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首席騎士様は、責任を感じる

嬉しくってついマジマジと見てしまったけれど、リカルド様は笑いながらゆっくりと視線を星空へと移していく。いつも通りの穏やかな顔で、満天の星空を見つめる姿はそれはそれで眼福だ。


鼻の稜線が綺麗だなぁ、ああ意外と睫毛長いんだ。ジェイドさんやアリシア様ほどじゃないけど。


新たな発見のひとつひとつが新鮮で嬉しい。



「この綺麗な星空も見納めか」



リカルド様の横顔に見惚れていたあたしとは違って、リカルド様は星空に見惚れていたらしい。ふかふかお布団に寝転んだままあたしも星空を見上げてみた。青白い光が無数にチラチラと揺れていて、王都の明るい夜の街では決して見ることができない美しさだ。



「そうですねぇ、こんな綺麗な星空は王都では見られないですもんね」


「ああ、穏やかで気持ちいい夜だな。今回の演習で、野宿が楽しいと初めて知った」


「あたしも!」



寝転んだまま二人で目を合わせて微笑み合う。演習が始まるときには、リカルド様とこんなに仲良くなれるなんて思ってもみなかった。だからこそ、この距離感がとても嬉しい。



「リカルド様、これからも魔法、時々教えてくれますか?」


「もちろんだ。……今回の闘技場破壊に関しても責任を感じているしな」



ああっ! 急にリカルド様がシュンとなってしまった。悲しそうに垂れた犬耳の幻が見える。



「そんな! リカルド様が責任を感じる必要なんてカケラもないですってば!」


「いや、君の魔力のパワーは誰よりも俺が理解していた。あの場であの惨状を抑止できたのは俺だけだったのだから、あれは間違いなく俺の責任だ」



なんてこった。せっかく楽しかったのに、リカルド様のスイッチを押してしまったらしい。あたしのバカ!


生真面目だからこそ、自分を責めがちなリカルド様。でも、そーじゃないんだよ!


思わずバッと起き上がる。驚いた顔のリカルド様を見下ろして、あたしは勢い込んで言った。



「リカルド様はなんでもかんでも自分のせいにしすぎです! あたしが言うのもなんだけど学長が言ってたとおり、あの場で一番的確に状況を判断すべきだったのは学年主任の先生だと思うし、そもそも自分の魔力を理解しとかないといけないのはあたしだと思うし……っ」



一気に言い過ぎてそれ以上続けられなかった。



「ユ、ユーリン」


「だから! リカルド様は気にする必要これっぽっちもなくって、あたし……!」


「すまない、ちょっと、待ってくれ」



急に顔をしかめて、リカルド様が眉間を抑える。そのまま苦々しい表情で起き上がるから、あたしは急に不安になってしまった。


もしかして、あたし、リカルド様を怒らせた?

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