試練の洞窟・絆制覇
〈レベル26になりました〉
〈剣術Lv8になりました〉
〈集中Lv8になりました〉
〈カウンターLv6になりました〉
〈嫌われ者Lv5になりました〉
〈テイムLv2になりました〉
〈SPが2ポイント加算されます〉
〈ツインナイトの初討伐報酬によってSPが6ポイント加算されます〉
〈初めてダンジョンを制覇したプレイヤーに称号『探索者』が送られます〉
《お知らせします。ヴェント、ティアラ、コータ、カレン、ルクス他四人によってダンジョン試練の洞窟・絆が制覇されました》
「勝ったか……」
光の粒子に変わっていく二体の騎士を眺め、短く息を吐いた。
「ワールドアナウンスで二パーティだとこんな風になるんだな。てか、お前ら全員名前非公開かよ」
「面倒な事になるのは目に見えているもの」
「今さらだと思うけどな。闘技大会を見てサービス当初にエリアボスを倒してた謎のプレイヤーはお前らだってみんな思ってるぜ」
「十中八九そうだとしても、それが真実とは限らないわ」
「そういうもんか?」
ヴェントは納得いかなげに首を傾げた。
「それより、ドロップアイテムの確認をしましょう」
「それもそうだな」
一旦会話を打ち切り、俺達はそれぞれドロップアイテムの確認をした。
「共通して全員が持っているのが絆のリングね」
[絆のリング]品質B
絆の試練を達成した者に送られる指輪。
効果:リング所持者同士での通信。複数同時通信可能。
「これかなりいいよな?できればうちのクランメンバー全員に取らせたいな」
「現状では難しいですね」
「だよな。俺らだってロータス達がいなければ厳しかったしな。仕方ねぇ、もっと鍛えてから改めて来るか」
「そうですね」
大人数を抱えたクランだと大変だな。俺達はこれで全員だから必要ないが。
「他だとこっちは漆黒の鎧というものがあったわね」
「それと似たようなのがこっちにあったな。こっちは純白の鎧ってなってるが」
「それぞれ倒した騎士の鎧が手に入るみたいね」
「性能は結構いいな。これならしばらくは使えるぞ。そういう訳だからルクス、お前が着ろ」
「ぼ、僕ですか?」
「俺達なんかで鎧を使うのはお前だけだからな。それに、パーティの要であるタンクにいい装備を優先的に回すのは当然だろ」
「わ、わかりました。期待に応えられるよう頑張ります!」
ヴェントの差し出した鎧をルクスは決意した表情で受け取った。
「俺達はどうするんだ?誰も鎧を使わないけど」
「異論がなければ私はユーカに渡そうと思うのだけれど」
「私ですか?」
「俺は構わないけど」
「僕もいいよ」
「なら、決まりね」
「ちょっと待ってください。私が貰っても使い道がないですよ」
マーネの意見にユーカが異論を唱える。
「鎧を着ろと言っている訳じゃないわ。貴女なら何かに使えるかもしれないでしょ?なんなら、鋳潰しても構わないわ」
「いいんですか、それ?」
「どうせ誰も使わないもの」
「……わかりました。とりあえず、預かっておきます」
少し悩んだ後、結局は納得して鎧を受け取った。
「さて、だいたい確認も済んだしそろそろ帰るか」
「今日は本当に助かったぜ」
ダンジョンを後にした俺達は王都に戻ってきていた。
「また何かあったら──」
《お知らせします。誘惑の密林のエリアボス『ウィンドバード』が討伐されました》
「……お前らじゃないよな?」
「ここにいるのにどうやって倒せというのかしら?」
「だよな。もしかして、南の湿地のエリアボス初討伐ってお前らじゃないのか?」
「十中八九そうだとしても、それが真実とは限らないと言ったはずよ」
「お前ら以外にも名前非公開の奴がいたんだな。できればうちにスカウトしたいんだが」
「難しいんじゃないかしら」
「何か心当たりがありそうだな」
「さあ?どうかしらね?」
ヴェントの問い詰めるような視線にもマーネはまるで意に介さず、惚けてみせた。
「まあいいや。じゃあ、改めて何かあったらまた頼むぜ」
「ええ、次が味方とは限らないけれど」
「はっ、そん時は全力で勝ちに行くぜ」
「楽しみにしているわ」
それぞれ挨拶を交わし、俺達は別々の方向に歩き去った。




