未知の衝動
白光がふと消えた瞬間に胸もとに何かがあたった。
と思ったら、ウアーって声が聞こえて、また次の瞬間
ゴロゴロドンガンゴン…ドサッ
って何かが落ちる音が聞こえた。
反射的に大丈夫かっ?って声をかけてみたが、応答なし。
おそるおそる階下に降りてみる。
なにしろいきなりのことで胸がバクバクしている。
が、何より驚いたのは一瞬聞こえた声に、だ。
あれは女だった…よな?
おかまじゃ、なかったよな?
暗闇の中階下にうつ伏せになって倒れている人物に近づいてみる。
どうやら気を失っているだけのようで、息遣いも大変細々だが確かに確認できた。
とりあえず得体は知れないが怪我をしているならば手当てをしなければならない。
出血の有無を確認して、頭を無理に動かさないようにそっと腕に抱きかかえる。
自分には腕力がないことは請け合いなのでお世辞にも軽いなんて言えないが、それでも抱き上げた時の感触やほのかに香る優しく甘い匂いは同性では考えられないほど心地よく、しかしながら制御し難い衝動を体の奥深くに与える。
ワケのわからない衝動に首を傾げながらとりあえず俺はこの人物の手当てをするため、自室に続く廊下を歩いていく。
もしかしたら、の期待と不安を両手に抱えながら。
別に彼は男色であるわけじゃありません。。
でも知らない、んです。