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新たなエリアボスへ

「結構素材も集まったねぇ。僕はもう満足だよ」

「それなら苦労した甲斐があったよ」

 好奇心のままに好き勝手動くユーナのサポートのために駆け回っていた俺は、ようやく立ち止まった事に安堵の息を吐いた。

 モンスター自体は強くなかったが、今までで一番疲れたかもしれない。

「それにしても、ロータス君はよくこんな足場の悪い場所で普通に動けるねぇ」

「スキルの補助もあるし、足場の悪い場所で動く鍛錬もしていたからな。これくらいなら問題ない」

「へぇ、それならここのエリアボスも簡単に倒せそうだねぇ」

 エリアボスか……。

 チラリと隣にいるマーネに視線を向ければ、マーネはすぐに説明をしてくれる。

「南の湿地のエリアボスはスワンプリザードマンというモンスターよ。飛び抜けた力はないけれど、環境に適応していてこの足場でも平地と変わらぬ動きができるのが特徴ね。あと、魔法への耐性が高いわ」

 という事は、足場のせいで前衛が上手く機能せず、あまり動かなくていい後衛の魔法攻撃は効果が薄いという訳だ。

「一番有効なのは弓ね。遠距離攻撃はないし、距離を取っておけば多少足場が悪くてもなんとかなるから」

「スワンプリザードマンの一番の問題は足場の悪さだからねぇ。それをものともしない君なら問題なく倒せると思うんだけどねぇ。今なら初討伐報酬も──」



 《お知らせします。南の湿地のエリアボス『スワンプリザードマン』が討伐されました》



「おや?タイミングがいいのか悪いのか」

「名前が公表されてないな」

 公表していればここで名前も一緒に流れるはずなんだが。

「誰かしらね?有力クランはだいたい北の森の攻略に向かっているはずだし」

「マーネもわからないのか?」

「予想はできるけれど、確証はないわね」

「残念だねぇ。二番目となると一気に興味が薄れてしまうよ」

 と、そこでユーナがポンと手を打ってニヤリと口の端を吊り上げた。

「いい事を思いついたよ。ここのエリアボスが倒されてしまったなら他の場所に行けばいいんだよ」

「他の場所って」

 南の湿地のエリアボスが倒された事で現在第一エリアで残っているのは西の荒野のエリアボスだけになる。

 第一エリアの中で一番難易度が高い西の荒野だ。エリアボスの強さも相応に強くなると思うんだが。

「その辺りどうなんだ?」

「そうね、強いのは間違いないわ。ただ……」

 俺の顔に向けられた視線に俺は首を傾げた。

「貴方にとっては相性のいいモンスターかもしれないわね」

「西の荒野のエリアボスはワイルドオーガというモンスターだねぇ。大きくて凶暴ではあれ、あくまで人型に分類されるモンスターなんだよ。だから、攻撃方法も人間の動きから大きく外れたものではないという訳さ」

「なるほど」

 たしかに、俺とは相性のいいモンスターかもしれない。俺の技はあくまで対人戦を前提にしたものだ。今までは慣れない相手が多かったから慎重に戦ってきたが、相手が人型だというならもっと大胆に行ける。

「まあ、いずれは行こうと思っていたし、いい加減ロータスの武器もどうにかしようと思っていたから構わないわ」

「武器?」

「西側の第二の街の近くには鉱山があって、そこで取れる鉄を使った鍛治の街なのよ。これから先の戦いにはその剣だと威力不足だからいい機会かもしれないわね」

 ふむ、それなりに愛着はあるが、それも仕方ないか。いつまでも使い続ける訳にもいかないし。

「なら、決まりだねぇ」

「ええ、次は西の荒野のエリアボス討伐に行くわ。その前にお昼ね」

 俺達は次の目的をエリアボス討伐に定め、一度始まりの街に戻った。





「南の湿地に比べればやっぱりモンスターが強いな」

「私達がいたのは南の湿地の浅瀬だったしね。あの辺りじゃ出てくるモンスターのレベルも3〜5くらいだし」

「この辺りだとモンスターの平均レベルが倍くらいはあるか」

 一旦ログアウトして昼食を取り、改めてログインして西の荒野にやってきていた。そして、時折遭遇するモンスターを倒しながら進み、エリアボスの手前まで辿り着いた。

「ユーナ、エリアボスと戦っている間は大人しくしていなさいよ」

「おや、僕がうろちょろするとでも思っているのかい?」

「ええ」

「ふふ、気をつけるよ」

「死にかけても放っておくから」

「その時はロータス君に守ってもらうとしようかねぇ」

 ギュッと俺の腕に抱きついてきたユーナにマーネは素早く杖を突きつけた。

「今すぐ死にたいのならそう言いなさい」

「ふふ、冗談だよ」

 ニヤニヤと笑いながらユーナはパッと腕を離した。

 ユーナが加わると緊張感がなくなるな。まあ、これくらいの方がリラックスしていていいのかもしれないけど。

「さっさと行くわよ」

「ああ」

「構わないよ」

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