表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
調律師  作者: 小高まあな
第三章 龍と一人の女
85/157

3−3−3

「それでねー榊原君」

 杏子の話を聞き流す。英単語帳をぺらぺらとめくる。

 はやく帰りのSHR終わらないだろうか。

 単語は頭に入らない。いつまでもメールを待つなんて女々しいな。本当にただ単に、仕事が忙しいのかもしれないのに。社会人だから。

 自分で考えたその言葉に、自分で傷ついた。何にしても傷つくのか。

 どんっ

 杏子の声を遮る様に、突然大きな音が響いた。

 枝が一つ、窓に当たった。

 教室にいた全員が窓の方を見る。遠くの方で枝葉が風に舞う。

「何ー?」

 杏子が呟く。教室がざわめく。

「え、台風?」

「こんな急に?」

 だんっ

「榊原君!?」

 机を蹴飛ばす様にして立ち上がると、龍一は教室を飛び出す。

 今、見えたのは! 今のはっ。

「榊原っ!」

『龍一!』

 後ろから声をかけられる。翔とちぃちゃんだ。

「巽っ、今のはっ」

 頷かれる。

 呼吸が、止まるような気がした。

 あの、窓の外に見えた黒い影は。

「沙耶さんの、龍だ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