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調律師  作者: 小高まあな
第八章 僕はおもてで呼んでいる
155/157

4−8−8

 大道寺沙耶は、カレンダーを睨んだ。

 大きく○を付けた日付を撫でる。

 翔から聞いた、榊原龍一の最後の試験が終わる日。

 そのまま手を動かす。この日から既に四日経った。

 いい加減、覚悟を決めるべきだ。

 悩んだ末に、この四日間ずっと行っていた動作をする。ケータイを開き、アドレス帳から榊原龍一の名を呼び出す。

 それを見つめる。

 あと一つ、ボタンを押せば繋がる状態でしばし悩み、大きく息を吸うと、吐き出す勢いで通話ボタンを押した。今日こそ。

『もしもし?』

 コール音の後、しばらく聞いていなかった声が聞こえる。

「龍一君、ごめんなさい。受験、お疲れさま。今、平気?」

『うん。ありがとう』

「あのね、話があって」

『うん、俺も…』

 意を決して切り出すと、向こうも同じように言った。

「電話だと、あれだから。明日とか、平気?」

『うん』

「……うちの場所、わかるよね?」

 声が震える。

『大丈夫』

「それじゃあ、明日、来てもらってもいい?」

『うん』

 相手は何一つ躊躇うことなく、返事した。

『それじゃあ、明日……』

「うん、待ってる」

 言って通話を切る。

 大きく息を吐き出す。緊張した。

 ペンを持ってくると、カレンダーの翌日の日付に大きく○を付けた。


 決戦は、明日だ。

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