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VSガーディアン・マスター決着

 〈レベル30になりました〉

 〈剣術Lv10になりました〉

 〈歩法術Lv9になりました〉

 〈カウンターLv8になりました〉

 〈剣術スキルがレベル10に到達したため刀術スキルが取得可能になりました〉

 〈SPが4ポイント加算されます〉

 〈ガーディアン・マスターの初討伐報酬によってSPが6ポイント加算されます〉


「む?何か落ちているな」

 ガーディアン・マスターが消え去るのを見届けると、その場にペンダントのような物が落ちていた。



 [試練の証]品質ー

 試練をクリアした者に送られる証。



「何かあったの?」

「ああ、どうやら予想通りこれで終わりらしい」

 やって来たマーネ、ユーナ、ラピスの三人に俺は拾った試練の証を見せた。

「なるほどね」

「ようやくクリアという訳だね。案外長かったねぇ」

「むしろ、早過ぎるくらいだったッスよ」

 あっさりとした終わりだな。もっと何かあるかと思ったんだが。

「それにしても、ユーナはよくあんな仕掛け見つけたな」

「他にも何かないか探していたら見つけたんだよ。使えるのは一度きりだったようだからタイミングを見計らっていたんだ」

「その事を絆のリングを通して言われたのよ」

「なるほど。まあ、とにかく助かったよ」

 決定打に欠けていたからな。あれがなかったら倒すのはもっと苦労したはずだ。

「ラピスも助かったよ」

「自分は大した事はしてないッスよ。それより、上に行く階段が現れたみたいッス」

 ラピスの視線を追うと、さっきまでただの壁だった場所に上へ昇る階段が現れていた。

「この上に何かあるんだろうか?」

「行ってみればわかるわ」

 歩き出したマーネに続き、俺達は階段を昇っていった。

「ここは最初の場所か?」

 階段を昇ると、そこは見覚えのある石像だけがある小部屋だった。

『証を確認しました』

 俺達が小部屋に入ると、石像の目が赤く光り、落ちる前にも聞こえた機械的な声が響き、壁の一部が開いた。

「どうやらまだ終わりじゃないみたいね」

「みたいだな」

 顔を見合わせ、頷き合うと俺達は新しく開いた場所に歩を進めた。

「……綺麗」

 ドーム状の天井全てがステンドガラスで形作られ、差し込む光によって部屋の中を優しく照らす。

 一つ下の階とも似た場所だが、あそこが厳かで緊張感に満ちていたのに対し、ここはもっと柔らかく温かい雰囲気が漂っている。

『よくぞ来た。試練を超えし者よ』

 聞こえてきたさっきの機械的な声とは違う人の声。だが、部屋の中を見回しても俺達以外に人の姿はない。

 と、その時、目の前に向こう側が透けて見える半透明の男が現れた。

「……幽霊?」

「映像じゃないかしら」

『その通り。わしはかつてこの街を治めていた者。ザッハだ』

「私達の言葉に反応した?ただの録画ではないの?」

『わしはこの姿の持ち主の人格を元に作られた擬似人格だ』

「AIのようなものね」

 元々ゲームの住人なんだからAIのAIか。ややこしいな。これじゃあ、ファンタジーよりもSFだな。

 こうなると専門はマーネよりもむしろ……。

「ほほう」

『……この者をやめさせてもらえないだろうか』

 ザッハの体に手を差し込んでみたり、その場に重なってみたりと色々試しているユーナにザッハは困ったような表情を浮かべた。

「うちのがごめんなさい」

『うむ』

「もう少し!もう少しだけ!」

「放っておいたらいつまででもやっているでしょ!」

 そんなユーナをマーネが無理矢理引きずって引き剥がす。

「それで、貴方はなんのために出てきたの?」

『試練を超えし者に力を託すためだ。悪魔を討つための力を』

「それなのだけれど、今の時代は悪魔は全て封印されているわ」

『たとえ封印されていようと悪魔の脅威は変わらない。まだ猶予はあるだろうが、その封印もいずれ間違いなく解ける』

「封印が解ける?」

 と、そこでラピスが小声で話しかけてくる。

「これ、もしかして重要な事を聞いたんじゃないッスか?」

「かもしれないな」

 一体は倒したけど、まだ他に七十一体もいるんだ。それが復活するとなると大変な事になる。

「その力っていうのは?」

『受け取るといい』

 五つの光の球が現れたかと思うと、その光の球は俺達それぞれに吸い込まれていった。



 〈スキル【退魔の光】を取得しました〉



「む?」

『どうか我らの無念を晴らし、悪魔を討ってくれ……』

 その言葉を最後にザッハの姿は消えていき、そして完全に消え去った。

 部屋の中に訪れる沈黙。

 突然の事に未だ整理が追いつかないのだ。

「私達のする事は変わらないわ」

「そうだな」

「このゲームを楽しみ、本当に悪魔が復活するなら倒すだけ」

「そのためにはもっと強くならないとな」

「ええ、そうね。でも、今は……」

 マーネは身を翻し、入口の方を向いた。

「帰りましょうか。私達のホームに」

「ユーカへのお土産もたくさんあるしな」

 本当に悪魔が復活するのかはわからない。でも、たとえ復活したとしても俺達なら乗り越えられるはずだ。

 それまではいつも通りこのゲームを楽しむとしよう。

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