冒険者登録とランク
「うおおおおおお!凄えな!」
俺は鼻血がでそうなほど興奮していた。地面は石が綺麗に敷き詰められている、これが石畳ってやつか!どこまでも広がる石畳はそれだけで美しいと思えた。中央の大きな通りの脇には同様に石造りの建物が並び、中央通りの先には大きな城が見えた。あれがクラフト城か、壮大な景色に俺はいつまでも見入っていた。 グー 腹減ったな飯でも食うか!ベルトに下げた袋から干肉を取り出して食べた。ええと何してたんだっけ?あー、!そうだギルドに行くんだったな、急ごう。
「確か右手の壁に沿って行った通りの一番大きな建物・・・あれか!?」
看板には鷹の意匠が施してある、ギルドの紋章だ。狙った獲物は逃さないという意味だった、、筈。両開きのドアを開け中に入る、石造りの外観とは裏腹に内側は壁も含め木の内装を基調としている、部屋の中には幾つも机が置いてあり冒険者達が情報交換をしている、何だろ、言葉に出来ないけどイイ!正面の長いカウンターに、白のカッターシャツの上に赤のブレザーを着た人間が何人かいるからあれが職員だろうな
「冒険者登録したいんですが」
「初心者の方ですね、2階に白のブレザーを着た女性がいるのでそちらでお願いします。」
お礼を述べて2階に上がる、目当ての女性はすぐに見つかったがゴツイ角刈りの男と会話している、周りを見渡すが他に職員が見当たらない、大人しく待つか
「なあアトリちゃん、仕事終わった後食事でもどう?美味い所知ってんだけど」
「え、何処何処?知らない所なら連れてってもらおうかな♪」
「絶対知らないって!・・・ドラゴンのテールスープ、食べてみたくないかい?」
「食べたい!」
「行っちゃう!?」
「行っちゃう!!」
やっと終わったか、どうでもいい会話しやがって、爆発しろ! ドラゴンのテールスープか・・・
「しかもそれは前菜に過ぎない!」 イラ
「なんだって~!?」 イラッ
「ギアス高地の秘境で採れたブドルの実・・・知ってるかい(キリッ)」 イライラッ
後ろに何人も並んでるのに会話は止まらない、この職員なめてんのか?
「あの伝説の!?」 プッチーン
もう我慢の限界デース
「いい加減にしろ」
「あ?なんだてめえ」
「あのさぁ皆並んで待ってんだよ、いつまでだべってんの?俺早く冒険者登録したいんだけど!?」
「え?」
驚いた顔して俺を見つめる職員、ここは冒険者登録するところじゃないのかと少し不安になる
「なに!?フンッ、アトリちゃんと早く話がしたいからって適当言ってんじゃねえぞ!」
そうだそうだと並んでる奴らも叫ぶ、、、なんなんだ、こいつら全員意味が分からない
「バレバレなんだよっ!大人しく後ろで並んでろボケが!!」
並んでる奴らも俺にヤジを飛ばしてくる、、、全員黙らせるか、一週間は喋れないぐらいにっ!!
「待ってください!」
ん?
「私の勘違いでした。こちらの方は新規登録の方です。皆さん誠に勝手で申し訳ありませんが本日のアトリの相談所は終了とさせて頂きます。」
皆不満そうな顔をしていたが、驚く程素直に帰っていく、俺に啖呵を切ってきた男もバツが悪そうに俺に謝罪をしてきた。 意味が分からない
「先ほどは失礼しました。新規登録の方が少ないので、空いた時間は当方相談所を開いてまして、本当に申し訳ありません。」
「こちらこそ早合点して申し訳ない。先に他の職員に尋ねるべきでした。」
「私は新規冒険者のアドバイザーを務めるアトリと申します、お客様のお名前伺って宜しかったですか?」
「キール・ライトニングです」
「有難うございます。先ずはお客様の冒険者カードを作成します。こちらの水晶に手を当てて頂けますか?」
俺は水晶に手を当てる、これは生態データを読み取る装置か、面白いな
「!・・・はい大丈夫です。カード作成は暫く時間がかかるのでその間に簡単にご案内させて頂きます。
クエストの受付はこの魔法コミュニティ略してマホコンを使います。使い方は画面に手をかざし、念じるだけです。実際に使用してご不明な点がございましたらその都度ご説明致します。」
マホコンか、初めて見るな、大きな白い水晶がカウンターに固定してあるどうぞと俺に使用を促してくるアトリ、俺は10万以上のクエストと念じてみる、おおっ水晶に文字が出現する!
