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封印されし悪魔:VSデカラビア6

 突然地面が盛り上がり、土の棘となって突き出してきた。

 普通の状態なら来るとわかっていなければ躱し切れなかったかもしれないが、今の状態なら見てからでも躱せる。

 それにしても、今までは目を攻撃した時に自動で反撃が来るといった感じだったが、当然普通にも使えるか。

 まあ、あるとわかっていればやり用はある。

 俺は開いた距離を再び詰めるべく駆け出す。

 それを阻もうと左右から石の鏃が押し寄せてくるが、無視。俺が対処するまでもなくマーネがなんとかしてくれる。

 構わず一直線に駆ければ今度は正面から石槍が迫ってくる。それを掻い潜り、あとわずか。

 と、その時、俺とデカラビアを遮るように土の壁が目の前にそびえ立った。

 今までにないパターン。跳び越えるには高い。なら左右のどちらかに避ける?そもそも、この壁の目的は?罠か?

 思考が頭を駆け巡るが、それは地面の揺れによって止められる。

「なんだ?」

 疑問の答えはすぐに出た。地面が盛り上がり、柱のようになって急速に天井に向かって伸びていく。

 なるほど、あの壁は俺の動きを一瞬鈍らせるためのものだったのか。

 戦闘経験皆無だったデカラビアがこちらの動きを誘導してくるとは。最初に比べてずいぶんと成長したものだ。

「っと、悠長にしてはいられないな」

 土柱は俺を乗せたまま伸び続け、見る見るうちに天井が近づいてくる。

 このままでは天井にぶつかって押し潰されてしまう。

 俺はすぐに土柱から飛び降り、宙に身を投げ出した。

『空中デハ躱セマイ!』

 そんな俺を囲むように上下左右全方位から石の鏃が襲いくる。

「ふむ」

 流石に身動きの取れない空中だと今の状態でも捌き切れない。絶体絶命と言ってもいいくらいだ。

 俺一人なら。

 眼下から飛来した土の矢が石の鏃にぶつかり、囲いの一部に穴を開ける。さらに、マーネの操る一本の土の矢が囲いの穴から俺の足元にやって来た。

「流石マーネだ」

 ここまでマーネの位置からだとかなりの距離がある。だというのにピンポイントで俺の足元に合わせてきたのだ。

 俺はそれに足をつけ、アーツを発動させる。


(フロントステップ)


 ステップ系のアーツは足が何かについてさえいれば発動できる。それが例え矢一本だとしても。

 フロントステップの効果によって俺の体は前に移動し、完璧な位置に置かれた次の矢を足場に続けてフロントステップを発動する。

 それによって俺は空中を駆け、鏃の囲いから脱出した。

『デタラメナ!』

 驚愕の声を漏らすデカラビアだが、だからといってもう攻撃の手を緩めはしない。

 前からは石槍が。後ろからは鏃が挟み込むように迫ってくる。

 それを躱すべく体勢を変え、フロントステップでの移動先を変えれば、そこに土の矢が()()()()()

 戦いの最中だというのに思わず顔が緩み、笑みが漏れてしまう。

「ああ、楽しいな」

 マーネだから。俺とマーネだからできる神業。

 お互いがどう動くのか理解し、完璧に合わせられる。きっと今俺達は心の深いところで繋がっている。それが楽しくてしょうがない。

 なあ、マーネ。今、お前はどんな顔をしているんだ?

 一瞬、チラリとマーネの顔を確認し、さらに笑みがこぼれる。

「さあ、戦いに集中しようか」

 俺は剣を腰だめに構え、ヘビースラッシュの体勢に入る。

 俺の使えるアーツの中でも一番威力のあるアーツだが、わずかな溜めが必要で硬直も長い。使う場面も限られるアーツだが、あえてここで使う。さらに……。


(コンセントレーション!)


 次の攻撃の威力を上昇させるアーツを使う。

 だが、まだデカラビアまでは距離がある。このままだとただの空撃ち隙をさらすだけになるが、そうはならない。

 マーネの放った暴風の球と土の矢が上下逆さまになっている俺の足元で激突し、暴風を解き放った。

 それによって追い縋っていた鏃を蹴散らし、俺を地面へと吹き飛ばした。

 急速に迫る地面。このまま地面に叩きつけられればHPは確実になくなるだろう。このまま何もしなければだが。

 高速で流れるも景色も今の俺にはゆっくりに見える。その中で俺はデカラビアの位置を見定め、剣を振り抜く。


(ヘビースラッシュ!)


 落下の勢い全てを乗せた渾身の一撃。逃げる暇なく直撃を受けたデカラビアはそのまま地面に叩きつけられた。

『ガッ!』

 ドンッと地面にめり込む程の威力にデカラビアから苦悶の声が漏れる。

「まだだ」

 逆に俺はその反動で勢いを殺し、ほとんど衝撃もなく着地。そこから硬直が解けるのを待ってさらに追撃をかけていく。

 袈裟斬り、逆袈裟、斬りあげ、唐竹割り、横薙ぎ。無駄を省き、最小限の動きで最速の連撃を叩き込む。そして、そのHPは徐々に減少していき、ついに三割を切った。



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