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三題噺もどき3

コンビニー昼

作者: 狐彪

三題噺もどき―ごひゃくよんじゅうよん。

 


 車を停め、エンジンを切る。


 窓が開いていない事を確認して、車を降りる。

 ―近くのコンビニに来ていた。

「……」

 昼食を食べようとしたのだが、家の中に食材がなかったのだ。

 いつもなら炊飯器の中に母の朝食の残りがあるのだけど、今日は父も弁当だったらしく余っていなかった。まぁ、仕方あるまい。

「……」

 その上、我が家には食パンを食べる人が居ないので、その買い置きももちろんない。

 冷凍食品も見てみたが、弁当のおかず用しかなかったので、手を出すのはやめた。

 自分ひとりだし、食べなくてもいいかと思ったが、さすがに空腹が過ぎて何も手につかなくなりそうだったので、こうしてコンビニに来た。

 まぁ、空腹でなくても、たいして何もしないのだけど。

「……」

 自動ドアをくぐると、狭い店内に結構な人が居た。

 スーツを着ている人や作業着らしき人が多くみられる。彼らの共通点としては、昼休憩の時間ということだろう。正午きっかりに休憩なんてドラマの話だと思っていたから、こんなに人が居るとは思っても居なかった。いやまぁ、たまたまここに居る人たちが今休憩時間なのであって、他の人はもっと後だったりするんだろうけど。

「……」

 これなら少しずらしてきてもよかったかもしれないな……来た以上ここからまた引き返すなんてことは面倒なのでしないけど。近くと言ったって、それなりに距離はあるのだ。

 家が住宅街にあるせいかは知らないが、どこに行くにも微妙な距離感にある。もう少し近ければ歩いてでもいいんだけど……絶対歩くことはないと思うが。

「……」

 しかし、この調子では弁当とかたいして残っていないかもしれないな。

 パンでもいいにはいいが、それもあまり選択肢はなさそうだ。

 最近は肉まんとかも出始めたけど、そんな気分でもないし。

「……」

 とりあえず、何か飲み物を買おうと、奥にある飲料棚に向かう。

 そのあたりも人がそれなりにいた。

 スーツや作業着が群れる中で、小さな赤が目に入った。

「……」

 親子でここに来たのだろう。

 飲み物を選んでいるようだ。

 子供は赤い帽子のようなものを被っていて、小さな赤ずきんのようでとても可愛らしかった。選んでいるのはりんごジュースだろうか。赤が好きなのかな。

「……」

 昔から子供と関わることは少なくはなかったが、どれだけの数関わっても、子供と関わるのは苦手だ。母の仕事はそちら側だし、辞めた仕事もまぁ、子供が絡んでくることが多かった。それでも、直接あやしたり一緒に遊んだり気を引いたりというのは、ホントに苦手だった。

「……」

 こうして、たまにすれ違う程度なら可愛いなくらいは思うんだけど。

 直接は本当に無理だと思う。どう接していいか分からないのもあるが、私には手におえないのだ。考えていることが分からないし、どう動くか予測がつかない。

 よくあの小さな怪獣から目を離さずにいられると、親子連れを見ると素直に凄いなぁと思ってしまう。

「……」

 きっとあの子は、とても大切に育てられているんだろう。

 店の中でも大人しいし、自分の意見ははっきりと持ってるようだし。母もそれを否定したりはしないようだ。肯定ばかりがいいと言うわけでは全くないが。認めてくれる存在が近くにあると分かることは大切だと思う。

「……」

 選び終わった彼らは飲料棚から離れ、レジに向かう。

 ―さて。私も何か飲み物を選んでおこう。

 なんとなく決まってはいるが、まだ取れそうにないので遠くから眺める。

「……」

 お茶や、水……炭酸は飲めないので視界には入らない。

 紅茶もいいが……ミルクティーしか残っていない。紙パックのもあるみたいだが、アレは量が多い。あんなにはいらない。そのうえ、ミルクティーは甘いのであまり好きではない……スーパーに売っている安いタピオカミルクティーなら飲むんだけど、コンビニにそれは売っていない。野菜ジュースもいいが……んー。

「……」

 一瞬はけた内に、飲料棚に手を伸ばし、扉を開ける。

 まぁ、考えてはみたが、結局カフェラテにする。

 量違いのがあるが、少ない方を手に取り、扉を閉める。

「……」

 さて、あとはなにか食べ物を探さないと。

 しかし、何も食べる気にはなっていないんだよなぁ。

 適当にスイーツでも食べようかなぁ。










 お題:共通点・赤ずきん・ミルクティー

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