表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
調律師  作者: 小高まあな
第二章 一海家の一族
47/157

2−2−8

「ごめんねー、沙耶」

 さっきまでケーキを食べていた部屋に戻る。

「あれ?」

 そこには食べかけのケーキだけが残されていた。

「どこ行ったー?」

 言いながら円はテーブルクロスをあげ机の下をのぞく。

「そこにはいないと思う、よ?」

 思わずつっこむと、

「いや、子どもの考えることってわかんないから」

 真顔で返された。やっぱり多少はためらって欲しいような気がしてきた。

「あ、ちょっと」

 廊下の使用人をつかまえる。

「沙耶、知らない?」

「先ほどあちらで」

 そういって二人が歩いてきた方を指差す。

「お見かけしましたが、大道寺様と」

「あんなのに様は要らない!」

 円が大声をあげる。

「えっと……」

「ごめんなさい、続けて」

 円を一歩下がらせて、続きを促す。

「その、お会いしていたのではないのですが?」

「沙耶ちゃんも?」

「ええ、てっきりそうなのだとばかり……」

 小首を傾げる。

「ありがとう、お仕事に戻ってください」

 使用人は一度頭を下げると歩いて行く。

「廊下で、見かけたって、あの子、まさかさっきの聞いていたんじゃ?」

 円が血相を変えて、叫ぶ。

「いや、それはまずいだろ」

 大道寺の言葉を思い出す。

「あの……」

「何っ!?」

 かけられた声に慌てて振り返る。さきほどの使用人が

「玄関に、沙耶様の靴がなかったんですが……」

「私、外探してくる!」

 怒鳴るようにして言い残し、円は外にかけて行く。

「あ、ちょ」

 直純の静止の声も届かずに。

「どっちにいったかの予測ぐらいたててからにすればいいのに」

 直純は無鉄砲で、だからこそ優しい従姉を思い、小さく笑う。

「宗主と父に連絡をお願いしていいですか? あと、手の空いている人間で家の中を一応探してください」

 かしこまりました、と一礼し、使用人は早足で去って行く。

「さてっと、冷静な部分はちゃんとフォローしないとな」

 と、自分の式神を呼びだした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