決意
「ふぅぅぅぅ」
村にたどり着いた俺は安堵のため息をつく
辺は夜の帳を下ろし始め、村には静寂が訪れていた。
俺の鼓動はまだ激しく静寂とは程遠い。
恐ろしかった 恐ろしかった 恐ろしかった
俺には無理だ、、
左手を見ると、ぐにゃりとへこんだ原型を留めていない鍋の蓋
「〜っ」
背筋が凍る
足はガクガク震え出す
そうだ土下座しても良いから家に帰ろう
頼み込めばきっと許してもらえる
俺は震える足で家路を急ぐ
家が見えて、、、そんな、、まさか!
家の前には婆ちゃんがいた
素手の両手を合わせ、ただ一心に祈りを捧げていた
村は寒い、手袋をした俺でも手が痛くなるほどだ
朝から、、、ずっと?
何故か?考えるまでもない
俺は右手を力一杯握り締め婆ちゃんに駆け寄る
「婆ちゃん!」
「おおキー坊、無事だったんか、、良かった、、
婆ちゃん一緒に謝るけえ家に帰ろう?」
俺は静かに首を横に振る
「婆ちゃん、俺がここに来たのは家に帰るためじゃない
俺の気持ちを婆ちゃんに伝えたいからだ」
「?」
首を傾げて先を促す婆ちゃん
「俺はもう独り立ちした、一角の人物になるまで家に帰らない
だからこんな無茶は2度としないでくれ。」
「だけどキー坊」
「俺はやれば出来る男だ、信じて欲しい。」
「・・・」
婆ちゃんはちょっとお待ちと家に入り
俺に皮袋を渡してきた、、大金だ!ずっしり重い
「キー坊に渡したのは婆ちゃんの葬式費用だ
立派になって帰っておいで、それまで婆ちゃん
死なないで待っとるけえ」
「婆ちゃん・・・」
俺は家を後にする、足の震えはもう止まっていた。
村の広場に着いた。
小さな村なので宿屋がなく
外来の客用に大きめのテントが張ってあるが
辺りが暗いと妙に迫力があるな、、、
今日はここに泊まろう
他に利用者は居ないみたいだな
テント内に幾つも設置している焚き火台の前に行く
来る途中に拾った枯れ木を焚火台に入れ
スライムゼリーをリュックから取り出し流し込む
脇に置いてある火打石を使い火を点けて、はい!出来上がり
鮮やかな青白い炎が冷えた俺の体を優しく照らす
スライムゼリーの用途は多く、木に染みこませば
10時間は消えないらしい、ビバ!スライムゼリー
、、、ブルッ、、寒いな、ブランケットを購入する必要があるか、、
まずはこの辺の魔物を圧倒出来る実力をつける
前回の殺されかけた記憶が頭をよぎり、恐怖が頭を支配するが
強引に押さえ込む、恐怖が消える位強くなってやる!
それにしても、、今日は、、疲れた、、、
「寒っ」
あまりの寒さに目が覚めた
焚火台に目をやると火が消えかかってる
火消し棒で火を消し外に出た。
冒険2日目
竹槍は戦いに使えないので棍棒に持ち替えた
竹槍は焚き火用にテントに置いてきた。
スライムだけを狩った
色違いも襲ってきたが大差ないな
20匹目でレベルアップ
冒険3日目
竹を燃やすとあんな大きな音を出すとは、、、
ちびりそうになったぜ
棍棒も自在に振れるようになった
リュックはテントに置いてきたし
お金は銀行にあずけてきた。
逃げることは何時でも出来る、、後は、、
コボルトが現れた
やってやる!
震える足に喝を入れ一歩踏み出す
コボルトが棍棒を振りかぶり襲いかかってきたが
俺は容易く避けながら棍棒で頭を一撃した
コボルトを倒した。
「は?」
余りの呆気なさに力が抜け
地面にストンと膝をついた瞬間
頭のスレスレを何かが通り抜けた
後ろを振り向くとバランスを崩したコボルトが
たたらを踏んでいる
反射的に棍棒で足を払い倒れた所に棍棒を叩き込む
「2匹いたのか・・・」
もしあの時膝をついてなかったら、、、
慌てて周りを見渡す!魔物はいないな
フィールド全体が把握出来るように
立ち位置を常に変える必要があるな
コボルトが2体現れた
間髪入れず1体に棍棒を叩き込む
反応出来ずに頭が潰れたコボルトを盾に
左に回り込む、周囲に目を向けつつ
死体をようやく退けたコボルトに
先ほど手に入れた棍棒を投げつける
顔面に直撃を受けよろめいた所に棍棒を叩き込んだ
「よしっ」
体に漲るレベルアップの感触と共に[何か]
を掴んだ確かな手応えを俺は感じた。
名前 キール・ライトニング
LV 6
HP80 MP3
職業 戦士
筋力 20
俊敏 50
知性 5
直感 20
器用 10
意思 40
魅力 20
幸運 100
技能 真眼[弱点を瞬時に見抜く]
空間把握[奇襲攻撃無効]
???
加護 婆ちゃんの祈り[即死攻撃無効]