大軍
ゴゴゴ ガガガ
大音響と共に洞窟が激しく揺れる[常人]では立っていることは不可能なその場所を、俺達三人と一匹は何事もないように平然と立っている・・・これは
「世界が変わる影響か?」
「これは契約が解けた影響だな、この場所はさっきまで[私の一部]故の形だったのでな、切り離された今、本来の形へ戻ろうと強制力が働いている」
あー、何だかとっても嫌な予感がするな・・・
「つまり?」
「洞窟が潰れる」
「逃げるぞ!!!」
俺は率先して前を走る。洞窟の[力]が失われ魔物が入り込んで来ていたので、斬馬刀を片手で振り回し消し飛ばしていく、[今]の俺にとって目の前の魔物達は紙くずに等しく、障害にならない!契約の影響でレベルアップしたみたいだな、まるで図ったように全員洞窟から出た瞬間、最初から其処に洞窟などなかったように穴が塞がった・・・くわばらくわばら
「婆ちゃん!こういう事は早めに教えてくれよ」
「む、すまん」
婆ちゃんは少し思案顔をしている・・・まだ重要な案件があるようだな
「婆ちゃんまだ何か言いたい事があるみたいだけど?」
「・・・キー坊、正確に言うと今の私はレアという存在に外見、内面共に変質している・・・婆ちゃんと呼ばれるのはやぶさかではないのだが、レアと呼んでくれないか?」
呼び名かよ!・・・まあ重要か、呼び方がどうでも俺の大切な人であるのに変わりはないが、確かにこんな美女を婆ちゃん呼んでたら不審に思われるか・・・
「分かった、これからはレアって呼ぶよ」
「ああ、キー坊、ティーナ、わんこ、改めて宜しく頼む」
「OK!」「うん!」「ガウ」
三者三様の返事をしながら俺達は下山する。
「なんか世界が変わったって言ってもあんまり変わんないもんだな」
「うん、そうだね」
「それは[認識]の違いのせいだな。世界がズレたとはそういう事だ。」
「・・・よく分からん」
「其処に箱があるとしようキー坊の興味を全く引かない取るに足らない小さな箱だ。キー坊はその箱を開けようと思うか?」
「思わないな、興味ないんだろう?」
「その小さな箱が開いていたらどう思う?」
「興味を引くぐらいか・・・・成程」
「うむ、些細な違いにしか感じられない、だがその中から大量の人が出てきたら?」
「驚くな・・・つまり変化が実感出来るのは他種族に遭遇してからってとこか」
「そうだな、キー坊は賢いな」
なでなで なでなで
「ば!・・レア、俺はもう子供じゃないぞ!」
「ティーナもするー!」
なでなで なでなで
もう好きにして・・・・・
タイタンの街に着くと、てんやわんやの大騒ぎになっていた・・・何事!?
「おー?キールじゃねえか!大変な時に戻ってきたな」
「ガンド!この騒ぎは?」
「ああ、さっき[竜人]が街に来てな、今から20分後この街を攻めてくるって宣言したのよ、[魔物]とは違うから結界が利かないしな、血気にはやった奴等が斬りかかったが歯牙にもかけず帰っていった。その後ギルドから連絡があってな、「直ぐに皆でクラフトの街まで避難してください」と言われて皆急いで逃げ支度してるってわけだが、籠城を叫ぶ声も大きくてな、ここは闘技場の街だろ?あの程度の化け物恐るるに足らんって思ってる腕自慢が多いわけだ・・・」
「有難う、よく分かった。竜人はどっちから攻めて来るんだ?」
「ああ、東門を出たら嫌でも目に付く」
「あとさひたすら頑丈な棒貸してくれないかな、料金後払いで」
ガンドはキョトンとした顔をした後、荷を探って一つの棒を渡してきた。
「何をする気だ?」
「ああ[話し合い]をしようと思ってね」
ガンドは思案顔から一転悪戯な笑みを浮かべる
「ふ・・ん、あんたなら出来そうだな、特別ただで貸してやるよ」
俺も同じ笑みを浮かべ返答する
「喜んで貸してもらうよ、この武器名前とかあんの?」
ガンドがニヤリと笑う
「ヒヒイロカネの棒、決して折れない錆びない伝説級の棒だ」
二人はあの日と同じ様な会話を交わす。同じ様に無事に帰って来いと
「じゃあ行ってくる!期待して待っててくれ」
「頑張れよ!」
俺はガンドと別れ東門に着く、視界を埋め尽くすほどの大軍が正面に見える・・凄いな
「俺は今から[話し合い]に行く、皆はここで待っててくれ」
「「嫌」」
「ティーナは足手まとい、レアは[切り離された]ばかりで存在がまだ安定してない、無理すれば崩壊する、何か反論はあるか?」
「・・・」
「・・・気付いておったのか」
「契約を交わしてから色々分かるようになった。直ぐに安定するさ」
「しかしキー坊!」「お父さん!」
「ティーナ、俺を信じろ、必ず帰ってくる!」
「・・・うん」
「婆ちゃん、俺はやればできる子、そうだろ?」
「しかしこれは!」
婆ちゃんは大きく頭を振る
ポンと婆ちゃんの頭に手を置く
「約束、今日果たすよ、帰ってきたら俺は一角の人物だ・・・そうだろ?」
俺は門に集まる他の奴らにあらん限りの声で告げる
「俺は今から竜人の所に[話し合い]に行く!俺が戻ってきたら諍いは終了で皆で宴だ!」
皆此奴は何を言い出すんだという目で俺を見る・・・だが俺の意思は伝わった筈だ。
俺は街を出る。
――――――――――――
竜人の士気は高い、やっと故郷に戻ることが出来るのだ!帰り道にいる[弱者]を排除して故郷の土を踏もう!我らは奴らと違う、騙し討ちはせずこれから攻めると教えてやる、我ら竜人の強さを故郷に示そう! カカカッ心が踊る! オオ! 踏み潰してやるわ!
