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調律師  作者: 小高まあな
第二部 Dogwood ask"Do you know?"
35/157

プロローグ

 あの家にはじめて訪れたとき、庭にはたくさんのハナミズキが咲いていた。

 あたしは、その後の人生をあの家で過ごした。

 ハナミズキは何度も、何度も、花を咲かせ、散って行った。

 ハナミズキは、すべてをみていた。





 都立瀧沢高等学校新三年生の榊原龍一は、クラス発表の紙を一組から順番に目を通していた。「さ」とか中途半端で探しにくい、と彼はいつも思う。いっそ「あ」とかから始まってくれれば、一番上を探すだけで済むのに。

 三組のところでやっと自分の名前を見つけ出した。ざっと下まで目を通す。友人も何人かいるようで、ひとまずそれには安堵した。

 三年間変わることのない、使い慣れた下駄箱から上履きを取り出し履き替えると、三階に向かう。

『おお、こっくりさんに憑かれた兄ちゃんが来たぜ!!』

 階段を上っている途中で、幼い男の子の声がして一気に龍一は眉をひそめた。

『少年よ、何組だ!?』

 右手の指を三つ立てる。

『そうかそうか、三組か! よっし、今年は三年三組に入り浸ろう!!』

 龍一の周りをうろうろと飛びながら、学生服を着た幽霊“ちぃちゃん”は笑った。


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