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怪異さまナー☆TSU・CHI・NO・KO ~口裂け女さんですか?昨日も一緒にお茶しましたよ?~  作者: おどぅ~ん
パートふぁいゔ ゲロっとグロゲロ・バリっとヤスデ

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そのニジュウゴ 仁美?

「おっと爺ちゃん、待った待ったぁ!」

「オあオあ〜〜」

「むむ?!」

 今日も町を見廻って、謎の黒い怪物を次々と祓っていた厳十郎。早速、八百屋の店先で野菜を触手でいじくり回しながら(食べる気はまるで無いようだ、というより口がどこにあるのかも定かでない)、オあオあと泣き喚く一匹の怪物を発見した。

 箒で怪物を叩いている店主の苦々しい顔。たとえ追い払えても、怪物に触られた野菜は到底売り物にはなるまい……なんたる人迷惑!厳十郎はくわと目を見開いて即座につかつかと近づき、さっと怪物を指さす。あとは気合い一発で消し飛ばせる、しかしその時に。

 眼前にいきなり現れたのはなんと、くねくね。

「ごめんね爺ちゃん、こいつはやっつけちゃダメダメ、俺っちがもらってくからサ♪おおっと俺っちまで祓われちゃう、クワバーラー♪」

 ぐねぐねと蠕く怪物の体に、負けじとくねくね蠕く手脚でぐるぐると抱きつくと、諸共に虚空に消える。

 八百屋の店主は腰を抜かし、流石の厳十郎も一瞬唖然。しかしすぐに。

「なんと!面妖な妖怪め、さては怪物どもの味方か?けしからん!今度見かけたら……!」

 どうやらくねくねは、またもビミョーに余計な手出しをしてしまったようだ。


「いやまったく……キリがないねこりゃ!八尺?()()は大丈夫かい?大分連れて来たけど、まだいけるか?」

ぽぽぽぽ(うふふふ)♪」

 ぽかぽかと生ぬるい風に吹かれて、色とりどりの花が咲く「ここ」。それすなわち、八尺様がその力で作り出す、神隠しの隠れ里。

 そして何故か嬉しそうな八尺様。

「まだまだ!もっともっと受け入れ可能よ口裂けさん!……ぽぽぽぅ!こんなにたくさんの()()を神隠し出来るなんて……ああ楽しい♪」

「「「「「「オあオあオあ〜」」」」」」

「子ど……いや、まぁね……」口裂け女はなんとも言えない顔、今この穏やかな空間にひしめいているのは、あの黒い奇妙な怪物たちなのだが。八尺様、頼もしい仲間ながら、そのセンスは理解し難い。

「お前がいいならいいんだけどさ、八尺…… それにしても厄介だよ、始末出来れば簡単なのに!『小グロゲロにはいかなる攻撃もしてはいけない』……か。しかしそりゃ、本当のことかねぇ?」

 そう独りごちて首を傾げる。そこに現れたくねくね。

「ヤッホー姐さん八尺ちゃん、また捕まえて来たゼ♪」

ぽぅ(まぁ)ぽぽぽぅ(かわいい)♪」

 口裂け女は額に手を当て天を仰いだ。


「というわけでぇ、あの、ええと、レッサーグロゲロ()()()でしたっけ?あれは口裂けさんたちが今、みんなで手分けして捕まえて、片っ端から神隠しにしてまぁす♪『攻撃しなければいい』んですよね?」

 オカルト研究会臨時集会・in「若葉」。メニューは仁美が大盛りナポリタン、早苗がシナモンティー、ノッコはいつものクリームソーダ。

 口裂け女に仁美が伝えた、怪物に関するアドバイス。それがさらに土屋に伝わると、彼は怪異たちに指示を与えた。怪物たちを「保護」せよ、と。そこで怪異たちは町中に散り、怪物を見つけては捕獲して、八尺様の創りだす神隠しの隠れ里に運び込んでいるのだ。

「ノッコくん報告ご苦労!そゆこと、そゆこと。小グロゲロはね」

 滔々と講義を始める仁美、曰く。

 小グロゲロは母体であるグレーターグロゲロの『摂食器官』。小グロゲロに加えられた攻撃のエネルギーは、()()()()()()()()()、全部大グロゲロに送られその栄養として吸収される。それらのエネルギーが一定の量蓄積されると……