天を衝かんばかりの騒ぎの中、一人の[弱者]の声が響き渡る!騒ぎにかき消される筈の声は竜人全てに響き渡る!決して無視できぬ力強い声が!
「俺はキール・ライトニング、人間だ!俺は貴方がたと[話し合い]がしたい!」
シン――――――
一瞬場が静まり返る・・・直後に地面を震わすほどの怒号が響き渡る。[弱者]が何を調子よく吠えている!我らを騙し討ちした[弱者]が!手始めに此奴から血祭りにあげてやる!
怒りに震える竜人の一人が[弱者]に襲い掛かり斬馬刀を振り下ろす!
カン 音を立て彼方に飛んでいく斬馬刀 ハ?皆が呆気に取られ斬馬刀を見る
ドガッ! 鈍い音を立てて[弱者]を襲った竜人が自分たちの所まで吹っ飛んできた。完全に伸びている・・・考えられん!
[弱者]が今何をした!?我らを騙した[弱者]だ!また卑怯な手を使っているのだろう!許せん!我らの力見せつけてくれる!
――――――――――――
ああああ、怒り心頭だね、俺は襲いかかる複数を纏めて棒で薙ぎ払う!鈍い音を立てて吹っ飛んでいく竜人たち・・・ガンドの用意してくれた棒は最高だな!
一斉に炎を吐いてきたが俺にはそよ風のようにしか感じられない、驚く竜人を纏めて棒で吹っ飛ばす!
空から強襲してきた複数を虫を払う様に地面に叩き落とす、闇雲に襲いかかっても勝てぬと気付いたのか連携を組んでくる・・・だがどんな行動をとってこようが俺がやる事は変わらない襲いかかってくる端から叩いていくのみ!
正面から複数の槍で突かれたら全て叩き落としタタラを踏んだ瞬間全員棒で吹っ飛ばす!
全方向から同時に攻撃されたら全方向の武器を全て叩き落とし全員棒で吹っ飛ばす!
時間差で攻撃してきたら攻撃してくる奴から棒で吹っ飛ばす!
棒を掴まれたら掴んだ竜人ごと他の竜人を吹っ飛ばす!
吹っ飛ばす! 吹っ飛ばす! 吹っ飛ばす! 吹っ飛ばす!
ゾク
俺は寒気を感じ後ろに跳躍する・・・何もない!?・・・いや!
一人の竜人が俺の前に立ちはだかる
「儂はアーノルド・・・お主の強さは認めるが、我らの怒りは話し合いでは収まらぬ、我ら全員は死ぬまで止まらぬぞ!」
決して譲れぬと強い意思を示してくる竜人アーノルド・・・・何言ってんだ?
「今してんじゃん[話し合い]」
「何を馬鹿な・・・」
「だってコレは喧嘩だろ!?とことん語り合っちゃうよ俺!」
シン――――――
カカッ カカカっ 笑い声が出始め気付けば辺りを揺るがす大爆笑となった!?なんか可笑しい事言ったか俺は!?
「カカカッ、良いだろう!語り合おうではないか、我らが満足するまでな!」
俺達の喧嘩は夜通し続いた・・・・
ちゅんちゅん
小鳥の囀りが朝を知らせ・・・俺は目を覚ます
「目が覚めたか」
カカカッ アーノルドは笑いながら言う
喧嘩は終わりだ 今からは言葉で語ろう
怒りは全て飛んでいった 感謝しよう 友よ
名前 キール・ライトニング ♂ 18歳
LV 100
HP10000+20% MP5000
職業 精霊の剣神
筋力 1500+10%
俊敏 2000+5%
知性 55
直感 1200
器用 800
意思 9999
魅力 800
幸運 200
技能 真眼LV3[弱点を瞬時に見抜く 相手の強さを解析出来る 鑑定LV3]
空間把握[奇襲攻撃無効]
気配察知[位置の完全補足]
投擲マスター
無音走り[無音 瞬歩]
残心[隙を埋める]
限界突破[能力限界の解除]
魔力譲渡[リンク可能]
無刀取り[相手に武器で攻撃された場合その武器は己の物となる]
見切り[紙一重の避けが可能]
剣神の一撃[防御無効]
酸素確保[高山病無効]
???
加護 レアの祈り[即死攻撃無効 浄化の光]リンク
主の力[HP 筋力 俊敏のブースト]リンク
奇跡と幸運の体現者[HP自動回復(中) 毒呪い無効 幸運+100] リンク
精霊の友[全属性攻撃無効]




