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光勇者と闇勇者  作者: 神宮杞憂子葉
一章 はじまりの勇者
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第一話「勇者誕生」

夏は真っ只中だが、朝は涼しい。

雀達の囀りと道端で挨拶を交わす近所の老人達の会話が静かに響く住宅街にその娘の家はある。

娘は聞き慣れたメロディを奏で始めたスマートフォンのアラームを頭まで被ったタオルケットの中から手を伸ばし器用に止めてみせた。メロデイの続きを眠そうに口ずさみながら大きく背を伸ばす。


「……♪♪♪~っーーーーっはぁ…よしっ!」


勢いよくベッドから起き上がると制服を着る。夏休みは始まったばかりだが今日は朝練があるためだ。

県立「六耀高校」剣道部次期主将と噂される(すめらぎ) (ゆい)は階段を降りるとリビングのドアを開け両親に砕けた挨拶をし、夏休みで夜更かしばかりしている弟の話や学校の話、部活の話などを同じ食卓に座る父と話しながら母が用意した焼きたてのトーストを齧った。

早々に食事を済ませ、後を追ってきた愛犬の頭を撫でながら、リビングに向けて少女は元気よくいつものように言う。


「んじゃ、朝練行ってきますっ!」


「いってらっしゃい。車に気を付けるのよー。」



リビングからいつものように母の声が上がるのを確認し、玄関で靴を履くと扉に手をかけた。

カチャリと開いた扉から差し込む強過ぎる光。

ユイは陽光のような暖かさを感じないその光に包まれた。




ユイが恐る恐る目を開けるとそこには何も無い真っ白な空間があった。自分しか存在しない空間。地面を踏み締める感覚さえ無い。上も下もないそんな空間に、気を抜くと自我さえ薄れてしまうような錯覚さえ起こすそんな空間にユイは漂っていた。


不意に声が響いた。

優しい、どこまでも優しい慈愛に満ちた声。


「勇者よ…勇者…光の勇者よ…」


ユイは声の主を探るべく辺りを見回すが、声の主は見当たらない。


「ここです、光の勇者」


ユイの目の前にぼんやりと儚い輪郭が浮かび、それは鮮明に人の形を形成していった。


スラリと伸びた手足。透き通るような白い肌。金色の長い髪は腰までキレイに伸びている。

大きく実った胸。細長い1枚の真っ白な布を巻き付けたような衣類はほぼ半裸のような出で立ちで、まるでお伽噺に出てくる女神のような佇まいにユイは息を飲んだ。


「女神…様?」


女神と呼ばれた女性は静かに頷くと胸元で祈るように手を合わせ優しい口調で続けた。


「勇者よ…ある世界に危機が迫っています。」


「勇者…?危機…?」


「はい、その世界の名はアルムガルド。貴女のいる世界とは別の次元、別の存在です。」


「あの…勇者って私のことですか?」


「はい、貴女は選ばれました。アルムガルドを救う勇者としてその世界に招かれるでしょう。」


「私が勇者…?」


「全能なる神が勇者様に与えられたお力は強力にして絶大。そのお力でかの世界を導いてください。」


「でも女神様!私そんな強い力なんて…」


「私の名前は女神ツィミエル。貴女が全能の神より授かりし力を伝える者。微力ながらもお伝えさせていただきます。」


「…お願いします!」


夢、なのだろう。

ユイはそんな気持ちだった。

昨晩に家族で一緒に観た映画。何度も再放送されているその大人気のファンタジー映画を今回も家族と共に観て興奮した。

少女が強力な力を得て悪に立ち向かう様は何よりもユイの心を鷲掴みにしてテレビに釘付けにした。

きっとその印象が強すぎて夢にまで出たのだろう、とユイは思ったがそれならそれで自分自身もなりきってみようという軽い気持ちで女神ツィミエルと名乗る女性とこうして会話をしている。


「では…」


アルムガルドでは本来自分の言葉は理解してもらえないが自動的に翻訳されて普通に会話が出来ること。その概念は文字にも影響を及ぼすこと。

魔法という概念があること。

武器や防具は装備しないと効果が無いこと。

魔物を倒すと魔塊(マカイ)という結晶石を落とす。それは魔物の強さに応じて純度が増し非常に高価且つ換金出来るのでちゃんと拾うこと。

魔物を倒すと経験値というものが貯まり、レベルというものが上がること。

レベルが上がると能力の上昇やスキルや魔法の習得が可能になること。

ツィミエルは様々なことをユイに教えた。


(…RPGかな?)