「あいつら全員が『次の形態に進化』するんだ。そうなったら大変だよ、すごく強くなる!今みたいに簡単にはやっつけられなくなるのよ。だからTDQのセオリー通り、確保・収容・保護が最善!流石先生、わかってるぅ!」

「そっかぁ……でもね仁美、ウチのおじいちゃんなんだけど……」

「あーやっぱり?まだハントしちゃってるかぁ……厳じい頑固だしね。

 ま、大丈夫だと思うよ?確かに小グロゲロを消滅させちゃうような霊能力は大グロゲロにはすごいゴチソウだけど、厳じい一人で退治出来る数ってそんなに大したことないしさ」

「う〜ん……」

 早苗は首を傾げる。もちろんその顔は、このまま祖父に怪物を狩らせるままにしておいていいのか、という意味に仁美には映る。

 いや、それももちろん、さりながら。早苗には別の疑問があるのだ。

 どうして仁美は、あの怪物についてはこんなにも()()()()()()()()()ことが出来るのか?

 早苗もあのTDQの「記事」を読んでみた。確かに、今昴ヶ丘に蔓延はびこるあの怪物たちの特徴はあの記事の記述の通り。そして物語の怪物が現実に、と言えば普通なら噴飯ものの話だが、今この町にはあの女がいる。外国のずっと過去の宇宙人事件の怪物を、見事に現代の昴ヶ丘に再現した、あの女が。

(それにしても、ね?)

 仁美の言葉はまるで「予言」のようではないか。ただあの記事を読んで理解しただけという雰囲気ではない。あの怪物を放置したらどうなるか、その光景が親友には手に取るように見えているようだ……

 ただ早苗はそこは迂闊に突っ込まない、話がこんがらがる。さりげなくさっと質問の方向を変えて。

「でも今のままだと、イタチごっこよね?その……母体?の大グロゲロ?をどうにか出来ないのかしら?」

「それだよ早苗、その通り!進化する前に、マザーである大グロゲロを確保しちゃえばいいんだよ」

「ただ、その大グロゲロさんってどこにいるんでしょう?口裂けさんたち、今は怪物集めで手一杯みたいで。探してもらうのは難しいかなって思いますぅ。センパイ、珠雄くんに頼んでみますか?」

「そうね、タマのネコちゃん監視網レーダーはめっちゃ使えるから、いざとなったら頼るとしてぇ……実はあたし、あてがなくもないのよ、大グロゲロのいそうな場所!」

「……ええ?!」

 そこまで?!仁美の言葉はいよいよおかしい。早苗の驚いた顔に仁美が返した言葉は。

「プロファイリング!ってほどでもないけどさ、あのケバケバ女の性格からしてね?アイツ、すっごい凝り性だと思うのよ。平木にしてもそうだし、グロゲロもめっちゃイメージ通りだもん!」

 イメージ通りって何?早苗はしかし、なおも突っ込まない。

「でね?ああいう犯人はさ、どーでもいいところまで再現しちゃうモンだと思うわけ。だからケバケバ女が大グロゲロを養殖してる場所は、きっとTDQの記事通りの……」

「『川沿いの廃工場』……あ、それって!もしかして『トーサン化学工業』の?」

「そうそれ、あの工場!」

「え、なにナニ?それってどこですか?」

 センパイたちには、共に思い起こされる場所があるらしい。ノッコはキョトキョトと二人の顔を見回す。

「ねぇ早苗、ノッコも!ダメ元で当たってみる価値、あると思わない?」

「わぁ、なんだか冒険ですねぇ、ワクワクします!わたし大グロゲロ()()も見てみたいなぁ♪」

「こらこら待て待て仁美」

 ノッコの背後からピョンと飛び出す槌の輔。

「お主たちだけでそれはいかん。土蜘蛛殿や御伽衆に伝えねば。小姫様も!左様な無謀はなりませんぞ?」

「ダイジョーブだよツッチー♪」「ひゃっ!……こら!!」

 仁美が槌の輔の額を指で弾く。霊体である槌の輔に触れることは出来ない、スカッと指先は通り抜ける。が、やはりやられた方はギョッとはした様子。この不届者と咎めるツチノコに、仁美は平気の平左で。

