58 救護班
救護班が到着すると、穂浪は担架に乗せられた。数分前に久我が巻いた真っ白い包帯に、赤黒い染みができている。
「……待って、」
救護班が担架を持ち上げようとしたとき、弱々しい掠れた声が聞こえた。同時に、閉じていた穂浪の目がうっすらと開く。力なく動く瞳が、何かを探す。ミッシュとニーナを見つける。
「ミッシュ、ニーナ、帰るの……?」
声を掛けられ、ミッシュとニーナが駆け寄る。
「はい」
「ウン」
二人とも、少し寂しそうに頷く。
「気を付けて帰ってね。また遊びにおいで」
「有難きお言葉」
ミッシュが深々と頭を下げる。
「ホナミ」
「ん?」
ニーナが穂浪の手を握る。
「バカ ダ ト 思ッテタ ケド、 ホナミ ヤッパリ バカ ダッタ」
ニーナの言葉に、穂浪さんは「へへ、そうかも」と困り顔で笑う。
「デモ ニーナ、 ホナミ 好キ ダ」
隣にいた兄が、「おや」と妹を見る。
「アリガト」
ニーナはそう言うと、穂浪の頬にチュッとキスをした。
「え? え??」
混乱する穂浪と、照れ臭そうに笑うニーナを、周りの大人たちは微笑ましそうに見つめる。
「穂浪さん、罪な男だね」
逢坂が小声で言うと、久我は「初恋泥棒」と呟いた。
「では、皆さま、たいへんお世話になりました」
「元気でね」
ミッシュは深々と頭を下げ、ニーナは「バイバーイ」と手を振った。そして、ラシェや親戚たちとともに、広い広い宇宙のどこかにある彼らの故郷に、帰って行った。




