014
気づくと視界は開けていた。
辺りを見回すと他の参加者の運人形も同じようにキョロキョロ辺りを見回している。
茶色の石の板のひかれた舞台。
周りにはローマのコロシアムを彷彿とさせる。
柱が立ち並んでいる。
次に歓声が鳴り響いた。
その声に驚き観客席を見てみれば大量の観客。
興奮する観客のこの全てが神々とその関係者なのだろうか。
「さて始まりました。皆さん! 実況は皆さんご存知ラックがお送りします」
突如そう声が響いた。
「出場者の皆さん注目! ここにおります方々は天上に住まう神々とその従者と関係者の方々となります! 此度の大会は異例の盛り上がりとなり私どもの仕える神々は大変お喜びになっております!」
そうラックは興奮して語りだす。
「そのため急遽此度の大会の優勝報酬が追加されました! それはなんと叶えられる願いの数を最大3つにする事が出来るのです!」
なにそれは何か何でも優勝せねば。
この戦い激しくなるぞ。
3つも願いを叶えられれば人生バラ色だ。
「そのため予定されていた休憩は無しとなりますが、ここまで勝ち進んだ皆さんにそのようなものは不要でしょう! では皆さん本当の開幕です! 戦闘開始!」
その言葉に周りの運人形は雄たけびを上げて戦いを開始した。
俺は走り出した。
天の目Sを常時発動必要に応じて感覚超活性Sを発動。
この戦い長くは続くまいだが無駄に能力を使う必要はない。
前より切りかかってきた相手の首を飛ばし、後方から投擲された岩を交わして後方に砂塵操作Sで作ったナイフを投擲。
首にあたってようだこれでまた一人。
「おっとここで上空に大技発動!」
ラックの声で走りながら上方を見た
天の目Sでは茶色の何かしか見えない。
自分の目で見てみると会場の4分の1ほどもある巨大な隕石の姿が。
余りの事に足が止まった。
こんな能力持っている奴にどうやって勝つんだよ……
「さて今大会最強クラスのSSランク能力の発動! 彼は今までこの強大な一撃で多くの参加者を一撃で勝利を収めてきました! さてどう出るのでしょうか? おっと隕石の爆心地中央に一体の参加者が! 自殺志願者でしょうか?」
その言葉で隕石に隕石の迫る爆心地をみた。
そこにはショッキンピンクのド派手な運人形が一体。
搭乗者名は星上沙羅。
「隕石直撃勝利は決まったのでしょうか!」
隕石は沙羅に直撃しように見えた。
だがおかしい爆風も衝撃もない。
煙だけが沙羅を取り囲んでいた。
「だが無傷ゥ!! 同じSSランク能力の鉾と盾は盾の勝利となりました! 彼女の最強の盾を下すモノなど存在するのでしょうか!」
「おほほほほほほ! 私の最強の装甲の前には全ては無力! さあよこしなさい! 貴方の美貌運を!」
俺は真っ直ぐ走り出した。
沙羅はまるでお花畑を進む様に歩む。
沙羅は何かいっているようだがこの距離では感覚を強化しても聞こえない。
通常であれば得体の知れない強力な能力を持つ相手の無策で戦いを挑むなど愚の骨頂だが。
天の目Sで見ている参加者は急激な勢いで減っていっている。
十中八九豊の能力だろう。
ここで倒さねば豊と合流されてしまう。
仕掛けるのは今しかない。
「沙羅ぁあああああああああ!!!!」
沙羅の前に俺は飛び出した。
沙羅の貯めた運は33100%、331人分。
「あら、私の偽名を知っているなんてどこの男かしら? まぁ聞いたってだれかわからないけどね! もう何人男を食ったなんて分からないモノ! あら貴方健一を下した奴のようね!」
「おっとここで因縁の対決! SSランク能力保持者とSランク能力保持者の戦いだ!」
「因縁? 確かに健一の敵ね! 全く健一も馬鹿ね! 私か豊の近くにいれば負けなかったのに!」
「お前は俺が倒す!」
「あらできるのかしら? 私の完全無敵の装甲! 名付けてビューティフルアーマー! 私の美貌は何ものにも崩すことはできないのよ!」
「俺を無視するな! お前は俺の――」
「五月蠅い!」
「その通りよ!」
杖を持った灰色の運人形に俺はナイフを投擲。
続く沙羅が接近し拳をナイフの刺さった部分に打ち込みとどめをさす。
「おっと先ほど隕石を召喚したSSランク能力保持者を倒すこと一瞬! これは面白くなってきました! 今回の大会の参加者は我々の予想よりはるか上のレベル! 両者の戦いに刮目です!」
「全く無粋な男ね! 早い男は嫌わられるモノよ! 気もあっちの方もね! 貴方は私を満足させてくれる? まぁあと少しで豊が邪魔者を狩り尽くすだろうけど! それまでの間に私のビューティフルアーマーを崩せるかしら?」
「俺はただ勝つだけだ!」
「それを無理だと言っているのよ! 私のビューティフルアーマーの持続時間は無限! 私こそが最強なのよ!」
とんでもない能力だな。
普通に取れば勝ち目などかけらも存在していない。
だが絶対誰も勝てない能力を運営側が与えるというのはあり得ないはずだ。
つまり弱点は存在するはずだ。
確証はないだが考えるんだ俺・
「ではいくぞ! 沙羅!」
「来なさいぱっくと頂いちゃうから!」
沙羅へ斬撃まずは核だ。
ギンと固いモノにぶつかった金属音が聞こえ手に痺れが走る。
砂塵操作Sで鉄糸を作り投げつけからめとる。
「あらこんなタコ糸で私を束縛できると思って? フン!」
どうやらもう一つの能力は怪力に相当する強化系能力といった所か。
攻撃無効の固い装甲に鉄糸容易く引きちぎる怪力こいつは確かに健一とは比べるまでもない強力な能力だ。
だが、まだ諦める時間ではない。
ナイフを何本も作り投擲弱点を探す、沙羅は防御する様子すら見せない。
「あっ思い出した! 貴方青井泉ね! 私のダーリンに有り金全部と会社を奪われた!」
「だったらどうした!」
「お礼が言いたくて! 私の胸前よりもっとでかくなったのよ! 顔だって人気アイドル並みになったし! それで何百人分の美貌運だってくれるなんて貴方最高の彼氏じゃない! あら元だったわね!」
この野郎人を舐め腐りやがって!
「早くよこしなさい! 貴方の倒した連中全ての美貌運を!」
「運をよこすのはお前だ!」
「いいえ貴方よ! 私の美しき姿を体現した無敵の鎧の前に屈して靴を舐めなさい!」
「そんな物全て作りものだ!」
「その通りよ! 貴方みたいに容姿にお金に両親に恵まれた人間が全て恵まれなかった私の気持ちが分かるわけがないわ! だからあなたが大嫌い! だから貴方だけには体を許さなかったの! 私のダーリンは豊一人だけよ!」
お互いに気持ちがぶつかる。
本音の沙羅は俺の恋人だったころの控えめで清楚な姿はかけらも存在しない。
だからどうしたと言われてしまえば仕方ないが。
咎とは害した相手の気持ちを踏みにじり背負っていく物だ。
俺は噛み締めるよいうにむき出しの感情をぶつけ合う。
「これならどうだ!」
俺はむき出しのそれを狙った。
「フン! 効かないわよ!」
初めて沙羅ば防御の構えを取った。
見つけた唯一のウイークポイント!