討伐
「はあ!?お前いい歳して何言ってるんだ?」
心底理解できないという顔で俺を見下す受付の男
ブクブクと太った顔と腹
ミスマッチなサラサラの長髪
それら全てがベストマッチした偉そうの体現者
村長の息子 ポーク・バイエルン
歳の差があまり違わない事もありムカつき度も倍増だな
俺は辛抱強くもう一度、ゴブリンが森の結界内に現れた事
目の前の机の上に置いた妙な指輪を全員填めていた事を伝えた。
「だから?」
チェンジで!!受付チェンジお願いします!!!!(本気)
切れそうになる心を抑え言葉を返す
「街のギルドに至急この件を報告した上で
皆で相談して調査と討伐を依頼して欲しい」
この村のギルドは街のギルドと違い連絡係としての役割が全てだ
問題が起これば街のギルドに報告、村から依頼する形を取る
重要な場所ではあるが人手は必要ないため職員は独りしかいない
チェンジは勿論出来ない
「分かった分かった指輪を置いてさっさと帰れ」
おざなりに対応され追い出された。
これは期待出来そうにないな
街のギルドに直接報告をしたい所だが
早急にゴブリンの討伐をしないといけない、、
今の俺ならイケルか?
ゴブリンは1匹見たら10匹いると言われ
驚異なのはその繁殖力にある
他種族を使い産ませる事も出来るため
見つけ次第殲滅する必要がある
一体どこから沸いてくるんだろうねぇ?
徹夜明けで外に出るのは危険だな、、
今から寝ると活動時間が夜になるか
ゴブリンは夜は目が利かないと魔物図鑑には書いてるし
気配も大分掴めてきた、逆にチャンスと考えよう
討伐の準備を整え眠りについた。
森の闇を駆け抜ける影
音を立てぬよう駆ける足は
徐々に地面スレスレから離れなくなり
やがて地面を縫うように滑り出す。
足音は消え闇を切り裂く影となった。
むっ、先日襲われた場所に着いたか
猪を引きずったと思われる跡があるな
別の動物の可能性もあるが取り敢えず跡を追ってみよう
ハイキタ━(゜∀゜)━!
大当たりだな、洞窟の入口に見張りのゴブリンが2匹立っている
ここで深呼吸を一つ スーハー、、、いくぜ!
俺は猪の皮で作ったベルトに差した短刀を抜き1匹の額めがけて
投擲する、吸い込まれるように眉間に短刀が刺さり絶命した。
もう一匹は敵襲を報せるため慌てて洞窟の中に入る
洞窟の中で戦うのは勝てるイメージが湧かない、向こうから出て来て貰おう
しばらくしてゴブリンがぞろぞろ飛び出してくる
ははっ出てくる出て、、来る、、は?
10・・・20・・・50・・・・もういいや・・数えるの面倒だし・・・
(-_-;)100匹余裕で超えてね?どんだけ広い洞窟だよ!?
焦る気持ちを抑える ドウドウ
俺は後ろに降ろしたリュックから
スライムゼリーを束ねたスライム玉(命名俺)を出し
奴らの真上に投げて滞空中に棍棒を投擲し叩き割る
ゴブリンに降りかかるスライムゼリーの雨
これを複数箇所に繰り返し、予め用意したスライムゼリーを
染み込ませた棍棒に手早く火を点け奴らに投げつけた。
結果
阿鼻叫喚の地獄が其処に生まれた。
炎に包まれる有象無象・・・その姿に脳がチリッとする・・・ああ、あれか・・・
頭を振り目の前に集中する。気を緩めていい時じゃない!
火の移りが驚く程早い、見る間に全てのゴブリンに飛び火した。
油ぎった顔してるからな、種族として火に弱いのだろう
相手は魔物とはいえ恐ろしい光景だな、、
間違いなく全員死ぬだろう、、、 ッ!!
――――――~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!
激しい怒りの咆哮が俺を貫く!
生き残りがいたか?入口に目を向けると
そこには森の主を上回る大きさの魔物がそこにいた。
ゴブリン、、、なのか?
腰の伸びた姿勢
ガッチリした体型
驚く程の背の高さ
ゴブリンには見えないが醜悪な顔で辛うじて判断できる
[強い]だが今の俺なら五分に渡り合える!ゴブだけに!!、、、
ゴブリンロードが現れた
「シネ」
?!気付けば目の前に刀が迫る 速い!!
首を捻り何とか躱す、この刀?ヤバイ俺より[強い]!
魔剣か!?不規則な動きで俺を翻弄する
ゴブリンは逆の腕で俺を捕まえようとするが
逆に俺の方からその指を掴み折りながら背中に回り込む
ゴブリンは指を折られても意に介さない
痛覚が無いのかもしれないな
刀を持ってない方を主軸に攻めれば勝機はある、、、あれ?
腹に刺さる魔剣
手から離れても、、、動、、けるのか
「オワリダ」
剣を引き抜き様に蹴り飛ばされる
ゴム毬のように転がる俺
「ワガケンゾクノウケタクルシミノアガナイガタリヌ
ニンゲンハミナゴロシダ」
ゴブリンは村に向かい歩き出す。
しかし歩みはすぐに止まる
背後から来る強力な圧力に後ろを向く
「バカナ!!?」
行かせるわけにはいかねーよな
婆ちゃんはまだ死ぬ予定じゃないんだよ
代わりにお前が「死んどけや?」