和解
俺はギルドのシモーネに事の顛末を連絡していた。
「シモーネか?竜人の件で連絡したんだが・・・ああそれ大丈夫、あいつ等俺の心友だから!そんでタイタンで宴会開きたいんだが、ギルドで許可貰えないかな?・・・詳しく?そうだな・・」
喧嘩の後の皆の姿は疲れ切り一片の体力すら残っていない
座り込む者、大の字になる者、背中合わせに座る者、皆好きな姿勢をとっている
心の全てを吐き出した末の澄み切った心は無骨な姿にも関わらず強く胸を打つ
朝日をその全身に浴び、まるで一つの絵画のような美しさが其処にはあった
その中心にいる二人が口を開く
「改めて、キール・ライトニングだ」
「アーノルド・ネックだ」
俺はアーノルドと固い握手を交わす。
「早速だが今回街への侵攻を行おうとしたのは何故なんだ?」
「一言で復讐だな、我らは北の山脈に住んでおったのだが人間の張った大結界の影響で故郷に戻れなくなっててな、故郷に帰る前に目の前に見える人間の街を叩き潰してやろうとしたわけだ。」
「分かりやすいね、それはもう止めたんだろ?」
「ああ」
「故郷に人間がいたらどうするきだ?」
「そこは我らも譲れんな、口で退かぬなら力ずくで排除する。ここに妥協はない」
「・・・分かった。ならお願いがある。力ずくで追い出すのは俺にやらしてくれ」
「何故だ?」
「竜人と戦っても一方的な虐殺になるだけだし、両種族の諍いになる・・・ならば俺が全部受け止めた方が良いだろ?大結界を壊したのも俺だしな」
「・・・後悔しているのか?」
「しない、アーノルドと一緒だ。一番大事なものは妥協出来ない、ただ俺に出来る事があるなら全力を尽くすだけだ。」
「カカカッ案ずるな我が心友よ!我らの故郷に人間は住めぬ」
「それは良かった!」
俺は本当に嬉しくて笑みが溢れる
「―――これから先困った事があれば、友の為に儂は喜んで力を貸そう!皆はどうだ!?」
おおおおおお! 皆が賛同の声を上げる。
「じゃあこれからタイタンの街で宴会開くから付き合ってよ」
「「「「は?」」」」
「って感じかな?・・・ああ、ああ!有難う!」
シモーネはギルドの許可と連絡と宴会代の負担まで全て対応してくれた・・・また借りが出来ちゃったな・・・さあ宴会だ!
そして現在
「冒険初日にな・・・魔物の鳴き声がちゅんちゅん囀り、起き上がれない俺を[魔王]が睨みつけてきたのよ! (オオ)(魔王が!)だが俺は睨み返し言ってやったのよ、文句があるならこの世界から出て行けってね!」
まさか・・・ ザワ この世界には魔王が・・・ ザワ キール殿は勇者か? ザワ
「しかし俺は魔王の配下にすら勝てず、奴の居城を出て修行の旅に出たのさ・・・何れ魔王を超えるためになー!!!」
オオオオオオオ! キール! 胴上げ キール! 胴上げ 拍手喝采
宴は大いに盛り上がっていた。
だが必ず場を盛り下げる奴はいる。特に竜人に良い思いを抱いていない者も多い
「何が魔王だ・・ハハッそうか、お前魔王との戦いの為にこいつらにコビ売ったのか?」
ああ!? なんだと!? コビ売ったんだろう!? コビ野郎! 我らの友を侮辱するか!
「勇者式目潰し!」 ぐわっ 「勇者式金的!」 グウッ・・
「これが勇者の・・やる」
「やる事だ!くくくっ妬くな妬くな!俺達みたいな心友になりたかったら[強さ]を示せ!」
「こんな馬鹿力と刀を通さない奴等に勝てるわけないだろ!」
そうだ! お前も化け物だ! 変態! 勇者! いいぞ! 変態勇者
「・・・何か変な呼び名が混じっていたが・・・まあいい!ここは酒場だぞ!?」
キールはガンッと酒樽を置き、手刀で叩き割る
「こいつで勝負するに決まってんだろうが!俺に文句のある奴は掛かってこいや!」
おお! やってやんよ! 結婚してやんよ! ・・・お前男だろ?
酒宴は最高潮!くだらないしがらみも全て押し流してしまう!
「カカカッ儂も酒は強いぞ!?貴様ら如きが相手になるか?」
「クククッ良いだろう貴様はこのアル中のタツがお相手しよう!!」
「「「名前が既に駄目だろ!?」」」
突然始まる飲み比べ、止めるものなど存在しない。
「おい童貞勇者!俺と勝負だ!」 カッ!
