019
「そんなこけおどしにビビるか!」
豊はそのまま発砲。
遅い。
その弾丸を頭を右に倒しよけ後方に跳躍し下がる。
豊の出方を警戒したわけではない。
「俺は宣言する! このまま真っ直ぐお前を攻撃を打ち破り勝利する!」
「面白い冗談だ! だがおもしれえ! これでハチの巣にしてやる!」
俺は後方に砂塵操作SSでできる限り固い2メートル四方ほどの壁を作った。
これ以上後退しないようにするためでもあり、豊への行動を予測してだ。。
先ほどと同じ大型のガトリングガンの銃口で俺を捕える。
「撃ってこい! それが合図だ!」
「へっ馬鹿が! こいつから逃げ回ってたのを忘れたのか!」
「豊これがお前の素の性格か、冷静沈着だった俺の知るお前とはえらい違いだな」
「だったらどうした! もう作戦もどうでもいい! この世界と現実世界のお前を殺して俺たちは幸せになるんだ!」
その声と同時に豊はガトリングガンを発射。
おそらく速度重視の方だろうが。
「おそい! おそい! おそい!」
豊のガトリングガンの弾は交わすことは容易い。
全てスローモーションなのだ交わすのに苦労はない。
先ほどまで感じていた圧倒的弾幕もここまで遅ければ攻撃に意味をなさない。
体に砂塵操作SSで作った膜に滑らせるように交わしゆっくり近づいていく。
「なんで当たねーんだよ! おい! ふざけやがって!」
次に豊は遅い弾丸――威力重視の弾丸に切り替え発砲していく。
当然速度にさらに落ちる弾丸にあたるわけがない。
かかった特別な弾丸だ!
天の目SSでそれを確認する。
予想道理だ。
俺はゆっくりめに走り出す。
本気で走れば1秒もかからない距離だ。
俺はそれが来るのを待っていたのだ。
「お前の負けだ!」
豊はそう声を出すが次に、俺はそのまま飛び上がり刀を両手に持つ。
「ちく――」
豊の腹部が吹き飛んだ。
豊は特別な弾丸で跳弾を狙っていたのだ。
それに気づかない俺ではない。
そもそも後方に壁を作ったのは跳弾をさせるためだ。
ばればれな作戦かと思ったが見事に引っかかってくれた。
「泉ぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
「終わりだ!!!!!!!!!!! 豊!!!!!!!!!!」
そして俺はその勢いのままに、豊の黒い運人形を縦に引き裂いた。
どさ、豊の運人形が倒れる音が聞こえる。
俺は豊へ視線を飛ばす。
「泉ぃいいい……よくも……よくも……俺……たち……幸せを……」
「だったらこんな大会出るべきじゃなかったな。常に勝利できると限らないのはお前だってわかってたはずだ。お前は沙羅と同じく自分の強欲さに負けたのさ」
「だが……お前も……みち……」
「言っていくが、お前の銃の周りには砂塵で覆っている発砲は出来ない」
「ち……く……しょう……俺は……俺は……」
豊が引き金を弱弱しく何度も握った。
引導を渡してやろう。
「お別れだ豊」
俺は豊の運人形の核を踏みつぶした。
次に豊の運人形は光に包まれ消えていく。
これでこいつら3人の金運は完全になくなった。
まともな生き方は出来ないだろう。
心の表面のざわめきと心の奥で燃えさかっていた怒りの炎が消えていく。
復讐は終わった。
何だ結構はれやかな気分じゃないか。
綺麗ごとはやはり信用ならないな。
「さて、優勝者が決定しました! 熱い戦いをありがとうございました!
青井泉様願いをどうぞ! 我々に叶える事が出来る願いなら3つまで叶えましょう!」




