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リアルチートがVRMMOを始めたら  作者: 唯宵海月
クランとイベント
81/175

公式イベントと新たな仲間

『闘技大会開催のお知らせ


 この度サービス開始一ヶ月を記念して闘技大会を開催いたします。

 日時は八日後の日曜日、現実時間12:00丁度。

 詳細は別途お知らせします』



 一日ぶりにログインした俺は肩に乗せたルナを撫でながら届いていたメッセージを見ていた。

「闘技大会?」

「また王道なイベントね」

「そうなのか?」

「ええ、割とありがちよ」

 そう言いながらフードを目深に被ったマーネはもう一通届いていたメッセージで詳細を確認する。

「どうやら、予選と本選に分かれているみたいね。予選は8ブロックに分かれてのバトルロイヤル。最後まで勝ち残った一人が決勝トーナメントに進出するわ。それから、闘技大会はレベル10未満のルーキー戦とそれ以上のオープン戦に分かれているみたい」

「たしかにそれは必要だろうな」

 俺は始まりの街の噴水前のベンチから人で溢れる広場を見回した。

 今日から新しく第二陣がやってきている。最近はプレイヤーがあちこちに散っていたからこんなに人が多いのは久しぶりだ。だからマーネもこうして顔を隠している訳だが。

 マーネはNWOじゃ有名人らしいからな。見つかると騒ぎになるのだろう。

「一週間ちょっとじゃレベル10が限界でしょうし、その頃にはトッププレイヤーはレベル20を超えてクラスチェンジも済ませているわ。真正面から当たったとしたら勝負にならないわ」

「そうかもしれないな」

 まあ、レベル差があっても案外なんとかなるけど。

「普通はレベル差が5もあったら勝負にならないわよ」

「ん?そうなのか?」

 最初から格上のモンスターばかり相手をしていたような気がするんだけどな。

「まあ、トッププレイヤーはそれくらい簡単に覆してくるけれど」

「へぇ、そうなのか」

「まるで他人事ね。貴方もその一人なのよ」

「む?」

 トッププレイヤーと言われてもあまりピンと来ないんだよな。未だに基本マーネに頼りきりだし。

「それで、出るのか?」

「私はあまり興味がないわ。貴方こそどうするの?」

「俺か?」

 少し考え、俺は口を開いた。

「正直興味はあるかな」

 闘技大会ともなればトッププレイヤーとも戦えるだろうし、その強さには興味がある。

「貴方らしいわね」

 そう言ってマーネはフードの下で小さく微笑を浮かべた。

「それにしても、ユーナはまだ来ないのかしら」

「珍しく連絡があったんだろ?」

「ええ、少し時間がかかるかもしれないから遅れるって。具体的な事は何も言っていなかったけれど」

 と、その時、噂をすれば影がさすといったところか、いつも通りの飄々とした様子でユーナが現れた。

「昨日ぶりだねぇ、二人共」

「遅かったわね。何をしていたの?」

「その前に二人に紹介したい人がいてねぇ」

「紹介したい人?」

 ユーナが一歩横にずれると、その後ろから一人の少女が現れた。

「もしかして、結花か?」

「こっちではユーカだよ」

「……そういえば、前にもう一本欲しいって言われて抽選を当てたけれど、もしかして」

「その通りだよ」

 ふむ、俺の知らないところでそんなやりとりがあったのか。それにしても、かなりの倍率だと聞いたんだけど、また当てたのか。

「ありがとうございます凛さ──ではなく、マーネさん」

「どういたしまして。ところで、ユーカがユーナに頼んだのかしら?」

「いえ、半ば強制的に押し付けられました」

「やっぱり……」

 ユーナにジト目を向けるマーネだが、ユーナはどこ吹く風。いつも通りの笑みを浮かべている。

「姉としてお節介を焼きたくなってねぇ。色々と」

 そこでユーナは俺に意味ありげな視線を向けてきた。

 はて、なんだ?

「とりあえず、一旦ホームに移動しましょう。ここは人が多過ぎるわ」









 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽




 名前:ユーカ

 職業:生産者Lv1

 STR:5

 VIT:5

 INT:8

 MID:8

 AGI:5

 DEX:15

 スキル:鍛治Lv1 巧みの手Lv1 鉱物知識Lv1 採取Lv1 MP回復Lv1

 称号:




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「ユーカは生産職なのね」

「はい、運動はあまり得意ではないのでやるなら生産職かと」

「鍛治師志望なの?」

「姉さんに相談したら鍛治がオススメだと言っていたので」

「なるほどね」

 ホームでユーカのステータスを確認したマーネを納得げに頷いた。

「それで、ユーカは私達のクランに入ってくれるのかしら?」

「むしろ、私が入ってもいいんですか?ゲームもあまりやった事がないですし、足を引っ張ってしまうと思うんですが」

「そんな事は気にしなくてもいいと思うぞ。俺だってこれまでゲームはほとんどやった事がなかったし、俺達のクランはこの世界を楽しむのが一番の目的だからな」

 俺がマーネに確認の意を込めて視線を向ければ当然だと頷いた。

「迷惑でないのなら是非。私だけではどうしたらいいのかわからなくなっていたので」

「なら、決まりね。ようこそ『薄明』へ。歓迎するわ。ちょうど鍛治師が仲間にほしいと思っていたのよ」

 マーネはユーカと握手を交わし、こうして俺達のクラン『薄明』に新たな仲間を迎えた。

「改めてよろしくな。またこうして一緒に何かできて嬉しいよ」

「わ、私もです……」

 俺も手を差し出せばユーカは若干顔を赤く染め、おずおすと握り返してきた。

 中学時代、怪我をして暇を持て余していた俺はたまにユーカの生徒会の仕事を手伝う事があった。うん、懐かしいな。

「やっぱりクラン名は『ロータス被害者の会』がよかったかもしれないねぇ」

「クラン名の変更ができないのが惜しいところね」

 はて?何かマーネとユーナから妙な視線を感じる気が?

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