「ただのテーサツだから!もちろん深入りする前にみんなには連絡するって!」

「そうだよ!いいでしょツッチー?ね?ね?」

 そして早苗が、ふぅとため息一つの後で。

「……槌の輔様、私もおりますから。決して二人に無茶はさせません……ここは仕方ありませんよ?」

 止めて止められる二人ではない。早苗の意はすぐに伝わった。

「うむ、まぁ巫女殿がそう申すなら……小姫様が行くなら即ち、某もその場におるわけだしな……仕方ございません小姫様、お許しいたしましょう」


「ふぅん?集まるパワーが減ってるわね?増え方も緩くなったし」

「え?じゃあ!」

 この作戦は中止?ヤスデ的には大歓迎だ。だが恐子は相変わらずシレっとした顔。

「ま、想定済みね。TDQは一般公開されたサイト、誰が読んでも、誰が町の怪物と記事のそれとの類似に気づいてもおかしくない……土蜘蛛の手下だって、いいえ、もしかしたら土蜘蛛本人かも。

 ……あいつらきっと妨害に出たわね。いいわ!」

 わりと当たっている。八ッ神恐子、相変わらず人の先を読む眼は鋭い。

「臨機応変。それならそうと、こっちもやりようはあるし」

「で……そしたら?」

「当面は今まで通り。殖やして、ばら撒く!よ?」

「……ええ〜……」

 そこは変わらないのぉ?顔をしかめるヤスデ。

「でもこれからは!ヤスデ、貴女にも動いてもらう。グロゲロと一緒にアジトに籠ってるよりいいでしょう?」

 全てお見通しの恐子の声は、意外と親身。ヤスデの顔はゲンキンに明るくなる。

「うん恐子、なんでも言って!あたしなんでもやるよ!」

「貴女に頼みたいのは、あのお邪魔娘探し。どんな関係なのかはわからないけど、あの時!土蜘蛛はあの娘を助けに来た。あの娘は土蜘蛛と関係があるのよ。あの娘が見つけ出せれば、土蜘蛛の正体もわかる……

 だからヤスデ、フラットウッズと一緒に、また派手に暴れてちょうだい!あいつらをあぶり出すの!

 ただし。その先はこれも臨機応変よ。この間は失敗したけど、あの娘の力を手に入れられたら、それはそれで大成功。でもあの娘のことを探って土蜘蛛に近づく鍵にするのもグッド。加減や動くタイミングは私と相談しながら。どお?」

 ヤスデはニカッとはれやかに笑う。

「あたし、やっぱりあんたを選んで良かったよ。任せて!」

 ヤスデの高さに合わせて軽くしゃがみ、ハイタッチで気合いを入れながら。恐子はさらに策を巡らす。

(これでいいわ、土蜘蛛周りはヤスデに任せて。そして私は()()()を狙う……!)


「やー、それでね姐さん、爺ちゃんに祓われる危機一髪の瞬間に、俺っちが掻っ攫ったのがコイツなんだけど。爺ちゃん怒ってたかなぁ?」

「なんだって?……このバカ!一匹二匹は祓わせてもいいんだよ、それよりあの爺さんにあたし達が目をつけられたらどうするんだい?!

 ……いや、多分もう目はつけられた!ややこしいことになったよ、これからチョイと動きにくくなるかもね……」

「クチサケチャン?デモソコハ、サナエチャンニ、ソウダンシタラ?」

「最後はな。ま、これからは取り敢えず!全員あの爺さんに見つけられないように動いておくれ!」

 舌をペロリと出して頭をかくくねくね。あまり反省している顔ではない。そして。

「ここにいたのか口裂け、やったぜ大漁だ!今日は一時間で五匹ぶった斬ったぞ!!」

「……おーまーえーはー!!トンカラトン、さては最初から何一つわかってないねぇぇぇぇ?!」

(続)

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