015
俺は即座に手の刀の密度を薄く脆くする。
その状態で袈裟切り、ここまで硬度の差があるモノ同士ぶつかれば硬度の低い物が負けるのは必定。
それを示しすように俺の手の刀を砕け散り破片をまき散らす。
もっと脆く破片をまき散らすように。
俺は連続して砂塵操作Sで刃物を作り出し連続で沙羅の運人形に当てていく。
次々に壊れ破片をまき散らす。
沙羅の攻撃は一切当たらない。
感覚超活性Sの力であれば見切るのは容易い。
「無駄よ! 私のビューティフルアーマーの拳骨前に屈しなさい!」
「勝つのは俺だ!」
「強がちゃって、ビューティフルアーマーは無敵よ! 私を倒せる可能性があるのはダーリンだけよ!」
「いい事を聞いた! どんどん行くぞ!」
となれば作戦の決め手は決まった。
天の目で見る限り豊らしき運人形は黒色で最初の一戦で俺を狙っていたスナイパーが豊かだったようだ。
戦いは豊対参加者のほとんどとなっているようだが、全滅するのは時間の問題。
獲物は重火器のようだが弾を込めている様子はない。
無尽蔵の弾数がある銃か、文句なしの最高ランクの能力といえよう。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄! これ一度言ってみたかったのよね! 当然第五部のよ!」
そう宣言し拳を連続で放ってくる沙羅の攻撃を掻い潜り、負けじと砂塵操作Sで脆い武器を作り、沙羅に当てていく。
飛び散る破片と砂塵。
まだまだ足りない。
さらに大量の武器を空中で作り、手で弾き飛ばし沙羅に当てて、さらに破片と砂塵をまき散らす。
足を止めるわけにはいかない。
無尽蔵の弾数を持つ銃使い豊を警戒しているからだ。
それぐらい心得ている。
ここまで動き回り、刃をぶつけられるほど肉薄していれば豊も撃っては来ないだろう。
さきほどの沙羅の言葉を真実なら、豊の銃はこの沙羅の装甲を打ち破る事ができるならば、豊は慎重になるはずだ。
「ほらほらどうしたの? 早く逝っちゃいなさい早〇れ!」
そろそろだと思うが。
まだ足りないか、さらに俺は砂塵操作Sで作る武器の密度を下げももはや武器という名の薄皮の砂袋を沙羅に当てていく。
「さっきからなにこんな弱い刺激で私が満足するとでも!?」
沙羅は一端拳を止めて両手を握り戻し両手を数秒見つめた。
「……気のせいね! さあいくわよ! あなたをゴミ収集車にぶち込んでやるわ!」
それは違うぞ沙羅勝った!
もう一押し、さらに俺は連続して薄皮の砂袋とかした武器を砂塵操作Sで作り沙羅に当てていく。
さすがに沙羅も気づくころだと思うがもう遅い。
仕込みは終わった。
後は砂塵を操作すればいいだけ。
そして決め手は決まっている。
「そろそろ終わりにするぜ沙羅!」
「何を馬鹿な事を言ってるのかしら! 私のビューティフルアーマーに傷一つつけられないあなたに、勝ち目があると思っているのかしら!」
「ああ当然だ!」
俺は武器を捨てて沙羅の前に手をかざし集中。
操作するのは砂塵だ。
「武器なしで私を倒せるわけがないでしょ! あたっても無理だけどね! 無駄無駄無駄っ!?」
動きを止める沙羅。
「やっと効いたか」
「何をしたの? 動かない体が……」
「今お前の運人形の中は砂塵で一杯だ。関節と内部に大量の砂塵が詰まってるんだ、動けるわけがない。睨んだ通り固いのは装甲だけで内部はノーガードだったな」
俺は先ほどの戦いで気づいたのだ沙羅が関節を狙った攻撃だけをガードしている事を。
「そんな馬鹿な! いつそんなことしたのよ!」
「さっきからずっとだ。苦労したぜお前に気づかれないレベルで、砂塵のかけらを操って各関節からお前の運人形の内部に入れるのは、豊がいなけりゃ一気にできたのな」
「おっとここで最強の盾行動不能! 残り人数は両手で数えるほど優勝はだれか注目です!」
「ちょっとまって泉君! 私の話を聞いて! あれは冗談だったのよ! お金は後で返すつもりだったの! だから話を聞いて!」
沙羅の感情の表示は、焦り後半はにやり。
沙羅も見えているようだな。
「この場で引導を渡してやる!」
そういって砂塵操作Sで斧を作り振りかぶった。
「いまよ! ダーリン!」沙羅が叫び僅か先に振り下ろす瞬間上方に斧を離し回転しながら跳躍。
空中で回転しながらみた沙羅の表情が読み取れるなら驚愕といった所か。
次に轟音が響いた。
すとんと俺は着地。
沙羅を一瞥する。
「なんで……こん……な……ことに……私は……幸せ……に……なりた……かった……だけ……なのに」
沙羅の運人形は爆散し、体にはもうなのもついていない。
頭だけのなっても喋る沙羅に。
「人からモノを奪うてっことはそういう事だ。居場所がばれりゃ報復だって受けるし恨まれる。逃げ切る気なら欲をかいてこんな大会出場しなけちゃいい。お前は自分の強欲さに負けたのさ」
「そん……な――」
俺は沙羅の砕けた運人形の頭を踏み潰した。
砕け散り爆散した沙羅の装甲はすでに強度を失っていて、カナブンの死骸を踏みつぶすように簡単に踏みつぶすことができた。
あと一人――