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調律師  作者: 小高まあな
第二章  かつての恋人へのささやかな贈り物
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4−2−4

「おー、このクッションまだ持ってたんだー」

 沙耶のお気に入りの大きめなクッションに賢治がダイブする。

「これこれ、この感触が好きなんだよなー」

 そうだったっけ? と思う。覚えていない。

「でさ、いいの?」

「何が?」

「さっきの彼。沙耶の今の彼氏じゃないの?」

 賢治が微笑んで首をかしげる。

「……そんなんじゃないよ」

 そ、と賢治が小さく言った。

「でも、もう後悔しないようにね」

「……うん」

 含みを持たせた言い方に、素直に頷く。後悔は何度もしてきた。

「賢」

「うん?」

 隣に座り、その右手に抱きつく様にしがみつく。

「お願い、もうひとりにしないで」

「沙耶?」

 賢治が首を傾げる。

 その首筋に腕をまわす。抱きつく。

「沙耶っ」

 慌てたような彼の声を聞きながら、ぐっと腕に力を込めた。堂本賢治がどこかにいかないように。

 宙をさまよっていた賢治の手が背中に回されるのを感じながら、きつく目を閉じた。

 後悔なら、今、している。


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