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リアルチートがVRMMOを始めたら  作者: 唯宵海月
クランとイベント
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クラン結成

「昨日は色々と素材が手に入ったからねぇ。開発が捗りそうだよ」

「誘惑の密林の素材は貴女好みだものね」

「その通りさ。早速生産会館に行こうかねぇ」

 いつも笑みを浮かべているユーナだが、こういう時のユーナは三割増しで楽しそうだ。

 ちなみに、マーネをからかっている時は五割増しで楽しそうだが。

「それなのだけれど、少し待ってもらえるかしら」

「おや?何かあったかい?」

「そろそろクランを結成しようかと思っているの」

 クラン……たしか、同じ目的を持ったプレイヤー達が集まってできた組織のようなものだったか。よく装備なんかを頼んでいるヘパイストスが馴染み深いな。

「今までは生産会館を使っていたけれど、あそこのは生産設備の性能が低いでしょ?そろそろ貴女にあった相応の設備が必要だと思っていたの。だから、クランを結成してホームを買おうと思うのだけれど」

 いつもふざけているユーナだが、その腕だけはたしかだ。この前のデカラビアとの戦いだってユーナの作った物には色々と助けられた。あの戦いは三人がいたからこそ勝てたのだ。

 そのユーナに相応しい設備を用意するためにクランを結成してホームを買うというのは悪くないと思う。

「俺もそれには賛成だな。これからもユーナには色々と助けられるだろうし」

「ユーナはどうかしら?」

「断る理由がないねぇ」

「なら、決まりね」

 こうして俺達はクランを結成する事を決めた。

「それにしても、マーネがそこまで僕の事を考えていてくれたとはねぇ。これはもう、遠回しなプロポーズと受け取ってもいいんじゃないかな?」

「駄目に決まっているでしょ」

「マーネは照れ屋だねぇ。相変わらず素直じゃないんだから」

「わたしが素直じゃないのは認めるけれど、これは正真正銘心からの本音よ」

「ふふ、そういう事にしておいてあげようか」

 ニヤニヤとして口の端を吊り上げるユーナにマーネはため息を吐いた。

「クランを結成するなら名前を考えないとねぇ」

「名前か」

 俺が知っているのはさっきもあげたヘパイストスと浮雲、それにニーベルンゲンくらいか。

「名前ってどうやって決めてるんだ?」

「人それぞれね。貴方がすぐに思い浮かべていそうな三つを例にあげてみましょうか?」

 うん、相変わらず俺の思考が筒抜けだな。

「ヘパイストスはギリシャ神話の鍛治の神の名前。浮雲はクランの方針ね。気の向くまま、風の吹くまま自由にどこへでも行くというね」

「ニーベルンゲンは?」

「ニーベルンゲンの歌という中高地ドイツ語で書かれた叙事詩が元ね。クランマスターであるジークフリートも元々はこれの登場人物よ」

「ふむ、色々あるんだな」

「結局は個人の趣味よ。決まりなんてないんだから。だから、貴方も何か考えてみて」

「む」

 あまりそういうのを考えるのは得意じゃないんだけどな。

「思いついたよ!」

「……一応聞いておきましょうか」

「『ロータスハーレム』なんてどうだい?」

「却下。どこにハーレムがあるっていうのよ」

 うん、まさにその通りだな。

「は、たしかに。二人ではハーレムとは言えないねぇ。よし、新規メンバーを募集しようじゃないか」

「むしろ、今すぐ貴女をメンバーから外す事を検討した方がいいかしら」

「そもそも、俺モテないから無理だろ」

「「…………」」

「む?」

 突然向けられたジト目に俺は首を傾げた。

「『ロータス被害者の会』にした方がいいかねぇ」

「それなら私も賛成してもいいわ」

「いや、なんでだよ」

 何故そんな風に言われなければいけないのか理解できないんだが。

「って思っていそうな顔ね」

「ロータス君も相変わらずだねぇ」

「とりあえず、名乗るの恥ずかしいから却下。確実に爆笑する人に心当たりがあるし」

 ああ、たしかにミャーコが大爆笑している姿が目に浮かぶな。

「なら、『魔女王と下僕達』というのはどうかねぇ?」

「却・下!」

「『ユーナとモルモット』とか?」

「貴方も乗らなくていいから!」

「む?違ったか?」

「いやはや、流石だねぇロータス君。座布団一枚あげようじゃないか」

 そう言ってユーナは座布団を取り出して渡してきた。

「いい加減真面目に決めましょう」

「僕はいつだって真面目だけどねぇ。でも、そろそろちゃんとした案も出そうか」

「最初からそうしてちょうだい」

「『薄明』なんてどうかな?」

「……本当に真面目な案で驚いているわ」

 正直俺もだ。

 それにしても、薄明か……。あまり聞き馴染みのない言葉だが、どういう意味なんだ?

 俺は説明を求めてマーネに視線を向けた。

「薄明っていうのは日の出、日没後の薄明かりの事よ」

「朝と夜の交わる時間。この先このクランのメンバーが増えたとしても中心は君達二人だ。だから、こういう名前を考えたんだけど、どうかな?」

 俺が中心かどうかはわからないが、悪くはないと思う。他にいい案がある訳でもないし。

「私はいいと思うわ。ロータスは?」

「俺もいいと思うぞ」

「なら、決まりね。私達のクランは『薄明』よ」

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