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なろうラジオ大賞4関連作品

君の加護は、「量子力学」です。

頭空っぽにしてお読みください。

「えーと……アル君。君の加護は、量子力学です」


 15歳の成人式。村外れにある小さな教会で神父様にそう告げられた時、教会にいた者たちは揃って首を傾げた。



「……何ですかそれ?」

 生まれてこのかた15年、そんな加護聞いたこともない。


「分からん。ちょっと女神様と交渉してみる。――もしもし女神ちゃん、聞こえてる?加護の内容分かんないんだけど、説明してくれない?……え?追加料金(ワイン一本)払え?床下のやつで勘弁してやる?い、いや、それはちょっと…………」

 神父様が困った顔しながら女神像を拝み、ぶつぶつ言い始める。どうやら時間がかかるようだ。しばらく待ってて、と神父様がハンドサインした。



「そうだ!長老、長老は何かご存知ありませんか!?」

 何十年生きてるのかも分からない村一番の物知りなら、何か知らないだろうか?長老の方を振り返りながら聞いてみると、つばの大きな帽子と長い髭がトレードマークのお爺ちゃんが、眉を寄せてうんうん言っていた。



「うーん……リョーシリキガク、リョーシリキガク……はて、何処かで聞いたような…………。―――あ、そうじゃ!確か東方の伝説に、龍神力鬼“学”(リュージンリキガク)とかいうモンスターがいた筈じゃ!!」


「………あーもう、後でお菓子(パン)をお供えしますから、それで満足してください!………え?なんかすごい力?実は私もよく分かんない?……そうなんですね!分かりました!!―――アル君、その加護はなんかすごい力みたいだぞ!!」





「―――ほぇ?」

 龍神?なんかすごい力?なにそれ?


 二人の出した結論にビックリしているアルを他所に、村人達がガヤガヤと騒ぎ始める。


「おい、聞いたか?なんかすごい力らしいぞ?」

「アル君は頑張り屋だものねぇ、良かったわ」

「神の力だなんてアルの奴……まさか、伝説の勇者なんじゃないか!?」



「………え?ちょ、みんな?」



「勇者だ!勇者アルの誕生だ!!」

「多分どっかの魔王が倒されるんだ!!」

「皆飲め!今日は宴だぁぁぁぁぁ!!」



「え?え?えぇぇぇーーーーーー!?」







 これが復活して三週間目の魔王を倒し、「え?ちょっと来るの早すぎない?まだ準備中なんだけど!?」と魔王に言われた伝説の勇者、アルの誕生にまつわる逸話である。

 因みに勇者の決めゼリフは、「何かよく分からん凄い力をくらえぇぇーーー!!」だったと伝えられている。


 彼は魔王と倒した後に、数理物理学の加護を受けた姫君と結ばれ、幸せに暮らしたのだった。めでたしめでたし。

量子力学を使ってみたかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんもわかってないけど、魔王倒せているところ。 [気になる点] 使いたかった量子力学、使ってないやんw [一言] ワイン1本払った場合の、女神による量子力学基礎演習の通信講座が聞いてみたか…
[良い点] 「勇者爆誕」のほのぼの裏話?(笑) 長老様おもしろいですね。 すっごく強そうな名前のモンスターですし(笑) 結果出してるアル君もすごいし。 面白かったです。 読ませていただきありがとうござ…
[良い点] ううん。どんな力だったのだろう、たぶん、凄い力だったのかしら…倒される魔王が気の毒でしたね(笑)
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