「甘いわっ!確かに俺は最近まで未熟な男だった・・・しかし(周りを見渡す)今は違う!」
オオオ 勇者の恋ばなキター 許せない・・・ いいぞー! ・・・キー坊
「あれは俺が終生のライバルと戦った時だな・・・小柄なくせに俺を遥かに上回る力で俺は深い傷を負わされた・・・拠点に帰って来れば信頼する料理長に裏切られ、満身創痍・・・何とか安全な場所に避難し傷を癒していると・・・金髪の美女が現れたのよ!」
金髪美女キタ! ・・・ 勇者に傷を!? ・・・ おのれ料理長! 美女とかっもう!
「だが女は俺を攻撃する、俺は女を押さえつけ唇を奪った、いけない子には折檻だとな・・・後は分かるだろ」(キリッ)
さすが勇者だな 童貞の行動じゃねえ! パネェ! ・・ ・・ ・・
「はっは?い、イハイんだけどなにかな・・・!???」 頬っぺがちぎれるっ!
「キー坊詳しく部屋で話そうか?」 レア・・さん?
「記憶違いかな?私も酔ってたから」 パリスたん・・・いたの?
「許さない」 ・・・誰!?目が赤々光って怖いんだけどこんな美女知らないよ!?
宴も半ばに引き摺られていくキール君の・・・明日はどっちだ!
――――――――――――
「ううっ頭痛い・・・」
ベッドから起き上がろうと右手に力を・・・ムニ・・?ムニムニ「あん」・・・あわわ左手に力を・・・ぽよ・・・ぽよ「あっ」・・・ウエイ!?!やばい俺のエクスカリバーがムクムク「ん・・」???俺は恐る恐る布団をめくる ギギギ 左を見るとレアさんが ギギギ右を見るとパリスさんが ・・・・・ギ・ギ・ギエクスカリバーを見ると・・・・ティーナ?さん?がいた・・・・裸で
はあ!?何これ現実?ちょちょちょΣ(゜д゜)マジ覚えてないんだけど((((;゜Д゜))))
・・・・覚悟を決めよう
「皆起きてください!!!」
「ん」「お」「あ」
皆起き上がったな、俺はまず最初にいう事は一つ
「服を着てください」
皆が服を着たのを確認した。シャワーも浴びたがっていたが、先に確認が先だ
「僕は皆さんと・・・致したのですか?」
「ああ」「そうだな」「うん」
「・・・・俺は今日中央ギルドに出頭します。パリスと婆ちゃんに手を出し・・・・10歳の娘に・・・手を出してしまいました・・・到底許される事ではありません」
「いやそれは」「キー坊違うぞ」「お父」
「俺はお前に父と呼ばれる資格はないんだ・・・・!」
「あ~もうっ!」
ティーナは叫ぶと霧と化し、次の瞬間その姿を変える、俺の前には目も眩む美女がいた。
真紅の髪は腰まで流れ
真紅の瞳は透き通るように深い
背は俺より少し高く
立ち居振る舞いに気品を感じる
・・・・・?・・・・!
「ティーナ!?」
「そう!ティーナよ、其処のレアの話にあった吸血種が私、年は500歳から数えてないわ」
「ぜ、全然気付かなかった・・・」
「記憶と力を完全に封じていたからね、[人]になるか[死人]にならないと大結界は抜けられないの、生命の危機に応じて[力]が表層に浮き出るようにはしてたんだけどね・・・キールとリンクしてる影響から[記憶と力]が徐々に表層に出てきて精霊信仰の村でキールが襲われた時は完全に本来の力を取り戻していたの、本当はまだお父さんの子供でいたかったんだけど其処の女にお手付きにされたと聞いて黙ってられなくなったの・・・まだ続けたかったんだけどキール真面目なんだもん」
拗ねたように言うティーナ・・・真面目な奴はこんな状況にはならんだろ?
「続けるも何も俺達は家族だろ?それは変わんないぞ」
「!・・・うん!」
「私はもうレアという別の存在だ。こちらも家族という事実は変わらんが気にする事はない、大きく育ったキー坊が見れて私は満足だ。」
「婆ちゃん・・・(以外と下ネタ言うんだ・・・)」「レア・・・でしょ?」
「ああ」
「最後は私ね好きだからしたの、文句ある?」
「ない」
「良し!」
どうやら俺は女には決して勝てないみたいだ・・・・
「私は吸血種の始祖だから同じ種族と眷属は皆私に従うから大結界の影響はないよ」
「何故それをおれに言う?」
「クククッ気にしてるくせにっ大結界に関し人間を恨んでるのは竜人種と吸血種だけだからほぼ問題は解決って事!」
「・・・ティーナ、有難う!」
「―――ふんっキールは私の物なんだから当然でしょ!」
そっか問題は一通り解決か・・・なら
「明日にはクラフトに帰るぞ!」
「ああ」「はーい」「え~?」
・・・帰るぞ!
凄い不人気の回なんで修正しようかと思いましたが
これからの戒めとして残します。
嫌に感じた方スイマセン!