ユイは頷きながらなんとなく思う。


「勇者の力は光の力。魔王の闇を打ち払う一筋の光となるでしょう。」


「分かりました!」


ツィミエルは満足そうに頷く。


「貴女に神の御加護がありますように祈っております。最後に…」


「???」


「このアルムガルドは貴女の世界と対となる世界。万が一アルムガルドが闇に染まれば…」


ツィミエルはユイから寂しそうに顔を逸らすと目を瞑った。


「貴女の世界も破滅へと向かうでしょう…。」


「えっ…?」


「ですが私は信じています。貴女が再び世界に平和をもたらすことを!…どうやら別れの時が来たようです…。」


ユイはツィミエルに向けて手を伸ばそうとしたが届くことはなかった。

正確に言えば腕がうっすらと消えかけている。

勿論痛みは感じない。


「勇者よ…信じております。いずれまた約束の地でお会いし……し……ょ……」


再びユイは眩い光に包まれた。




目も開けられないほどの眩しさにユイは只々困惑したがそれはほんの一瞬の出来事だったようだ。

ゆっくり瞼を開け、恐る恐る辺りを見回す。

人。人。人。

煉瓦造りのドーム状の部屋。

窓には剣を振り上げた男と青黒い影のような竜が戦っている1枚絵のステンドグラス。

そこから光が射し込んでおり、ユイの背中に暖かな陽光を注いでいる。

自分を取り囲むフードを深々と被った人と映画などで見たことがあるような西洋甲冑を纏った人々。ユイを見つめる瞳は何故か怯えている。

フードを被った数名は彼等より少しだけユイに近付き両手の平をこちらへと向けている。


「えっ、えっと…なに、これ…?なんですか…?ここ、どこ…ですか?」


ユイの頓狂な声が辺りに木霊する中、ふいに静寂を切り裂く力強い声が響いた。先程からこちらに手を向けていたフードを被った男だ。


「ひ、光の属性!光の勇者です!光の勇者です!!!」


その声を発端に耳を塞ぎたくなるほどの歓声がユイを襲った。金や宝石を装飾したローブを纏った整った顔立ちの初老の男はその声を片手で制止し、微笑みながらユイの前に歩み寄り、片膝を付く。


「御無礼を御許し下さい。私はこの国の国王ギルバルド・ル・アースティアと申します。光の勇者様。」


「こくお…?えっ、光のゆうしゃ…?」


ユイは困惑しながら跪いた国王と拍手喝采を送る人々をただ見回した。





井ノケ(イノガセ) (ハナ)は暗闇の中カーテンから差し込む朝日に気付く。

夏休みは始まったばかりだ。

今年の春から無課金で開始して、ドハマりしたネットゲームは夏休み開始と共に少しだけ課金を始めた。きっかけは単純で眺めていたパソコンの画面に映った広告だった。【キミがキミでいるためのRPG】という謳い文句に興味を持ったのがたった1つの理由だった。


夏休みは良い。

学校は嫌いではないが、どうも馴染めていない気がする。それは去年の春に都立「白月高等学校」に入学してからずっと思っていたように思える。友達がいないわけではない。親友と呼べる友人がいるわけではないが、そこに孤独感を感じたこともない。だが、何処か自分のいるべき場所という感じがしない。何かが物足りない。きっとそうなのだろう、と思った。

