1話:婚約者のバルディ様
そういうオチか!
という有る有るなお話です。
短めの連載話の予定です。(5話くらいで考えてますが……どうなることやら)
「ミディ。どうしたらいいのか分からない事態が起きたっ」
「……はぁ。少し落ち着きましょうか、バルディ様?」
私は子爵位を持つ父の長女・ミディア・ベールム。14歳でもうすぐ15歳の誕生日を迎える所でございます。今年の王家主催の夜会で社交界デビューを果たすので、現在、目の前に居る婚約者のバルディマン・モーグ様と夜会の為の服装について話し合いをするつもりで、我がベールム家へ訪問頂きました。
お互いの父親同士が仲良くて幼い頃(確か私が5〜6歳の頃で、2歳年上のバルディ様が7〜8歳の頃)から交流していた私達ですが、婚約は政略的なものでございます。ウチの子爵領は国内有数の職人の領地でして、宝石職人、金細工職人、螺鈿細工職人……と数多の職人がおります。そしてモーグ家は毛織物が盛んな領地ですが、近頃他国より革という素材を手に入れられました。その革を細工するに辺り、ウチの職人の手を借りたいという事となりまして。ウチも扱うのは初めての素材なので、様々な職人達にその素材を見せて手に取らせて、試行錯誤で革細工という新たな特産品を作ろうという所。
お互いの利益を鑑みて伯爵家の3男であるバルディマン様が跡取り娘である私の婿に入るという形で政略的な婚姻が整いました。これが破談となりますと、既にどんな革細工が出来るのか、とアレコレ試行錯誤している職人達に申し訳ないし、どれだけの利益が損なわれるのか……と考えれば、私とバルディ様の間に恋愛感情が無いことくらい、大したことでは有りません。まぁ幼馴染みですし、親愛の情くらいは互いに有るとは思います。
といった回想はここまでにしておいて。
お茶を飲んで一息ついたらしいバルディ様に改めて問いかけてみました。
「それで? どのような事態が起こりましたの?」
バルディ様(互いに愛称で呼んでおりますの)は現在17歳。一昨年社交界デビューを果たされております。昔から少々落ち着きの無い方で、慌ただしいお方ですが、私がのんびりしているので丁度良い関係だと思っております。
バルディ様は、ハッとしたお顔でテーブル越しに前のめりになりました。
「そうなんだ! ミディ、聞いてくれ!」
「はい」
そのために問いかけたのですから。
ちなみに婚約者では有りますが、年頃の男女ですので私付きの侍女と侍従が控えておりますが、こんなバルディ様はいつもの事なので、止める事は有りません。
バルディ様は、あー、とか、うー、とか、そんな事を仰いながら「こんな事をミディに言っても良いのだろうか」と、ブツブツと独り言を溢します。私は珍しい事も有るものだ、と目を瞬かせました。少々落ち着きの無いバルディ様は、伯爵家の子息らしくマナーや教養等きちんとされていらっしゃるのですが、親しい者に対しては、思った事を直ぐに口に出してしまわれるお方です。
まぁ普段は思った事を直ぐには出さず、一度は冷静になられますから、親しい者だけならば……と私もあまり気にしておりません。そんなバルディ様が、口籠るのですから、それは珍しいと思っても仕方ないこと。
「どんな事か解りませんが、言って下さらないと私は尚解りませんわ」
と、促してみると。バルディ様はご自分の赤みがかった黄色い髪をグシャグシャと両手で掻き毟りました。あらまぁ。
お読み頂きまして、ありがとうございました。
完結まで書き上げていないので、執筆、頑張ります……。