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ルナの進化

 大図書館での幽霊騒動から三日後。俺達は以前から話していた通り、ユーカが使う鉱石集めのために西側第二エリア、堅牢なる荒野のエリアボスに挑んでいた。



 ギガントゴーレムLv20 エリアボス

 種族:魔法生物



 ギガントゴーレムはその名の通り見上げる程巨大なゴーレム。体長は10メートル程あり、動きは緩慢だがその攻撃範囲は広く、見た目通り力も強い。

 レベルだけで見ると俺達よりも格下だが、揃って耐久面が弱い俺達だとその一撃は十分脅威になる。

 しかも、物理攻撃に耐性があるうえ、自己回復能力もあって苦戦とまではいかずとも楽に勝てる相手ではない。

 とはいえ、弱点と言える程ではないが、魔法は普通にダメージが通るうえ、こっちにはアリスという新たな戦力もいる。

 マーネの隣にすっかり元気になったアリスがチョコンと佇んでいる。一見立っているだけに見えるが、その恩恵は十分にある。

 マーネの持つ魔杖、そしてそこから放たれる魔法は黒いオーラを纏い、さらに俺の持つ蓮華やミナスの弓も同じように黒いオーラを纏っている。

 吸魔──マナドレインと呼ばれるこの力は今日までの間に検証し、だいたい把握する事ができた。

 その効果はアリス自身が言っていた通り、攻撃した相手からMPを吸い取る事。その効果はパーティ全体に及び、さらに放つ魔法にも付与されて吸収したMPはアリスの契約者であるマーネに集まる。

 絶対数が少ないためはっきりした事はわからないが、どうやらアリスを召喚し続けるための消費MPは他の精霊に比べると比較的少ないらしく、俺達三人が絶え間なく攻撃し続けると回復量が消費MPを上回る。

 当然マーネも攻撃するのだから結果的にはマイナスなのだが、それでも今までと比べればMPが減る速度は遅くなり、マナポーションと合わせればかなりの長時間魔法を放ち続けられるようになった。

 とはいえ、無限に魔法を放ち続けられるかといえばそんな事はなく、ギガントゴーレムのように動きの遅い相手ならともかく、動き回る相手には思うように攻撃を当てられず、ただ無駄にMPを消費する事になるだろうし、モンスターのMPも無限にある訳ではない。

 当然ながらモンスターのMPが尽きてしまうと吸収できなくなる。

 その辺りの見極めが大事になってくるだろうが、そこはマーネだ。状況を見極めて的確に判断できるだろう。

 と、その時、蓮華が纏っていた黒いオーラが消える。

 チラリとマーネに視線を向ければ隣に佇んでいたアリスがいつの間にか消えていた。

「ギガントゴーレムのMPが尽きたみたい。ここからはいつも通り行くわ」

「了解」

「……ん」

 ダメージよりも攻撃を当てる事を意識する戦い方から本来の戦い方に戻し、ダメージを積み重ねていく。

 さっきまでと比べれば火力は落ちるがそれでも安定した戦闘により、俺達はそれから少ししてギガントゴーレムを撃破した。






 ギガントゴーレムを倒した俺達は西側第三の街トロワに辿り着き、その広場のベンチに腰を下ろしていた。

「ボス戦で初めて試したけれど、いいわね。一番の問題だったMP消費をいくらか解消できたわ」

「そうだな」

「ついでにもう少し戦力をアップしておきましょうか」

「む?」

 マーネに視線を向けられて俺は首を傾げた。

「忘れているみたいね。ルナの事よ」

「……ああ!」

 言われて思い出す。この前ダンジョンを攻略した時にルナのレベルが上がり、進化できるようになったのだ。

 だが、選択肢がいくつかあり、何を選べばいいのかわからず保留にしていた。それを今ここで決めろと言っているのだ。

 俺は一旦パーティから外れ、ルナを呼び出した。

「さて、どれにするか」

「ホー?」

 俺のつぶやきに肩にとまったルナが首を傾げる。



 エンジェルオウル

 癒しと補助に特化した梟。その姿を見た者に幸運をもたらすと言われている。

 取得スキル:回復魔法 光魔法 MP回復


 デビルオウル

 呪詛と妨害に特化した梟。敵対者に不幸を撒き散らすと言われている。

 取得スキル:呪術 闇魔法 MP回復


 ノーブルオウル

 より多くの魔法が使えるようになった梟。その優雅な姿は森の貴族と言われている。

 取得スキル:火魔法 土魔法 MP回復



「自分でも掲示板とかで調べてみたんだけど、情報がないんだよな」

「悪魔を倒して手に入れた卵から産まれたモンスターだからね。今のところ他では発見されていないみたいだもの」

「どれがいいと思う?」

「回復はあまり必要はないと思うわね」

「なら、エンジェルオウルはなしか。他は?」

「デビルオウルも気になるけれど、アリスの力を活かすなら攻撃に特化しているノーブルオウルかしらね」

「そういう考え方もあるか」

 俺は少し考え、一つを選んだ。

 直後、ルナの体が光り出した。

 そして、光が収まるとそこには一回り大きくなり、今までよりも羽に艶のあるどこか気品を漂わせるルナの姿があった。

「ホー?」

 自分の変化にルナは不思議そうに自分の体を見下ろし、首を傾げる。

「選んだのはノーブルオウルなのね」

「ああ」



 名前:ルナ

 種族:ノーブルオウルLv25

 スキル:風魔法 水魔法 火魔法 土魔法 夜目 無音飛行 気配隠蔽 強襲 MP回復

 契約者:ロータス



「改めてよろしくね、ルナ」

「ホー」

 マーネに撫でられ、ルナは気持ちよさげに目を細めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ラブコメってあったけどどこが?
2019/11/30 11:49 退会済み
管理
[一言] お疲れ様です 次回、楽しみにしています。
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