ネットゲームは良い。

この世界では自分は自分になれる。【キミがキミでいるためのRPG】の謳い文句は伊達ではない。この世界が自分の現実になればいいのにと思わない日は無いほどに。ハナは常々そう思っている。

そう、まるでこの現実に現実を感じていなかった。


母が離婚して何年目だろうか?父の顔は思い出せるが、時々その顔が朧気になるときがある。

会社の部下と不倫をし、私達家族を捨てた父。寂しいなどと言った感情を父に対して持たなくなって久しいが、その分母が自分へと向ける期待には時折押し潰されそうになる。そんなハナにとってネットゲームの世界は逃避するには最適の場所だった。

ディスプレイの中には親友と呼べる仲間がいる。

優しい仲間達、共に戦い喜び分かち合う。

共に困難を乗り越えたり、他愛の無い会話を夜遅くまで延々と続けたり。

母が不審そうに部屋のドアを開けるほど大きな声で笑うこともあれば、仲間の相談に乗りながら一緒に泣くこともあった。

自分が何かの物語のように異世界へ転送されるようなことがあればきっと上手くやれるだろう。ここではないどこかならば。

そんなことを思いながらハナは背伸びをした。


「えっと…朝御飯を食べてシャワー浴びて、キキがインするまで換金アイテムでも集めておこうかな」


ネットゲーム内の友人キキとの待ち合わせ時間は朝9時。今日は朝から彼(?)と新しくオープンしたダンジョンの攻略を予定していた。

キキはハナが仲間達と創設したギルド【月の翼】に新たに加わったメンバーだ。ダンジョン内部で瀕死だった彼に回復を施したところ非常に懐いてしまい、その場で加入した。

夏休みを楽しみにしていることや高校受験が本当に億劫だ、と昨晩語り明かしたところを考えると現実世界のキキは恐らく年下なのだろう。

弟が欲しいと思っていたハナにとってはとても可愛がりのある存在となっていた。

そんな弟のような存在だからこそ、寝ずにプレイを続けて受け渡しが可能なアイテムの収集に努めていた。

キキの喜ぶ顔が目に浮かぶ。それはあくまでディスプレイ上に映る顔文字や文字列なのだが、きっと実際に喜んでくれるだろうとシパシパする目を擦りながら「これもある種の推し活なんかな」とハナは微笑んだ。