クエスト
スライムゼリー50個入手
期限
一週間
ペナルティ
無し
報酬
100ゴールド
「この様に出てきます。上から依頼内容、達成期限、ペナルティ、報酬とありますが、このペナルティとはランクに関わります。ランクは下から E D C B A S SS マスターとありペナルティのあるものはクエストに失敗した段階でランクが一つ下がります。クエストはランクに応じて閲覧出来る範囲が変わります。キール様は最低ランクなので、ペナルティのないものしか閲覧出来ません。最低ランクは冒険者でなくとも受ける事ができます。逆に一度冒険者となりDランクに上がりEランクに落ちる方は適正なしとして冒険者永久剥奪となり、二度と登録できません。ランクは依頼を達成するとポイントが貯まり最大になるとランクが上がりますここまででご不明な点はございますか?」
「??ああ、大丈夫!?です・・・所で10万クラスの依頼を受けるにはどのぐらいのランクが必要なんですか?」
「Sランクは必要ですね」
「そのランクから始める方法はないんですか?」
「一つだけございますが、誰も成功した者はおりません。」
「教えてください」
「ギルドマスターに勝つ事です。ルールは相手が気絶するまで、木刀を使用して頂きます」
「挑戦します」
「畏まりました。右手の部屋に進みお待ちください。」
俺は迷わず部屋に入る、中は大きな修練場になっている、ギルドマスターか、、強いんだろうな、何回も挑戦可能か聞いとけば良かったな・・・まあ今勝てないようなら意味ないか。壁に掛けられた木刀を手に取る、棍棒より軽いな。
アトリは壁をトントトトンと不規則に叩く
「入れ」
返事を聞くとアトリは壁に吸い込まれていく、入った瞬間アトリはバランスを軽く崩す、それなりの心得があるアトリだが、この部屋では完全にバランスを取ることが出来ない。バランス感覚を崩す魔法が
掛けられているためである。
「どのぐらいだ?」
「底が見えません。」
「十分だ」
アトリは男を畏怖を込めて見る。この異様な部屋で、指先一つで倒立しピクリとも動かない、アトリはこの男は間違いなく人種では世界最強と確信している。果たして何分もつかしらとアトリは思案する、しかしいつもはすぐ出る結論が今回は出てこない、アトリは情報と解析のスペシャリストであり、相談所を開いてるのは会話の中から有益な情報を得、更には冒険者の様子やランクまで把握するためである、故に解せない、今まで彼女は新規登録者が来たらすぐに気づき会話を中断させて相談所は閉める手順を踏んでおり皆もそれを知っている、だから皆キールが嘘をついていると思った。アトリがキールを[見た]瞬間感じた力量はSランク、場を収める為に新規扱いしただけであった。しかし水晶はキールを新規と断定、自分の予測を上回る男の出現にアトリの心が激しく揺さぶられた。ギルドマスターの裏ルールは彼女のランクSSを超える[実力者]にしか教える事はないシークレット情報である、しかし彼女は今回嘘をついた、見たいと思ったのだ、キールの力を!限界を!試合の事を思いアトリの心は躍る。
来たか
俺は立ち上がり正面を見る、黒装束の男が目の前に[現れた]。黒の覆面をしているため表情は見えない、右手には木刀を握っている。
次元の違う存在と見た瞬間[理解]した 右手の木刀の先を相手に向ける
現れる瞬間を目で追うことすら出来なかった 右足を前に強く踏み込む
心は既に負けを認めている 腰を落とす
恐怖に歯が、がたがた震える 歯を食いしばる
直感が逃げろと激しく警鐘を鳴らす 冷静に相手の様子を観察する
口を開く事すら出来ない 「やろうか」
「来い」
