48/157
2−2−9
怯えていた。
あの子はずっと。
自分自身に。
そんな状態で化け物なんて聞かされたら、自分だったら死にたくなる。
「どっちが、化け物よ」
走りながら小声で吐き捨てる。
自分の娘ではない、と言っていた。それなら結構だと思った。
あんなやつには渡さない。頼まれたって渡さない。
「あの子は、私の、」
ぐっと唇を噛むと、勢い良く地面を蹴った。
子どもの足でそんなに遠くに行ける訳がない。時間にしたらほんの少しの出来事だったのだから。
はやく見つけないと。はやく会って、そして……、