軽く背伸びをして椅子から立ち上がった。

不意にふらりと立ち眩みを覚えながら机に掴まる。ディスプレイに目をやると強い光がハナを襲った。その光は部屋を覆うほど広がり、ハナはその光に飲まれた。


「…えっ……ぇっ?!」


こうしてハナの旅が始まった。






大陸西部に位置するルーディア。その王都「シュナイト」の召喚の間。

この召喚には国の命運が掛かっていた。

国王ハインツェル・ルーディアも召喚の儀を指揮していた。

鉱石が枯渇し始め、いよいよ以て経済が破綻し始めている。恐らく各国の王達は気付いているだろう。世継ぎの娘を流行り病で亡くして間もない。今この国の未来は暗い。

そのためにも光の勇者の召喚はまさに国の命運がかかっていた。

召喚の儀の最後の詠唱を進めさせた。

光の勇者か戦士が現れれば国は富み、そうでなければ確実に滅びの一途を辿る。

まばゆい光に目を細めながら、ハインツェルはその光の収縮を見続けていた。

が、そこには何も無く。

ただ中央に座していた召喚石を設置した場所からは虚空に向けて煙が立っていた。

王は無言で立ち上がると召喚の間を後にした。

この国はもうじきに終わる。

自分の代で終焉を迎える。


「ここまでなのか…」


苛立ちを壁にぶつけるほどの気力も無く、王は自室に閉じ籠った。


その日の深夜。

暗闇と静寂に閉ざされたはずの召喚の間から再び大きな光が放たれ、ルーディアは波乱の幕を開ける。

側近から事を聞いたハインツェルはベッドから勢いよく飛び出し、着の身着のまま召喚の間へと駆けつけた。



時間は少し遡り、あの強い光に襲われたハナは気を失っていたようだ。朦朧とした意識の中辺りを見回す。

何も無い空間。見渡す限りの真っ白な空間。

歩くことも泳ぐことも試みたが、進めているのかも分からないその空間でハナは思考する。

夢を見ている。

徹夜でゲームをしていたのだから、疲れて眠ってしまったのだろう。そして夢を見ている。ハナは暑くも寒くもないこの不思議な空間という揺りかごに揺られ、まどろみながら虚空に身を漂わせていた。


不意に声が聞こえた。

優しい、どこまでも優しい慈愛に満ちた声。



「勇者よ…目覚めなさい…」


「……(誰だろ、綺麗な声だな。心地良いなぁ。)」


「勇者よ…」


「……(でも、もうちょっと寝かせてほしいなぁ。)」


「…………おい。聞こえてんのか、オマエだよオマエ…」


地母神のような優しい声から一転、唸るような低くドスの効いた声が響き、ハナの意識は一瞬にして冴え渡った。

勢い良く中空にて背筋をピンと伸ばし直立するハナ。

声の主の方へと体を必死に捻るように向けると、そこには金髪の美女が眉間に皺を寄せて両腕を組んだ状態で顔をやや上に上げてこちらを見下すように睨み付けていた。

スラリと伸びた手足。透き通るような白い肌。

大きく実った胸。細長い1枚の真っ白な布を巻き付けたような衣類はほぼ半裸のような出で立ちで、強調した胸の谷間や布から覗くスリムな太ももは同性でありながらもハナにエロチズムを感じさせた。静かに怒りを灯したその顔を除けば、まさに女神そのものだった。


「ハ、ハナのことでしょうか!?」


「オマエ以外他に誰がここに居んだよ、オマエだよオマエ。あと一人称を自分の名前で言うな、ムカつくから。次言ったら刺すぞ。」


圧倒されながらも無言で自分を指差すハナに女神のような悪魔のようなその美女は面倒臭そうに頷いた。


「そうそう、オマエ。オマエだよオマエ。呼んでんだからさっさとこっち来いよ」


美女に促され、再度この空間で足を前に出そうとするもやはり前には進めない。ハナの足はただ空を切るだけだった。焦り憔悴し始めたハナのその様を見ていた美女は舌打ち1つ。


「…ほんっと使えねぇな…」


美女は苛立ちを隠す様子もなく吐き捨てるとゆっくりと空中を漂うようにハナへと近付いた。


ハナは みをまもっている。


ハナの様子に呆れたようにため息を吐くと女神は勢い良くハナの胸倉を掴み引き寄せ耳元に口を近付けた。蚊の鳴くような声で「ごめんなさい」と身を縮めるハナに「うっせぇ」と女神の静かな一括。


「オマエのせいで大分時間食っちまったから手短に話すからな、聞かれたことに馬鹿みてぇに答えろ。返事は【はい】だけだ。いいな?返事は?」


「は、ははは、はい!」


「よーしよしよし。」


美女はハナの掴んでいた胸倉から手を離しシワの出来た衣類を軽く正すと鼻で笑いゆっくりと後方へと身を移動させた。

美女、目を閉じて咳払いを1つ。

組んでいた両腕を今度は胸元で祈るように手を合わせ優しい口調で続けた。

今までの低く威圧的な声は幻だったとでもいうのだろうか、ただただ慈愛に満ちた声が響く。


「勇者よ…ある世界に危機が迫っています。」


唖然としているハナに片目を薄く開けて睨む美女に気付き、ハナは返答を促されていることを理解した。


「は、はい!」


「その世界の名はアルムガルド。貴女様のいる世界とは別の次元、別の存在です。」


「あ、ハナのじゃなくて私の番だ…は、はい!」


「……しかし貴女様は選ばれました。アルムガルドを救う勇者として、その世界に招かれるでしょう。」


「はい!」


「神が貴女様に与えられたお力は強力にして絶大。そのお力で世界を導いてください。」


「はい!」


少しだけ馴れてきた。リズムゲームでもやっているような気分になっていたハナだ。

問題はタイミングを間違えると遊戯終了(ゲームオーバー)ではなく、人生終了(ゲームオーバー)になるような感覚を持った命懸けのリズムゲームだが。


「私の名前は女神ツィミエル。私に出来ることはほんの僅かです。」


「はい!」


「……ん…?…へぇ…?」


人生終了(ゲームオーバー)

