隠し要素
〈スワンプリザードマン初討伐報酬によってSPが6ポイント加算されます〉
〈最も早く四方のエリアボスを討伐したプレイヤーに称号『冒険者』が送られます〉
レベルアップもなく、スキルレベルも上がったものはない。まあ、この前大量に上がったばかりなのだから当然か。そして、称号の獲得も予想通りだ。
「どうだった?」
「ああ、しばらくは問題なさそうだ。スキルレベルが上がった時にどうなるかは今のところなんとも言えないけど」
「そう」
その部分を気にしなければ個人的にはかなり使い勝手のいいスキルだ。
「見た目は悪役みたいだったけどねぇ」
「色が黒いのが悪いのかしら?」
「金色なんていいんじゃないかい?スーパーな感じで強そうじゃないか」
「まあ、あの人達も狂戦士と然程変わらないような気もするわね」
好き勝手語るマーネとユーナだが、あいにくと色に関しては俺に選択の余地はない。
たぶんできても金にはしないが。
「それより、最後のはなんだったんだい?何か普通とは違う感じがしたけど」
「俺にもわからん」
マーネなら知っているかと視線を向けてみるが、首を横に振る。
「私も初めて見たわ。ただ、予想するならスキルとアーツの組み合わせで特殊な効果が出るんじゃないかしら。公表していない隠し要素として」
「あるかもしれないな」
封印されし悪魔もそうだったが、ここの運営はなんでも教えるのではなく、自分で探せといった意思を感じる。
「もう一度普通に使ってみて」
「わかった」
俺は頷いて誰もいない方を向いて剣を上段に構える。
(天地斬り)
剣が青い光を纏い、一直線に剣閃が走る。
「普通ね」
「普通だねぇ」
「やっぱり狂化状態じゃないと駄目みたいね」
「ふむ」
見た感じスワンプリザードマン相手に使った時の方が威力も高そうだった。
「とりあえず、検証が必要ね」
「そうだな」
「でも、それはまた後にしましょうか。一旦このまま南側の第二の街に行きましょう」
「こんな所にいつまでもいても仕方ないしねぇ」
そうして俺達は先に進み、南側第二の街ツヴァイスに辿り着いた。
「少ないがプレイヤーの姿があるな」
「南側は穴場だからね。人混みが苦手なプレイヤーなんかはここに来るわ」
「なるほど。ここも北や西もみたいに何か特産品があるのか?」
「ええ、ここは野菜や果実の生産が盛んね。装備には関係ないから余計に来るプレイヤーが減る要因でもあるのだけれど」
難儀な話だ。
「結構いい時間だし、少しこの先のフィールドで実験した後ログアウトしましょうか」
もうそんな時間か。ログインしたのが遅かったのもあるがほとんど移動時間だったせいであっという間だった気がするな。
「この先のフィールドはなんて場所なんだ?」
「誘惑の密林。幻覚や混乱、魅了といった厄介な能力を持ったモンスターが多いわ」
「それはまた厄介そうだな」
「僕としては楽しみだけどねぇ」
「たしかに貴女の好きそうな場所ね」
その事実に不安が湧いてくるが。
「とりあえず、行きましょうか」
そうしてその日は何度か実験をした後ログアウトしたのだった。




