変わる世界
「すみませんがもう一度言って頂けますか?」
「はい、父であるキール・ライトニングより、此方を紹介していただき参りました」
これはその手紙です。目の前の男の子が手紙を出してきた・・私は虚ろな表情で受け取り無造作に封を破る、それはもうビリビリと音を立てて!手紙を開いていく
カッ
その擬音が宙に浮かぶほど私は目を見開いた
料理学校に入れてやって
・・・・は!?
意味が分からないんですけど言いたいことは分かるけどそれに対する経過報告が全くないとはどおいう事なんですかねそもそも父ってなんの話はっまさか私の子供かしらキスだけで子供は産まれるものなのいや取り敢えず計算をってそもそも産んだ記憶ないし取り敢えずお婆さんに相談するべきかしら最近会った記憶が無いけどなんかそれを考えると頭が混線する何かしらどうせ他にも手紙を書いたけど入れ忘れたとかそんな感じか全くお兄ちゃんは取り敢えず帰ってきたら
「お仕置きですね」
ビクッと目の前の男の子が体を震わす、あら驚かしてしまったかしら、そうねまずは自己紹介といきましょうか、私は可憐な笑顔を浮かべ優雅に腰を落とす。
「私はフィズ・ライトニングです。貴方のお名前は?」
「私はクリス・ライトニングです。父から聞いていた通り美しい方ですね」 論理的お世辞
あらあらあらお兄ちゃんったら私の事何て話してるのかしらもうっ
「ふふっ、クリス君ったらお上手ね、お姉さんにクリス君の事教えてもらえる?」
「はい、私は野盗の奴隷をしていたのですが、父に救って頂き、その時家族になろうと言って下さいました」
「そんな事が・・辛かったでしょう」
「辛かったですが、父にそれ以上の幸せを頂きました・・・父は俺の誇りです」
「―――ふふふっ、私も同じ気持ちよ、それじゃ一緒にギルドにどの学校が良いか調べに行きましょうか」
「今は外に出ぬほうが良い」
ズキューン パリーン 論理的思考の崩壊の音
「こここ、こちらの方は?」
「あら?紹介が遅れたわね、この人は私の姉でフェントよ」
「有無、フェントじゃよろしくの」
「クリスです・・・俺の作る料理を貴方に食べて欲しい!」 精一杯の告白
「ほう、我は味にうるさいぞ」(剣のくせに)
「フィズ聞こえておるぞ!」
「あら?聞こえるようにしたのよ朴念仁さん、で?何かあったの?」
「有無、世界が大きく揺らいでおる、何が起こるか分からんのでな、二人共我の傍から離れるでない」
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「どうやら大結界が消滅したようです」
「予想より早かったな」
「コードZを全ギルドに通達しておきます」
「少年の成長を待つまでもなかったな、世界が変わる」
「楽しみです」
「有無」
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嗚呼!大結界が壊れた、[人間]の枠を全てにおいて超えている・・・キール・ライトニング、何と面白い男なのか!お前は[私の物]だ。クククッ
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深い森の中にある一本の大樹
巨大であり雄大見るものを惹きつけて止まぬ原初の木
世界樹ユグドラシル
「皆聞くがよい!大樹より神託が降った。もうじき世界の姿が元に戻る!」
ざわざわ ざわざわ
「静まれ!」
シン―――
「 は外の様子の偵察を命じる」
「はい」
「他の皆は森に侵入者が入れば殺さず捕まえ情報を引き出せ」
「「「「はい」」」」
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高い山脈に囲まれた奥にある巨大な鉱山
常人には辿り着けぬ自然の要塞
鉱山は穴が堀抜かれ鉄の音が鳴り響く
「ほほほーい」
トンテンカンテン トンテンカンテン
周囲の事情はお構いなし
トンテンカンテン トンテンカンテン
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広大な平地に住む二つの種族
世界の変化で故郷を追われた被害者
これより加害者と、被害者は入替わる
「大結界が消滅しました」
「カカカッ我らの復讐の時は来たか!」
「・・・その件ですが、我らは身動きが取れぬ事となりました。事情は話せませぬが、気持ちは貴方方と同じ故、物資的な援助でしたら如何ようにでも申してください」
「カカカッ構わん、あのような[弱者]思うままに蹂躙してくれる!」
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闇の中更に深い深淵に潜む影
ただひたすらに力を蓄える
全てを滅ばす為に
その時は近い
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世界が変わる




