表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
調律師  作者: 小高まあな
第三章 龍と一人の女
84/157

3−3−2

『よぉ、龍一』

 頭上から聞こえてくる明るい声に眉をひそめた。

『りゅーいちー、きいてるのかー』

 学校にいる幽霊のちぃちゃんだ。答える代わりに右手をあげた。

 テンションがあがらない。

 昨日の遊園地の一件から、沙耶からメールが返ってこない。やっぱり、怒らせたのだろうか。それとも他の何かだろうか。

「榊原」

 かけられた声に振り返る。

「おはよう」

「ん、おはよ」

 巽翔だった。

「暗いな……。沙耶さんから連絡がない?」

「ああ。何か聞いた?」

「いいや、悪い」

「そっか」

 ため息をつきながら、教室のドアをあける。

「おはよー、榊原くーん」

 甲高い杏子の声にもう一度ため息をついた。




 目が覚めた。

 頭痛は少し和らいだ。

 沙耶はゆっくりと体を起こした。

 正午過ぎ。

「仕事、行かなきゃ」

 立ち上がる。

 その前にシャワーを浴びて、円の部屋にはいくつか服を置いている。化粧品も少し借りよう。

「よし、大丈夫」

 微笑んだ。

 鏡の中の自分はちゃんと笑っていた。


「沙耶、今から来るって」

 ケータイを閉じながら円が言った。

「そっか」

「んー」

 少し宙を見て、

「心配だからちょっと迎えに行ってくるわ。うちからだと交通の便悪いし」

 言って円は立ち上がった。

「なんだかんだで円は俺より心配性だよな」

 直純が小さく呟いて笑った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