首席騎士様は、密かに心配される
心底ホッとして、急に心が浮き立ってくる。フレーバーティーの甘い香りもさっきよりも濃く感じて、なんだか幸せな気分を運んでくれているみたい。
もうさ、お兄さんに食ってかかっちゃった時点で、ご家族に『気の強い女』と思われただろうことは最早しょうがないよ。それよりも、リカルド様の憂いが晴れて、しかもとりあえず嫌われてはいなかったとわかったことで、今日はもうお釣りがくるくらいの成果だよ。
「あたしも、今日ここにお伺いできて本当に良かったです! リカルド様のご家族にも会えたし、リカルド様もお父さんと話してた時、すごく嬉しそうだったから」
そうだよ、リカルド様の長年のコンプレックスが解消できた瞬間に立ち会うことが出来たなんて、それ以上に素晴らしいことなんてないじゃない。
「リカルド様も色々吹っ切れたと思うし、きっと、これからもっともっと強くなりますね!」
笑って言ったら、お母さんはなぜか不思議そうに小首をかしげた。
「もしかしてリカルド、貴女に悩みとか、家族のこととか、お話ししたりしたのかしら」
「え、えっと、雑談程度で、そんなたいしたことは」
「まぁ……!」
リカルド様のいないところで勝手にお母さんに色々お話してしまうのはマナー違反だろう。そう思って濁したというのに、お母さんは驚いたように口元を抑えた。
「リカルドが、女の子と雑談を……!」
そこか! まさか雑談だけでこんなに感動されるとは思わなかった。リカルド様、思わぬところでびっくりされてますよ?
「魔法学校に通うようになってからも、女の子と話すことなんてほぼない、なんて言っていたからずっと心配していたの。雑談ができるような女の子ができて、本当に嬉しいわ」
「いえいえいえ、心配することないですよ。リカルド様、すごく優しいですもん。少し一緒に過ごせばリカルド様が思いやりのあるいい人だって、誰でも分かると思います」
うん、無表情でぱっと見怖いけど本当はめっちゃ優しいから、誰だってちょっと一緒に居ればリカルド様のこと、好きになると思うなぁ。もちろんお母さんのほうがリカルド様の性格はよく分かってると思うけど、母ならではの心配があるんだろう。
「リカルド様が親身に教えてくれたおかげであたし、魔法が使えるようになりましたし」
「教えるって、リカルドが?」
「はい、ものすごく分かりやすかったです。あたしこの一年、うまく魔法を使えなかったんですけど、リカルド様のおかげでやっと魔法ができるようになって。もう本当に感謝してるんです」
「そう……あなたたちはお互いに助け合える、とてもいい関係が築けたのね」
10万文字ーーーー!!!
結構書いたなぁ。
もうちょっとだけ、ユーリンとリカルド様にお付き合いくださいませ(^^)