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「でわ、第一第二第三の願いは聞き届けました。大会の優勝者に幸おおからんことを、貴方はそれにふさわしい戦いに勝ち残ったのだす。勇気と強さを合わせもつ貴方の人生はここから新たに始まるのです。我々はあなたを見守ています。ではいい人生を!」
そして視界は光に包まれ気づけば自宅近所の公園だった。
「泉さん!」
「ピクティ? なんでここに」
「なんでって泉さんが蘇らせてくれたんじゃないですか!」
「まぁ君を蘇らせてとはいったけど」
「もう泉さんたら第二の願いを私が叶えに来たんですよ!」
俺が願った第二の願いは全てを再び得る事。
ということはそういうことか。
「私は泉さんの家族で恋人で妻です! もう書類も提出済みで法的に妻として認定されています!」
そうきたか嬉しいけど。
「もしかして私ではダメですか?」
「いいや凄い嬉しい! ありがとうピクティこれからはずっと一緒だな!」
「でも結婚式はあげたいです! 泉さんのご友人が増えたからですが……」
「ああ盛大にやろうぜ! よろしくピクティ!」
「末永く大事にしてくださいね! 旦那様!」
◇
それから数年。
大会前に買った宝くじは一等が当たり。
その金を元に投資を繰り返し資金をため。
不動産会社を設立。
すぐに会社は大きくなり俺は会長の地位に、さすが運が1300人分あると違う。
宝くじを一枚買えば毎回一等当選。
複数買えばどれかが一等があたる。
うはうはである。
そしてマイホームは大きめの一軒家だ。
庭は結構広い。
俺たちの安全を守るためにもろもろの警備会社の監視カメラ、スイッチ一つで家を要塞化できるように改造してあるので強盗対策も万全だ。
ちなみにピクティの既望である。
ピクティは自分が掃除できる程度広さの家でいいという。
確かにデカい屋敷を一人で掃除するのは大変だ。
ピクティは家事が得意でで毎日料理洗濯家を綺麗に掃除するのが日課だ。
今はとある理由でお手伝いさんにやってもらっている。
「どうしたんですか旦那様」
ピクティは大きくなったお腹を擦りながら聞いてくる。
当然俺の子だ。
「いやなここまでくるのにいろいろあったなと思って後半はイージモードだったけど」
「いいじゃないですか! 私は幸せですよ!」
「ああ俺もだ。それに金を巻き上げられて大会に参加してたやつらも人並みに生活できているようだしな」
「泉さん良かったのですか? 貴重な願いを他者の救済に使うなんて」
「さすがに大金を奪われた連中にさらに金運を全て奪い取る鬼畜なマネは出来ないからな」
俺が望んだ最後の願いは大金を巻き上げられ敗者として参加した連中の救済。
彼らの幸運を二倍にして返してやったのだ。
最初は俺が得た金運の3分の2を差し出そうとしたが。
向うが対価はいらないというので対価なしで願いは叶えられた。
常人の二倍も金運があればよほどことがなければ大丈夫だろう。
当然だが豊、沙羅、健一含む俺たちから大金をせしめた奴らは救済の枠には入っていない。
「今頃あのお三方は……」
「ろくな生き方は出来ないだろうな」
あれからできた資金で沙羅、豊、健一のその後を調査させたが、悲惨なもんだ。
あれから豊がのとった会社は不祥事を立て続けに起こし破産。
豊は大きな借金を背負い行方不明。
非合法の金利をとるサラ金に追われているようだ。
一様の為その連絡先は手元に残している。
健一は大金を手に入れて金銭感覚が崩壊、そして会社が倒産したことにより金がなくなり、サラ金から大金を借りては豪遊を繰り返し、借金取りから逃げ回る日々。
そしてついに捕まってそこからの足取りは不明。
おそらく生きてはいない。
沙羅も健一と同じようも感じで借金を重ねて整形を繰り返し、借金取りにつかまり、非合法の商品を積んだ船で海外に連れていかれたらしい。
「まぁ仕方ないですね。やったらやり返されても文句は言えませんし」
「そういことだな」
ピンポーン呼び鈴が鳴った。
玄関を映したディスプレイを覗くと。
「どうしたんですか?」
「豊がいる……」
次回で完結