俺の最速を叩き込む!高速をもって踏み込み、木刀を突き出すが、相手の覆面を切り裂く事しか出来ない、クソッ っ!右手に木刀を掲げた瞬間激しい衝撃が俺を襲う腕が痺れて木刀を取り落としそうになるっ!右に跳躍後ろに跳躍左に跳躍 勘と気配を頼りに動く目で追うことは不可能っ!上下左木刀を捌く左腕を木刀が掠っただけで鋭利な刃物で切り裂いたように血が吹き出るオイオイ木刀の意味ねえな
「秘技一文字」
奴が呟いた瞬間衝撃刃が俺を襲う木刀で受け止めるが真っ二つ瞬間後ろに跳躍腰の魔剣を振り抜き衝撃刃を切り裂くが衝撃は消しきれず後ろの壁に叩きつけられる何時の間にか追い込まれてるよおい
「血染め桜」
桜の花びらが一面に舞い落ちる様な怒涛の突きが俺を襲う魔剣を振り体を捻り致命箇所は避ける 間に合わねえもっと速く
「秘技十文字」
クロスの衝撃刃を俺は2回魔剣で切り裂くが再び壁に叩きつけられる もっと速く
「五月雨突き」
雨のように隙間ない突きを俺は魔剣を振り致命箇所を全て防ぐ 思考が邪魔だ
「奥義十文字五月雨突き」
襲い来るクロスの衝撃刃と隙間ない突きを光速をもって全て切り裂く衝撃は超越した剣速にかき消された。
「それまで!!」
信じられない
私は目の前の光景に愕然とする、部屋に入った時彼は明らかにマスターのプレッシャーに恐怖し、萎縮していた。それはそうだろう強さの桁が違うのだから、それでも足を踏み出す彼の[強さ]に私は眩しいものを見るような気持ちになる、これが見れただけでも満足だ。
しかし彼はまた私の予想を覆す、マスターの覆面に木刀を掠らせたのだ、信じられない!この裏ルールの試合で彼に勝った者はいない、細かく言うと彼に攻撃を[当てた]者がいない、彼は人間の限界まで敏捷を上げている為だ。つまりマスターに攻撃を当てたという事は彼もまた人間の限界まで敏捷を高めているという事だ、彼は私でも目で追うのが精一杯のマスターの攻撃を懸命に捌いている、大したものだ、彼は現時点でマスタークラスの強さである、しかしここまでは挑戦者の殆どが到達する、マスターの恐ろしさはその素早さに上乗せされた技にある、彼が技を出した瞬間それは試合の終わりを意味する、「秘技一文字」彼の木刀が真っ二つになるよく健闘したね・・・え?あれを防いだ?彼は腰の剣を使用した。反則だ、試合を止めねばならないでも私はこの先が見たい!「血染め桜」激しい突きが彼を貫く、速すぎて残像が見える、けれど彼は致命箇所を防いでる!「秘技十文字」二つの衝撃刃を同じ速さで切り裂いた!?技は激しさを増すのに完全ではないけど全部対処してる!凄い信じられない!「五月雨突き」
突きの嵐が彼を襲うがやはり致命箇所を剣で防ぎきる!・・・あれ?何か彼の動きが私の目で・・「奥義十文字五月雨突き」・・・全て防いだ!衝撃すら!彼の動きはもう私の目では追えない、それが意味する事は、彼が人の限界を越えたという事!信じられない!信じられない!!マスターが腰の愛刀血桜と五月雨を手にした。ここからは死合になる、私は急いで試合を止めた。
「それまで!!!」
名前 キール・ライトニング ♂ 18歳
LV 30
HP3000+20% MP500
職業 ソードマスター
筋力 300+10%
俊敏 400+5%
知性 5
直感 250
器用 200
意思 250
魅力 85
幸運 200
技能 真眼LV3[弱点を瞬時に見抜く 相手の強さを解析出来る 鑑定LV2]
空間把握[奇襲攻撃無効]
気配察知[位置の完全補足]
投擲マスター
無音走り[無音 瞬歩]
残心[隙を埋める]
限界突破[能力限界の解除]
???
加護 婆ちゃんの祈り+[即死攻撃無効 浄化の光]
主の力[HP 筋力 俊敏のブースト]
奇跡と幸運の体現者[HP自動回復(中) 毒呪い無効 幸運+100]