ハナ はおどろきとまどっている。


「あ、い、いいえ!」


「…チッ……貴女様のお力についてご説明させていただきます。」


「はい!」


「貴女様のお力は闇の力。そのため魔王とも互角に渡り合えるでしょう。」


「はい!…え?や、闇?勇者って光とか聖とか、なんかもっと正義ぃー!って力を秘めていそ…う…な…」


ツィミエルはぶきみにようすをうかがっている。


「な、なんでもありません!お願いします、殺さな…お話を続けて貰えないでしょうか!?」


「…闇の力だからこそ戦えるのです。ゆめゆめお忘れなきよう。」


「はい!」


「貴女様の…あ、あーあ。もう時間だわ…」


祈りの構えを解いてツィミエルは気だるそうに首を回し、自分で肩を揉みほぐし始めた。

ツィミエルの変貌ぶりに目を丸くしながら様子を窺っていたハナだったが、自分の異変にも気付いた。体が末端から透き通り始めている。


「あ、あの、ツィミエル様!」


まだいたのか?とでも言いたそうな顔のツィミエルは片手で肩を揉みながら、もう片方の手でハナを追い払うような手振りをする。


「あー。あとは現地で聞け。従者を一匹付けてやっから。」


「え~…そんな…」


ハナの手足は既に消えており、胴体ももやは消えかかっている。


「あ、そうだ。アルムガルド救わねぇと、オマエの世界も滅ぶからな。よろしく?」


「なんかとんでもないこと最後に言ったーー!?」


叫びながらハナの意識は途絶えた。






汗まみれのハナが目を覚ますと辺りを兵士達が取り囲んでいた。

ハナは松明を顔に近付けられ、その熱さと眩しさで身を強張らせる。


「えっ?…な、なにっ…?」


「間違い…無いのだな…」


「はっ!間違いなく闇の属性を示しております…。しかし国王陛下、この者はまるで…」


ハインツェルは兵士の言葉を片手を上げて制すとハナを見つめハッと一瞬目を丸くしたが、踵を返し扉の前で噛み殺すようにもう一度呟く。


「そうか…。処置は明朝、私の部屋に通せ。」


重い落胆と困惑を隠せないほど弱い声が小さく木霊した。


兵士6名はハインツェル王の背中に敬礼する。

そんな様を見上げながらゆっくりと立ち上がるハナ。


「す、すみません、こ、ここは、どどどこでしょうか?」


暗闇の中、フルプレートで表情すら分からない無機質な甲冑は松明の明かりをもって更に不気味な印象をハナに与えた。

フルプレートの兵士からくぐもった声が聞こえた。その声はどこか悲しそうだ。


「明朝には王に謁見してもらいます。申し訳ありませんがそれまではこの部屋から出ぬよう軟禁させていただきます。」


ハナの質問には誰も答えず、話し掛けさせることも許さないような雰囲気に圧倒されハナは口をつぐんだ。

兵達の重々しい足音が少しずつ遠退き、仰々しい扉が重そうに開いてそしてゆっくりと閉じた。ガチャンと鍵を掛ける音が聞こえ、辺りは静寂につつまれた。


「…なんなんだよぅ…もぅ~…」


ハナは壁に掛かったゆらゆらと辺りを照らす松明を見つめながら小さく呟き、視線を落としながら口を尖らせた。

読んでいただいてありがとうごさいます!

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