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稚拙な野望と真綿の罠

俺が見とれる余りに呆けていると彼女はその瞳を少し眇めながら微笑んで何かを言っていた。



そう、何かを言っていた。



おおよそこの地方では、いやこの国では聞くことのない『言語』と呼べるであろう音の羅列。



田舎者の俺にだって分かる、彼女の際立った異質さ。

それは風貌だけのものではなかったのだ。



その予想は俺がどう応えるべきかを迷わせた。



もし普通の状況であればここでどこから来たのか、何者なのかを聞かねばならないはずなのだ。

訛りがあるとは言えこの国は大陸共通語を母語とする者が多い。

仮に異邦人だったとしても、それが如何に学がない階層の者であったとしてもこの大陸に住まう者であれば、カタコトながらでも大陸共通語は聞いて話せるはずなのだ。


ではこの少女が一切大陸共通語を話せなければ、それは一体何を指し示すのか。



喜びからなのか、俺は鳥肌が全身に立つのを感じた。

期待か、願望か、渇望とも呼べる純粋な希望がもたげる。



お得意の妄想も今度ばかりは現実味を帯びていると言ってもいいだろう。



早合点だと笑わば笑え。


だが彼女はきっと俺の夢を叶える鍵になるはずだ。



そしてそのためには、今彼女を、決して逃してはいけない。




どうやら俺が考えこんでいる時に自分で昨夜打った患部に触れてしまったらしい。

痛みに悶えている彼女の側に寄り早速手当てを開始しようとしたのだが…。


熱視線とも言えるほどの視線を向けられて、知らぬ振りをしようとして失敗する。


うう…気恥ずかしい。


向こうが間近で観察出来る距離は即ち俺にとっても相手の挙動を感知できる距離になる。



無垢な瞳に興味の色をたたえて俺を見つめ続ける彼女。


何がお気に召したのか、目があうとまるで新芽が綻ぶように破顔する。



俺の理性よ、よくぞ耐えた。

鼻血出なくて本当に良かった。



彼女の笑顔に絆されまくっていた俺だったが、ふと先ほど痛みにうずくまっていた光景を思い出し我にかえった。



何をしにきたんだ、俺の馬鹿!



急いで持って来た食事と薬を寝台脇の机上に置く。


そして初めて話し掛けた。


「どこか痛むところはないか?」



案の定彼女は吃驚した顔をして、ついで眉を寄せ首を傾げた。



その焦り困った顔は更に俺の推論を決定づける。



少なくともこの大陸の人間ではないであろう彼女。それだけで十分だ。もはや何処の誰かなんて大した問題ではない。



野望と言うには余りに稚拙過ぎる夢想に輪郭を与えてくれるのは、きっと彼女しかいないのだ。



だから俺は、君に逃げられないように、罠を張り巡らせよう。


いつか真実を知った時には既に手遅れになっているための、真綿の罠を。





物語自体の進展のなさ…。我ながら見事すぎますね;


彼、ああ見えて色々考えてる人なんです…。笑



自分でも何書いたかよく分からなくなったので、まとまった時間が出来たら改稿する予定です。

何卒宜しくお願いします。


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