タイタニアの街
「二人共無事か?」
尋ねる俺に俯く二人、何だ?
「クリス!ティーナ!顔を上げろ!」
俺の張り上げた声に弾かれたように顔を上げる二人、泣きそうな顔を見て心が痛む。
「何があった?」
「父さん・・俺達は・・・」
クリスが話し出す、村で起きた出来事を・・・ふう・・・俺は冒険者カードからギルドへこの村の事を連絡する、これで芋ずる式に犯罪グループを挙げる事が出来るだろう。
「クリス、ティーナお前等二人がした行為は非常に適切だ、何一つ間違ってない」
「父さん・・・」「お父さん・・・」
「閉じ込められ、逃げようとした10歳の二人を再び罠にかけ、一人しか脱出出来なかった。周りを囲む大人達に対し、身動き取れるのは10歳のティーナだけだ。今回[偶然]ティーナに卓越した戦闘技術があったから何とかなったが、本来は逆の結果だろう、これでお前等が悪いと言う奴がいるなら全ては親の俺が責任取ってやる。」
俺は一旦言葉を切る・・・さて
ポカッ ポカッ
「痛っ」「痛い」
「それでも自分達が悪い事をしたと思うなら違う結果を出せる[力]を身に付けること!現実はあるがままが全て、理想に現実が追いつかないと、それはただの夢物語だ。」
「「はい」」
「湿っぽい話はこれでお終い!」
二人共元気出たみたいだな・・・ニート時代にウジウジ益体のない思考を繰り返し出てきた理論であるが役に立つ事もあるもんだな。
それにしても奴隷の村に野盗の砦、大量のスケルトンに竜人か・・・何かが引っかかる・・・何だこの喉に魚の骨が引っかかったような気持ち悪さは・・・ピコーン!
「クリス!ティーナ!今日の飯は魚にしよう!途中で川を見付けたんだよ!俺とティーナで魚を捕まえるから下準備と料理はクリスが頼む」
「はい」
「私も料理したいー!」
「うーん、[クリス]がな、ティーナが結婚したい相手が出来るまで料理は教えられないって言ってるんだ・・・花嫁修業ってやつだな!」
(汚っ、俺に振った!しかも何その言い訳!?)
「ティーナお父さんと結婚したい!」
「はははっ、そっかー・・・親娘は結婚出来ないからな!残念だが」
「駄目?」
「駄目じゃねえし!そうだな物事には[順序]がある。まずは[クリス]のだけティーナが作ってご覧?兄を満足させずに父を満足させる事なんて不可能ダゾ!」
「・・・ティーナは父さんにも食べてもらいたいよな!」
「うん!」
「クリス貴様・・・」
「そおいう事だから、と乙さん、[皆]の分ティーナと作るね」
「今父の呼び方変だったよね?」
「どおしたの?おと乙さん」
「ティーナも真似してるし!」
多勢に無勢、勝てるわけもなくトボトボと川で魚を捕ってきた。
迂闊だ、ティーナに料理をさせては駄目なのに、可愛い事言うからつい・・・。
ティーナが料理したものは全て得体の知れないものへと変化する、原因は分からない。
それは焼き魚も例外では無い・・・人知を超えている。
腹を壊すのは俺とクリスだけでティーナは美味しそうに食べていた・・・謎だ。
俺とクリスは改めてティーナに料理はさせまいと誓い合った。
その日は街道の傍で野宿し、旅を再開した。
今までの反動か道中何事もなく進み、新しい街に着いた。
街に入ったら、熱気がここまで伝わってくる!クラフトとは別の意味で圧倒される、出店が武器屋と防具屋ばっかり!武器屋のおっちゃんに話を聞いてみる。
「この街って武器屋と防具屋が多いね?」
「おう?この街は初めてか?ここはタイタニア、闘技場のある街でな!闘技場の優勝者が手にした武器と防具は爆発的に売れるのよ!それに腕の悪い奴が使用しても良い武器と防具は逆に目立つ!だからこの街は職人の腕自慢が集まり出店を出すって寸法だな!」
「成程ねー、闘技場は勝ったら金貰えんの?」
「おう!優勝者は賞金100万!」
「豪気だね!参加費用とかかかるの?」
「無料だけど・・・何だ兄ちゃん文無しかい?」
「そうなんだよね、一つ闘技場で儲けようと思ってね!」
「カーッ、兄ちゃん止めとけ、子供連れが参加するもんじゃねえ!人質に取られたり、ろくなことにならねえ!冒険者ならいい仕事があるぞ?」
「何何?」
「それはな・・・」
俺は今酒場に来ています。この街は酒場の客の入りが非常に良いらしく、雑用として雇って貰った。おっちゃんの紹介だ。宿屋も兼業してて給料は安いが無料で泊めて貰えて食事も付いてくるという正にフルコースなお仕事!おっちゃん有難う!
「こっち酒持ってこい!」
「はい只今!」 サッ
「女持ってこい!」
「はい只今!」 うっふん
「「・・・」」
「殺すぞコラ!」
酔っ払いが現れた!
酔っ払いは武器を取り出し攻撃
無刀取り発動
拍手喝采おひねりが舞う
「やるじゃねえか」 固い握手
「こっちお摘みまだか!」
「はい只今!」 サッ
「イイ男持ってこい!」
「はい只今!」(キリッ)
「「・・・」」
「てめえ殺すぞ!」 Σ(゜д゜;)
「え?」
「「・・・」」
「ふははっお前面白いな」 固い握手「?」
「料理来てねーぞ!」
「はい只今!」 サッ
「歌歌え!」
{ぼ~~~~え~~~~}
「「「「ぎゃー!いやー!」」」」 阿鼻叫喚
(´・ω・)
酒場の業務が終わり、二人が部屋に戻ったのを確認してギルドに向かう、お金がないから臨時で働いたが、お捻りも加えて二日分の宿代が手に入った。クエストを受けて行動するには十分だ。
俺はマホコンを起動Sランクのこの地域のクエストを探す。
1火竜の討伐 100万
25千年草の採取50万
54闘技場の警邏と要人の警護
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
[竜]か・・・俺の頭に緑の竜人の姿が浮かぶ・・・これにするか。
依頼内容
タイタニア西のコクリコ山に火竜が住み着いた。
人食いの為近隣の村人が定期的に襲われている、至急討伐を依頼したい。
尚、既に冒険者十名が返り討ちとなっており、後3日以内に討伐できなければSSランクへ引き上げられる、火竜の住処には、千年草がある為、同時にクエスト受注可能。 パーティー受注クエスト現在一名
明日の朝7時タイタニア入口で合流
証拠提出
火竜の首
期限
明日より三日
報酬
100万÷人数
これで行くか!火竜討伐と千年草の採取受注っと、そんじゃ帰りますか。




