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君が死ぬとき私が生きる  作者: Kei_Damy
第0章
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プロローグ

 カーテンの隙間からあたたかな朝日が差し込んでくる。しかし享海花蓮(きょうかいかれん )はそれを気持ちがいいとは感じない。むしろ煩わしいとすら感じている。


「まったく…太陽というやつは鬱陶しいな。」


 気持ちのいい睡眠を朝日のせいで遮られたせいか少し機嫌の悪そうな声が漏れる。

 

「ふぁあ」


 一度目が覚めてしまったからは仕方ない、と大きなあくびをしながらゆっくり起き上がる。

 その瞬間。ファンファンと外からパトカーのサイレンが聞こえてきた。

 しかし享海はそんなことを気にも留めずゆっくりとパジャマを脱ぎだす。


 色白できれいな透き通った肌があらわになる。長く細い脚、長めのストレートな髪。

 スタイルもよく、さらにはルックスもなかなかいいと来たものだ。もしここに男子がいたなら我を忘れ猿のように襲い掛かってきたことだろう。


 そんな彼女の部屋だが、一つ。たった一つ普通ではない点がある。


 それは…


 ガタッ!


 大きな物音が家の前でする。

 その瞬間外のサイレンがやんていることに気づく。


「さすがね、日本の警察は…証拠を残してはいないはずなんだが…」


 彼女の部屋の普通ではない点とは…



 同じ高校のクラスメイトである高雅阿連(こうがあれん)の死体が部屋に転がっているのだ。


「一晩でここまで臭くなるものなのか…」


 鼻の奥をツンとつくような嫌な匂いが部屋中に立ち込めている。


 ピンポーンと無機質な音が聞こえる。

 おそらく警察なのだろう。


 急いで出てもいいことなど一つもない。

 とりあえず服を着ることにする。


 「さて、どうしたものかね。」


 彼女は少し困ったようにつぶやいた。

 しかし、それは警察のことについてではない。


 「今日は学校があるから制服…いや、どうせすぐに警察に連れていかれるのだから…」


 こんな状況下にありながら着る服について迷っているのだ。


 「よし!まずはご飯にしましょ。」


 考えることをやめた。


 とりあえず部家着を着て朝ごはんの準備を始める。

 と言ってもただパンを焼くだけだ。

 いつもならそれでいいのだろうが今日はそうはいかないらしい。


 ドンドンドンと玄関が叩かれる。


 仕方ない、とつぶやきながら食パンを一かじりする。


 その一口をしっかり味わいながら咀嚼する。

 ゴクッと飲み込むと同時に彼女は玄関に向けて歩き出す。


 「乙女の部屋にそんな強引なノックをするのはどうかと思いますよ?」


 そういいながら彼女は玄関を開ける。


 そこには三人ほどの警官と近所の人たちが集まっている。


 「要件はお分かりですか?」


 警察はそう低い声で呟く。


 しかし彼女はそんな重苦しい空気など知らんと言わんばかりに明るい表情で答える。


「阿連君のことですよね?」


 彼女はこれまでの人生の中で一番の生き生きとした笑顔でそう答えた

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