【読者への挑戦状】
かの有名なエラリー・クイーンの手法に則り、読者への挑戦状を設えさせていただきたく思う。ただし拙作だけに、恥ずかしながら手掛かりが曖昧な部分は否めない。そこで補足と同時に、フェアな謎解きの舞台を整える為、以下の条件を今一度、読者諸氏と共有しておきたい。
・語り手が持つ死神の能力は、大雑把な時刻しか分からない。ゆえにその力によって犯行時刻を導くことは出来ない。
・土砂崩れを予想することは誰にも不可能である。
・犯行は計画的ではなく、衝動的なものであり、現場に残されたハサミによる刺殺である。
・足跡を二重に歩いた形跡、ないし犯人によって足跡の隠滅がされていないことは確かである。
・邸宅の玄関の鍵は一つだけであり、スペアはない。
・邸宅の窓の施錠はされており、外周に足跡を付けずに玄関や裏口を行き来は出来ない。
・裏口も正面玄関と同様に、邸宅の外周を廻ろうとすると足跡が残る。
・犯人以外は、意図的に嘘の証言をしていない。
・事後共犯等を含む、共犯者はいない。
・犯人は登場人物一覧の中にいる。
改めて――ここに至り、犯人を指摘する条件は整った。問いは一つ、
・禍津神之介を殺害した犯人は誰か?
願わくば読者諸氏の、論理的な推理に期待している。
問題編 了