが、きっと愛なのだから。


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