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首席騎士様は、お兄さんを過信する

お兄さんがすっかり動きを止めたからか、火球を放つのをやめたリカルド様の右手には、早くもひと抱えもあるほどの燃え盛る業火が爆誕している。そして左手の雷は激しい閃光を放ちつつ、スパークしはじめている。


めっちゃ怖い。


二つの強力な魔法に周囲の空気が煽られるのか、リカルド様の髪も服もバタバタとはためいていて、尋常じゃない威力だって本能が全力で叫んでるんだけど。


あれ、絶対に人に向かって撃っちゃヤバいヤツ……!



「リカルド様、撃っちゃダメ!!! さすがにそれはお兄さんが死にますーーーーー!!!!」



思わず叫んだあたしに、リカルド様は口元を少しだけ上げた。多分、微笑んでる。



「兄は幼い頃から神かと思うほど頑丈で身体能力が高い。この程度平気だ」


「アホかぁぁぁ!!!! 軽く死ぬわ!」



お兄さんがマジ顔で叫んだ。いくらなんでも「たいしたことない」なんて強がりは言えなくなってしまったらしい。ていうか、リカルド様の中でお兄さんはいったいどんな超人になってるんだよ。



「待て待て待て、リカルド、ホント待てって!!!!!」



お兄さんが叫んだ瞬間、リカルド様の集中を断ち切るように、目の前に大剣が振り下ろされた。



「勝負あった、そこまでだ」



お父さんの重々しい声が空気を揺らす。リカルド様は憑きものが落ちたような顔で呆然とお父さんの顔を見て、ゆっくりと長い息をつく。お父さんはそのままリカルド様の目の前に歩を進め、完全にお兄さんとの間を別つように位置取りする。


リカルド様の視界を完全に自分だけに向けてから、お父さんはリカルド様の左手で荒れ狂っている雷を顎で指した。



「リカルド、散らせるか?」


「あ……」



お父さんに言われて、リカルド様はハッとしたように自分の左手の雷の塊を見上げる。


ヤバイ。もう今にもその場でバクハツしそうなくらい成長しきってる。これって、散らすなんてことできるの? いや、リカルド様ならできるのかな。


いやいや、リカルド様も困ったみたいにちょっと「……」ってなってるよ!? これ、大丈夫!?


ハラハラしながら見ていたら、リカルド様は右手の炎を軽く後方に放って水魔法で消火してから、空いた右手をふわりと動かして、左手の上で荒れ狂う雷の周りに大きな結界を作り出した。


結界まで作り出したってことは練りに練られた雷の方は、そう簡単には消せないってことなんだろうか。



「消すよりもこの方が早いので」



リカルド様がそうひとこと言った瞬間、結界の中でいくつもの雷が同時に落ちたような轟音と閃光と振動と爆風とが巻き起こる。


ひええ、結界が衝撃でボワンボワン揺れてるよう。結界、壊れたりしないよね……?

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