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リアルチートがVRMMOを始めたら  作者: 唯宵海月
クランとイベント
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家を買う

「これでクラン登録は完了です。お疲れ様でした」

「ええ、ありがと」

 クランの結成自体は大した手間もなくできる。東側第二の街、トゥーシスの冒険者ギルドで登録するだけだ。

 必要なのは三人以上のメンバーと100万D(デュール)の資金。最初にこの街に訪れた時にはまだほとんどクランはできていなかったが、今のではかなりの数のクランができているらしい。

「これで僕達はクラン『薄明』という訳だ」

「次はホームね」

 ああ、そういえばそもそもクランを結成した目的はホーム買う事だったっけな。

「どこに買うんだ?」

「とりあえずは始まりの街ね。しばらくは始まりの街を中心に各地に足を運ぶ事になるでしょうし」

「なるほど」

「じゃあ、始まりの街に移動しましょうか」






 そうしてやって来たのは始まりの街の商業ギルド。

 マーネは迷いのない足取りで受付の女性に歩み寄った。

「ホームを買いたいのだけれど」

「かしこまりました。どのような物件をお探しですか?」

「広さはあまりなくていいわ。それから、いくつか生産設備も設置したいわね。予算は最高でも100万Dといったところかしら」

 ポーション騒ぎの一件で俺達はかなりの額のお金を稼ぐ事になった。その後も各地のフィールドで取れたアイテムをヘパイストスに売る事で相応の稼ぎを得ている。

 消費自体も然程ない事もあってクランの結成費用とホーム代くらいは簡単に払えるだけのお金がある。

「でしたら、この辺りがオススメになります」

 そう言って受付の出してきた十枚程の紙をマーネが確認していく。

 紙に書いてあるのは間取りや予算、周辺の地図などだ。

 一通り全部の紙を確認したマーネはその中から一枚を抜き、俺達に見せてきた。

「この中だとこれがいいと思うのだけれど」

「僕はなんでも構わないよ」

「マーネがそれでいいと思うならいいんじゃないか」

 俺やユーナの事をよく理解しているマーネが決めたのだ。拒否する理由もない。

 今回のホームはあくまでユーナの生産活動のための場繋ぎ的なものらしいし、いずれ気に入った場所を見つけたらそこに改めて建てらればいいのだから。

「なら、これにしましょう」

「かしこまりました。それでは、生産設備を設置するとおっしゃっていましたが、どのような設備を希望されますか?」

「とりあえず、錬金術師用の設備ね。それから、鍛治師用の設備もお願いするわ」

 ユーナのために錬金術師用の設備はわかるが、ふむ?鍛治師用の設備はなんのためだ?

「設備の設置にかかる時間は物によって違うわ。錬金術師用ならすぐにでも終わるけれど、鍛治師用の物だと数日かかる。だから、いつか必要になった時にすぐに使えるように準備しておくの」

「なるほど」

 俺は納得して頷いた。

「僕には他に何か理由があるような気がするのだけれどねぇ」

「余計な事は言わなくていいわ」

「ん?何かあるのか?」

「貴方も気にしなくてもいいから」

 ふいっとそっぽを向くマーネからはこれ以上追求するなと無言の威圧感があった。これ以上は藪蛇か。

「設備の方はすぐに設置しますか?」

「ええ、お願い」

「かしこまりました。それではすぐに手配いたします」

 これでホームの購入は終わり、ホームと設備の費用を払った俺達は早速ホームを見に行く事にした。






「ふむ、小さいな」

 俺達のホームは平家の一軒家。ヘパイストスのホームと比べてしまうとどうしても見劣りしてしまう。

「あんなNWO内でも屈指の巨大ホームと比べればどこのホームも小さく感じるでしょうね。そもそも、あそこは大きさに見合うだけの人数がいるのよ。三人しかいない私達にあんな大きさが必要だと思う?」

「ふむ……」

 改めてヘパイストスのホームを思い浮かべ、首を横に振った。

「掃除が大変そうだ」

「そこなのね」

「なにせ、日頃からよく掃除しているからな」

 暗にマーネの部屋もと告げたのだが、それを察したマーネは素早く顔を背けた。

「やれやれ、マーネは駄目人間だねぇ。人に迷惑をかけてはいけないよ」

「貴女だけには言われたくないのだけれど。貴女だって家事全般できないじゃない」

「僕には優秀な妹がいるからねぇ」

「こんな姉を持って可哀想な妹ね」

「こんな幼馴染みよりはマシだと思うけどねぇ」

 まあ、家事に関してはどっちもどっちだ。

 ちなみに、ユーナの妹は俺達の一つ下で俺達も通っていた中学で生徒会長をしている。成績も優秀で入学以来学年一位を取り続けている。

 顔はユーナとも似ているが、性格は正反対で真面目。

 中学時代に俺も少しだけ親交があった。

「こんな所でいつまでも話し合っていても仕方ないし、とりあえず中に入りましょう」

「そうだねぇ。設備も確認したいし」

 俺達は扉を潜り、ホームの中に足を踏み入れた。

「普通だねぇ」

「元々は普通の民家だったらしいから当然ね。一応イスやテーブルは備え付けてあるけれど」

 一通りホームの中を見回ってみたが、共用スペースにあるのは最低限の家具だけ。

 別の部屋に錬金術師用の設備があったが、正直俺にはよくわからない。あとは今は準備中で入る事のできない鍛治師用の部屋があるだけだ。

「どうせあちこちに移動するからユーナ以外はあまり長居する事はそうないと思うけれど、他に必要なものがあれば買い足していきましょう。部屋に何か飾ったりもね」

 流石に殺風景だからな。戦利品なんかを飾るというのもいいかもしれない。

 と、そこで俺はある事を思い出し、アイテムボックスからある物を取り出した。

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