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005

「往生せいや! 糞餓鬼! これがワシの人生の重みを体現した力や!」


 そういっておっさんは大剣振りかぶる。

 実に無駄の多い動きだ。

 俺に武道の経験はないが、今の俺ならそれははっきりわかる。


 「なんでや! ワシの剣はハジキの弾並のの剣速のはずや!」


 これでリアルの顔が見えたなら驚愕の顔といった所か。

 確か一般的ハンドガンで320±12m/s――秒速300m程度。

 音速に近い弾速だった気がするが。

 こうまで遅いとは、流石Sランク能力だ。

 しかも、おっさんの動きは遅く見えるの耳には普通におっさんがしゃべているように聞こえる。

 残り二つの能力も期待大だな。

 おっさんは向きになって大剣を振り回すがどれも剣筋は見えている。

 そのため相手の動きが滑らかにいかせるところが慣れれていないせいか細かくカタカタしているのが丸見えだ。

 そんな無駄な動きの多い攻撃が当たるはずもない。


 「糞が! まぐれはいつまでも続かんで! 死ねや!」


 まじかもう十回は交しているのにこの状況でまぐれとか思うなんてありえないだろ。

 こんな胆略的な判断してりゃこりゃ人生失敗するな。

 微かにおっさんに同情してしまう気持ちが沸くがすぐに萎んだ。

 相手が殺す気で襲ってきているのだ。 

 そんな奴に本気で同情する俺ではない。

 これは奪い合い戦いだ情けは無用だ。

 今だ油断を許さない状態であるのは変わらないが、妙に気持ちが落ち着ている。


 「でりゃ!」


 おっさんの横薙ぎの一撃で後ろの大木が倒れた。


 「ひぃいいいいい!!!!???」


 すると木の後ろから一体の運人形が飛び出してきた。

 盾のようなものを持っている。

 その運人形は細身でとても弱そうだ。


 「何やお前じゃまや――お前ワシの誘いを断ったやつか」


 「あ……あんたは頼む! 俺と組んでくれ! 俺の武器はBランクの盾だ! 攻撃は出来んが防御だけなら自身がある!」


 「ほうそりゃ大変やな! ちなみにその盾どれぐらい硬いんや?」


 「鋼鉄の3倍以――」


 「そうかじゃあ試し切りじゃ!」


 そういって話の途中でその運人形を一撃で盾を事切り裂いてしまった。

 おっさんの運人形の精神状態は恍惚と変わった。

 こいつ楽しんでやがる。

 相手の心理状態は言うまでもない。


 「ぼけが! 最初に組まん時点で敵じゃ! 雑魚が! 見たやろ糞餓鬼ワシの剣はなんでも切れんや!」


 そろそろ天の目を発動するか。

 さて発動! う? 特に変化がない。

 ピクティに確認。


 「ピクティ天の目Sは発動しているのか?」


 「発動しています。天の目Sは強力ゆえ初回発動に限り少し時間がかかります」


 「何をごちゃごちゃと! その余裕事切り裂いてやるわ!」


 「そうはいくか砂塵操作S」


 振りかざした手に砂塵が集まる。

 なるほど砂を操る能力か。

 あれこれ攻撃力なくね?

 そう思うと一気に不安になってきた。

 落ち着け俺まだ感覚超活性がある。

 その間は大丈夫だ。


 「おらいくで!」

 

 そういっておっさんは大剣を振り回す。

 袈裟切り、薙ぎ、カブト割り、切り上げありとあらゆる斬撃を放つが全て見て取れるので当たらない。

 やばいこのままじゃ勝てないぞ。

 一回だけ拳でも叩きこもうかと思ったが即却下。

 おっさんに俺の感覚超活性のような能力でもあれば最悪拳を掴まれるか。

 交わされてしまう。

 刀身のリーチがある分そこまで肉薄するには危険すぎる。

 

 「くっ砂塵操作S!」


 「そんな砂埃程度! ワシの剣で簡単に切り裂けんのじゃ!」


 さらにおっさんの攻撃激しくなる。

 辺りのうっそうと生え並んでいた木々は無残に切り裂かれる。

 その表面は綺麗な物で能力の補正の力だろう。

 俺も当たれば恐らく終わりだ。

 考えろ俺砂塵操作S――この能力は砂埃を操る程度の能力なのか?

 そんな能力がSランク……いやまてそれだけの能力にSランクをつけるか?

 砂をあやつるだけなら、あんな言葉をつけるか?

 高速回転する思考はある答えを導き出すそうかこの能力はおそらく。

 それに気付いた俺は動きを止めた。


 「もらった!」


 「砂塵操作S!」


 嬉々として向かってきたおっさんに対して砂塵操作Sを使う。


 「砂嵐だと!」


 俺は渾身の力を籠め砂塵操作Sを使い砂を操りおっさんの周囲に砂嵐を起こした。

 これで完全理解できた砂塵操作Sを使うコツを。


 「こんなもの! わしの剣で切り裂けんわけが!」


 そうだのって来い。

 

 「だりゃあ!!!」


 おっさんは渾身の一撃で砂嵐を切り裂いた。

 これぐらいは想定済み。

 そのために弱めに砂嵐を起こしたのだから。


 「死ね! 糞餓鬼!」


 おっさんは真っ直ぐ眼前の白銀の運人形に向かい。

 その銀色の首をはねた。

 その運人形の首はくるくると宙を回りながら舞いボスンと鈍い音を立てた。

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