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満月を見て! ほんとにオオカミになった少年。

作者: 七瀬



僕が子供の頃、友達にね、、、?

こんな事を言われたんだ!


『満月の日に、、、月を30秒以上見るなよ! もし見てしまったら、、、?

オオカミになっちゃうんだぜ~!』

『えぇ!? 本当なの、、、?』

『あぁ、だから絶対に見るなよ! いいな!』

『ううん、わかったよ、』



もちろん、それはね、、、?

僕を怖がらせる為の作り話だったはずなのに、、、、!?




僕は、中学2年生の夏休みの暑い夜の日、、、。

見てしまった!



その日は、夏休みで家族みんなで田舎のおじいちゃんとおばあちゃんの家に

遊びに来ていた! 物凄く山奥にある田舎の家でね、、、?




みんなが寝静まった頃、僕だけ寝付けなくて、、、。

だから、僕は2階にあるベランダから起きて月を見ていた。


たまたまだったのか、、、その日は、【満月の日】だったんだ!

僕はすっかり忘れていた。

30秒以上見たら、、、オオカミになる事を、、、!






そしたら、、、?

突然! 体がモコモコと大きくなって、毛がモシャモシャと生えてきて

僕の目は真っ赤かで、途中で意識が【プチッ』と飛んでしまった。




気がついたら朝、僕は2階の部屋で寝ていたんだけど、、、?

足はドロドロに汚れていて、着ていたパジャマも泥まみれになっていた!


僕は昨日の夜の事を、まったく覚えていなくて、、、。

起きて下に行くと、、、?

お母さんが僕に言う。


『文哉! なに、その恰好は、、、!?』 

『僕もわからないんだ! 朝起きたら、こうなってて、、、!』

『寝ぼけて、何かしていたのかしらね、、、?』

『そう言えば、、、? 昨日の夜、大きなオオカミが出たらしいわよ~!』

『先も、ニュースやテレビで言っておった!』

『おじいちゃん? この辺じゃ、オオカミって出ないの、、、?』

『日本オオカミは絶滅しているからな~ 何故、オオカミが出たのか、、、?』

『ひょっとしたら? 大きな犬だったんじゃないかしらねぇ~』

『どうかの~ ワシにもわからん!』

『朝ご飯ができたから、文哉も顔を洗っておいで~』

『うん、おばあちゃん!』

『文哉! 夏休みの宿題終わったの?』

『うーん、まだだよ! お母さん!』

『早く、やっちゃいなさい!』

『ううん、わかったよ~!』




僕は、昨日の事は夢でも見ていたんだと軽く思っていた。



まさか、、、!?

ニュースになっていたオオカミが僕だとは思ってもみなかったからだ!

いろんな偶然が重なって、僕がオオカミになってしまったんだろう。






次に僕がオオカミになったのは、、、?

大人になってからだった。


36歳の夏、この日も暑かったな~

本当に不思議な事に、、、偶然って重なるし、、、!

僕は自分の家族と田舎暮らしをはじめた頃だった!


田舎の古い家をタダ同然で買い取って、奥さんと一人息子と暮らしていた。

あんまりにも寝苦しくて、冷蔵庫から麦茶をコップに入れて、縁側で涼んで

いたら、、、?


その日も【満月の日】で僕はまた、あの時の感覚になっていく。

モコモコと体が大きくなり、毛がモシャモシャと生えてきて、、、。


...その時だった!

3歳の息子が僕の姿を見ている!


『お.お父さんなの、、、?』

『うぅ、あぁ、、、見るな! 向こうに、、うっ、ワワォーーー!!!』

『......』


僕はとうとう、息子の前でオオカミになってしまった!

息子に見られてしまった。


そう思った瞬間、僕はオオカミから元の姿に戻る事が出来た、、、!

でも、、、すべての力を使い切ったのか、、、?

そこから動く事が出来なかった。



朝起きると、、、?

3歳の息子が僕に寄り添うように一緒に寝ていた。


そして妻が僕にこう言う。


『こんなところで、寝ていたら風邪引くわよ~』

『あぁ、文人! 起きろ~! 朝ごはんを一緒に食べよう~!』

『ううん、お父さん! 昨日、オオカミ見たよ~』

『そうか! こんな田舎だからオオカミもいるのかもしれないね!』

『アナタ! 気を付けてね! 文人が何かあったら、、、。』

『あぁ、わかってるよ!』






それから、僕はオオカミになることはなくなった。

もう、オオカミを見られることもないし!

オオカミに変身することもない!


『オオカミはいなくなったんだ!』





最後までお読みいただきありがとうございます。

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